農園便り

新宿伊勢丹 催事 Real Hawaii~知らなかったハワイの魅力に出会う~

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新宿の伊勢丹で7月20~25日にReal Hawaii~知らなかったハワイの魅力に出会う~という催事があった。キャピタルコーヒーのブースで私共のコーヒーを出展してもらった。これに合わせ、私も日本へ行ってきた。

今回はサイズ19/18(水洗式・浅煎り)、Peaberry(水洗式・朝煎り)、ナチュラル(非水洗式・深煎り)の3種類のコーヒーを用意した。

ナチュラルに関しては、昨シーズン中に初めて試作品として作ってみたもので、従来の水洗式の山岸コーヒーよりはクリーンさにはやや欠けるものの重厚感が加わり、なかなかの味わいとなった。ナチュラルによくありがちな発酵臭も最小限に抑えることができた。少し深めに焙煎してもらい、アイスでも楽しめる様に仕上がった。

おかげさまで売り上げは好調でナチュラルなどは途中で売り切れてしまった。

会場にわざわざお越しいただいた多くの皆様、どうもありがとうございました。

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2016/08/07   yamagishicoffee

コナコーヒー農園便り 2016年8月号 ゆっくり殺して

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先月号でコーヒーの苗木を植えたと記した。海側の新しい畑は4年目。若い木は根が未発達なのに大量の実を付ける。中には実の付けすぎで突然死するものもある。植え替えのために苗木を買った。苗木は買っても直ぐには植え付けない。まず、この畑の気候に慣らす必要がある。2週間ほど放置し、ここの気候に慣れた後に植え付けた。この際の注意事項がコキイフロッグだ。

ハワイ島にコキイフロッグが大発生している。天敵がいない。原産地プエルトリコでは人気の蛙だが、ハワイでは評判が悪い。夜に大声で鳴いてうるさい。ヒロ方面で大発生したのがコナまで広がってきた。コナの住人は駆除に躍起だが、サウスコナから年に数キロずつ北上。数年前にカイルアコナの街を飲み込んだ。昨年は数キロ先、今年は家から聞こえる程の距離まで来た。うちの町内会(Subdivision)では規則によりコキイフロッグが発生した場合にはその土地の所有者が速やかに駆除する義務がある。もし、大発生して駆除不能になれば、近所の住民から文句の嵐となる。

苗木業者の畑には既に住みついているので要注意だ。苗木や根元の土に蛙や卵が潜んでいないかを確認。念には念を入れて、さらにひと工夫。重曹(ベーキングソーダ)が皮膚に触れると蛙は死ぬ。人体には無害でお手軽な駆除方法だ。写真のように苗木をプラスチックの容器に入れ、苗木と容器の内側の底や壁に重曹を撒いた。孵化して土の中から出たら、容器内の重曹に触れて駆除できる仕組みだ。これで2週間ほど様子を見た。

友人の農家に得意になってこの工夫を話したところ、なんと、コキイフロッグに重曹を撒くのは法律違反だそうだ。違法に加え、重曹だと死ぬまでに時間がかかり、蛙が苦しみながら死ぬので、非人道的だというのだ。一方、クエン酸が蛙の肌に触れれば即死する。クエン酸を使うのが人道的で合法的な殺し方だそうだ。

ところで、コーヒー畑の隣の藪にラット(どぶねずみ)が住んでいて、コーヒーが熟すと木に登りコーヒーの実を食い散らす。ミッキーマウスやハンカマンカに慣れ親しんだ方には可愛いかもしれないが、あちらはマウス。こっちはでっかいラット。問答無用で駆除だ。収穫期は夕方に畑の端にネズミ捕りの籠を置き夜中に捕らえる。ネットで「ラットの人道的な殺し方」を調べたら溺死とある。だから、目が覚めたらコーヒーを摘み始める前に、捕らえたラットを籠ごとバケツの水に沈めて、爽やかな朝を迎えるのが私の日課だ。

こんなにもラットにまで気を配る心優しい人道主義の私がコキイフロッグに関しては非人道的な冷血漢とのレッテルを張られるのは実に心外だ。幸い買った苗木にはコキイフロッグはおらず、重曹の出番はなかったので私の人道主義は全うされた。

そこで思い出したのが、ネスカフェの昔のCMソングとしても有名な70年代のヒット曲「Killing me softly with his song」。邦題は「やさしく歌って」だが、英語の意味は「彼の歌が私をじわじわと殺していく」。彼の歌が私の心の痛みや人生を的確に描写するので、聴いていると、だんだん死んでいく気がするという内容の曲。すると、あれは非人道的なCMで非人道的なコーヒーなのか。

そもそも、あんなに切ない歌を使って、どうしてあんなに爽やかなCMができるんだ?
朝から倦怠的な歌詞のCMを流して日本の高度経済成長を止める多国籍企業の陰謀か??
それを何の疑問もなく爽やかなCMとして受け取った我々は、いったいなんなんだ???
でも、あのCMさすがに途中で歌詞替えたんだよね。

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2016/08/01   yamagishicoffee

珈琲と文化の原稿 2016年夏号 コーヒーでダイエット

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以前にもコーヒーでダイエットに成功したことを簡単に触れましたが、今度はフルバージョンで珈琲と文化の雑誌の夏号に書いたので転載します。

ここだけの話にしてもらいたいが朗報がある。実はコーヒーにはダイエット効果がある。昨年、ブラジルのコーヒー農園視察に行ったところ、帰国後デング熱を発症して入院した。何も食べられずにやつれたが、回復するにつれ急激にリバウンドした。その後、夏の健康診断でコレステロール、中性脂肪、血糖値が悪いと注意されたのでダイエットを決意。そして、コーヒーダイエットのおかげで2ヶ月で4kgの減量に成功した。

最近はコーヒーが健康に良いとのニュースを耳にする。コーヒーの糖尿病の予防効果、動脈硬化抑制による脳卒中や心筋梗塞の予防、肝臓保護作用、がん抑制効果などさまざまな効果が研究・報告されている。コーヒー好きには喜ばしい。

かつて、コーヒーは体に悪いと言われた。昔はコーヒー愛好者に喫煙者が多かったので、統計学的にタバコの効果とコーヒーの効果をうまく区別できず、本来はタバコの害なのに、コーヒーにも濡れ衣が着せられたのだろう。最近では嫌煙が進み、純粋にコーヒーを楽しむ人が増えて健康にも良い。残る問題は砂糖とクリームの影響だ。今後、良質のコーヒー豆を生産する農家が増えれば、消費国でも砂糖やクリームを入れる人が減る。そうすれば、コーヒーは益々健康に良いということになるだろう。

さらに、コーヒーには豆の部分以外にも、果肉や果皮や葉に抗酸化物質が含まれていることがわかり、健康食品としての可能性が出てきた。もしかしたら将来はコーヒー豆よりも現在は捨てている果肉や果皮や葉の方が大きなビジネスになるかもしれない。コーヒーの葉のお茶はほのかな甘みを感じてなかなかの味わいである。良質のコーヒー豆をライトローストにしたときに感じるほのかな甘みに似て、同じコーヒーなんだなあと感じる。

さて、ダイエットの話である。私は1990年に渡米して2006年にリタイアするまでに、毎年1kgずつ15kgも太った。NYのメリルリンチの資産運用部門でFund of Hedge Fundsのポートフォリオマネージャーとしてグループを率いていた。競争の激しいウォール街で生き残るために必死で働いた。妻も弁護士として多忙な日々。夕食は深夜にミッドタウンのレストランで待ち合わせて食べた。体脂肪はたまる一方だ。

毎年年初にクレジットカード会社から前年の使用状況をカテゴリー別に分類したレポートが来る。ある年、レストラン部門を見ると一年間に254回も外食をしていた。太るのが道理。こんな生活では早死にする。心を入れ替えて節制を誓った。ところがその年は前年以上に妻も私も業務が好調。稼げる時に稼げるだけ稼ぐのがウォール街の鉄則。将来の保証は一切ない。アクセル全開で働いたので、深夜の外食を余儀なくされる事も多かった。しかし、人生は体が資本。節制に努めた。年が明けて、お待ちかねのレポートが来てビックリ。レストラン部門は253回。節制の甲斐あって、前年の254回から1回分の削減に成功した訳だ。

極めつけは、2001年9月11日のテロによるオフィスの移転。メリルの本社はワールドトレードセンターの隣。倒壊は免れたが使用できなくなった。多くの部門がハドソン川対岸のジャージー・シティーのビルへ移転したが、私の部門は1年間ほどプリンストンにあるメリルの研修所に移転した。NY郊外の自宅からは往復で7時間なので通勤は無理。我々は月曜日から金曜日まで研修所に泊まり、廊下でつながったオフィスに通った。テロの直後の数ヶ月は誰もが興奮状態なので唯ひたすら働いたが、初期の興奮状態がさめると、人々のストレスは極限に達した。家族や恋人と離れ、建物の外に一週間一歩も出ずに缶詰で働く環境は苛酷だ。さらに、テロ後の金融市場環境は最悪。おまけに、炭疽菌があちこちに郵送されて死者がでるテロ事件が起き、我々の研修所の近所の郵便局から発送されたことが判明。恐怖がつのった。

ストレス解消は食べることだけ。しかも毎日3食とも研修所内のレストラン。そもそも研修所は世界中からメリルの成績優秀な営業担当者を集めて接待する場所。研修所というよりはホテルの雰囲気でレストランも豪華だ。しかも、いくら飲み食いしてもタダ。我々は毎日、シェフが目の前で取り分けてくれるローストビーフを食べ続けた。グループの全員がブクブク太りだした。典型的なストレス太り。特にハーバード卒の若い女性は可哀想。初期のルノアールの絵から飛び出だしたような色白の美人なのに、ハイヒールのかかとが折れそうだ。当然、私も太った。

状況改善を経営陣に訴えた。あなた達アメリカ人はローストビーフを毎日食べても平気かもしれないが、日本人の私は病気になると訴えたら、日本人は毎日寿司を喰わねえと早死にするらしいぜハハハッと、会社中のジョークのネタにされた。それを聞きつけて、援軍が現れた。隣のグループの私と同い年の英国人。ローストビーフ本場の英国出身の彼にはここのローストビーフは耐えられないと苦情に加わったが、だったらニューヨークステーキを注文しろ、脂がのって旨いぞとこれも却下された。日英同盟はあっけなく敗退した。

そんなストレスの溜まる生活を送っていたら心身ともに擦り切れた。44歳とキャリアのピークにリタイアした。ハワイに移住し、たまたま買った家にコーヒー農園が付いていたことから、コーヒー栽培を始めた。眼下に広がる青い水平線を眺めながら、自分の畑で採れたコーヒーを飲む。あのストレスの毎日が嘘のような至福の日々だ。

コーヒー関連の本には、コーヒー店にとっては、質の良い生豆を仕入れることが重要、赤い完熟した実だけを丁寧に摘む良心的な農園との関係が大切などと書いてある。まさにその通りで、一杯のコーヒーの品質にとって、畑から喫茶店まで様々な工程のある中で、最も重要なのは丁寧な収穫。しかし、農園主が自らコーヒーを摘む農園は稀だ。最も重要な工程にも関わらず、大抵は低賃金の季節労働者が行う。コーヒー摘みは肉体的・精神的に辛いので、誰も好き好んでやらない。

しかし、我々は自分で摘む。一番重要な工程を収穫時期だけ外から渡ってくる季節労働者に任せたくない。品質のためなら、辛くともNY時代の苦労を考えれば、こんなのなんでもない。

ハワイ島コナはフアラライ山の山腹にあるので、コーヒー畑は斜面にある。溶岩が転がっており足元は不安定。そこを踏ん張りながら、腰につけた10キロ入りのバスケットに摘んだ実を入れる。かなり重い。しゃがんだり、中腰になったり、背伸びしながら摘む。朝6時から夕方6時までの収穫作業。1日を通すと相当のエネルギーを消費する。

周りの畑のピッカー達を見ていると、彼らは栄養補給をしながら摘む。あるメキシコ人は、昼飯の他に、2リットルのコカコーラを1日かけて飲む。それだけで1000キロカロリーはある。また、あるフィリピン人は昼食の他に、一日かけて、大きなパンに銀紙に包まれたバター一本分を付けながら食べる。2000キロカロリー近くはありそう。朝5時に開く近所の雑貨屋では、早朝から、そういった日中のカロリー源を買い求める労働者の列ができる。

私もクッキーやチョコレートなどおやつをバクバク食べながら摘む。それでも例年4ヶ月間の収穫で4キロぐらい痩せる。農閑期には太るが、コーヒー栽培を始めて8年間で13kg痩せた。26年前の渡米時の体重に戻るのにあと一息だ。

 前述の通り、デング熱からの回復後にリバウンドをして血液検査の結果が悪かったので、昨年の収穫開始と同時にダイエットを決意。畑での菓子のどか食いを止めた。畑で食べるのは昼食のおにぎり、おやつひと口、水2~3リットルのみ。ただし、それ以外の食事制限はなし。朝はしっかり食べるし、夜はご飯もステーキもデザートも食べ、ビールやワインは飲み放題。一日2500キロカロリーは摂取する。それでも、2ヵ月後の10月末までには4kgも体重が減った。体重減少が急過ぎるので食事とビールの量を増やし、その後の2ヶ月間の収穫時期の体重は安定した。

 ちょうどその頃、アナウンサーの生島ひろし氏が、ダイエットに成功したというコマーシャルが出ていた。2ヶ月で9kgも痩せたそうだ。これは凄い。でも、調べたところ、生島氏のダイエットプログラムは、ビールもご飯もお菓子も我慢する厳しい低糖質の食事制限と、ジムでトレーナー付のきつい筋肉トレーニングをする。しかも、2ヶ月で最低でも35万円は支払うらしい。

 一方、私の場合は農園主なのでいくら摘んでも収入にはならないが、仮に友達の農園で2ヶ月も毎日摘んだら70万円は貰える。4ヶ月間の収穫シーズンをフルに摘んだら140万円超。ご飯、ステーキを食べ放題、ビール、ワインの飲み放題で、4kg痩せて、しかも70~140万円も貰える。夢のような話だ。

冒頭にコーヒーにはダイエット効果があると記した。もう、お気付きだと思うが、飲んだだけで痩せる訳ではない。ちょっとちょっと、それを期待して読み始めたそこのあなた、そんな甘い話がある訳ないでしょ。摘むから痩せるのだ。それでもこのダイエット法をお試しになりたい方には、念のため、50歳を過ぎて2500キロカロリー以上を食べながらでも2ヶ月で4kgも痩せるのは、相当つらい作業だと補記しておこう。毎晩手足がつるよ。

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2016/07/29   yamagishicoffee

今シーズン最初の収穫

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今シーズン最初の収穫を行った。妻と2人で6時間かけて31ポンド採れた。
量が少ないので皮はむかずに、水に浮かぶ実(フローター)を取り除いた後に、皮付きのまま干した。
いわゆるナチュラル製法。

道を挟んで隣りの畑は2エーカーから500ポンドの収穫があったらしい。うちは5エーカーなのに31ポンド。
私は木のストレスを軽減し、実がゆっくり時間をかけて成熟するように努めている。甘いコーヒーを作る秘訣だ。
今年も今のところスローペースは成功しているようだ。

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2016/07/15   yamagishicoffee

新宿伊勢丹でのREAL Hawaii(20~25日)に参加します

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新宿伊勢丹の6階催事場 REAL Hawaii ~知らなかったハワイの魅力に出会う~ のお知らせ。


昨年の夏のお盆の時期に、新宿伊勢丹さんより、「帰省土産に迷ったら。新宿伊勢丹食品チームが目利きしたこだわりの東京手土産3選」に私どものコーヒーを選んでいただきました。
また、昨年、一昨年と2年連続で新宿伊勢丹6階催事場での秋のコーヒーのイベントでもキャピタルコーヒーさんのブースに私どものコーヒーを置いていただきました。

今回はREAL Hawaii ~知らなかったハワイの魅力に出会う~ というイベントに出品していただきます。今回もキャピタルコーヒーさんのブースです。
衣食住にわたる、ハワイの最新、最旬を届けるハワイイベントです。
ハワイ好きの方には面白いイベントと思います。
もちろん、コーヒー好きの方もどうぞ。

期間中は私も会場に行く予定です(午後1時ごろから5時ごろまで)。

REAL Hawaii ~知らなかったハワイの魅力に出会う~
2016年7月20日(水)~25日(月)
午前10時半~午後8時 最終日6時終了

伊勢丹新宿店本館6階 催物場

 お時間があれば、お越しください。

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2016/07/13   yamagishicoffee

SCAA/CQI認定Qグレーダー試験対策(その7-最終回)

Triangulation Tests (中南米、アジア、アフリカ、非水洗式の4セッション)

3つの中から一つだけ異なるコーヒーをカッピングにより識別する試験

Dry fragrance, Wet aroma, Flavor等の属性の違いからコーヒーを区別する能力を試す。

1組3カップで、各セッションとも6組でる。

6組中5組が正解していればそのセッションは合格。

カッピングの実習試験と同様に通常は中南米の水洗式マイルド、アジア、アフリカ、非水洗式(ナチュラル)の4セッションが行われる。しかし、今回は生産地ハワイでの開催だったので、練習ではハワイも加え、5セッションが行われた。試験では、受験者の希望も勘案し、水洗式マイルドを除き、アジア、アフリカ、ナチュラル、ハワイの4セッションが行われた。

カッピングの実習試験の直後に行われ、カッピングに用いられたのと同じコーヒーが使われる。ただし、すべてが使われるわけではない。カッピングに登場したが、ここでは使われないコーヒーもある。

また、赤いライトの下で行われるので、色で判別することはできない。

 

Triangulation Testsは私の最も苦手な試験だった。これに先立つカッピング実習試験ではそれぞれのコーヒーの違いを感じ取ることは比較的容易だが、コーヒーを3つ並べて、次々と飲み比べると混乱して良く判らなくなった。経験不足が原因と思われる。

 

お湯を注ぐ前のDry fragranceやお湯を注いだ後のWet aromaを確認する際には、時折自分の肩に鼻を当て体臭を嗅いで嗅覚をリセットすると判りやすくなる。

 

嗅覚と同じで味覚も何度も繰り返すとドンドン鈍感になっていく。もし、Dry fragranceやWet aromaで違いが明確で、それに自信があれば、その組は口にしないのも良いかもしれない。確認のために口にしても1度にとどめる。舌が疲れてくる前に手早く終えるのがコツ。私はこれができずに最後まで粘ったので、水で何度も口をすすぎ、リセットしながら行った。

 

私はハワイは6組全問正解、アフリカは5組正解で合格。アジアは4組しか正解できず追試となった。一番苦手なナチュラルは試験日程の最後の最後で、その時点で、もう舌が疲れて何も感じなくなっていた。もう、破れかぶれになって、Dry fragranceとWet aromaの臭いだけで勝負したらなんと全問正解だった。臭いだけで提出する自信はなかったので、時間いっぱいまで飲んでみたが、舌はもう何も判別できなくなっていた。

 

この試験に先立つカッピング実習試験で各コーヒーの特徴を記憶しておくと多少は参考になる。

特に酸の特徴は重要。口に吸いこんだ瞬間に判別が付かなければ、数秒口の中に転がした感覚で判別する。それでもだめなら、吐き出した後の余韻で判別する。どんな香りが残るか、どんなキャラメル感がのこるか、口の中が乾くか、唾液が出るかなどに集中する。

 

 

Green Coffee Grading 生豆の欠陥豆を識別する試験

3回行い2回正解ならば合格。

全ての試験の中で最も簡単。

ノートや教科書を見ながら行えるので楽。

ただし、時間制限が20分。時間管理を怠ると完成できない。

10分を過ぎたらとりあえず答案を書き、時間が余ったら、欠点豆探しを再開して追加で記入した。

 

私の場合は2袋続けて正解したので3度目は行わなかった。

最初の袋(350g)は色が黄色っぽいが欠点豆が少なく、Specialty Coffeeの要件を満たしているもの。

次の袋は色はきれいな緑色。サイズも19の大きくきれいなもの。明らかにコナコーヒーだ。

ところが、パルピングマシーンでカットされてしまったものが15個以上とCBBによる虫食いの豆が100個以上入っていて、Specialty Coffeeとはみなされないものだった。

この試験だけは、私が普段から仕事でやっていることなので、誰よりも素早くできた。

CBBの虫食い豆は50個以上を見つければ、その時点でSpecialty Coffeeとはならないので十分だが、余裕をかまして100個以上を見つけた。

 

これと同時に焙煎豆の中からクエーカーを見つける試験もある。とても簡単。

 

 

General Coffee Knowledge筆記試験

4択問題が100問出題される。

試験に出る内容は授業中に教官が説明したことが多いので、ノートを取っておくか、授業中にすべて理解し記憶するかしておくと良い。

カッピングプロトコールは完璧に理解しておく必要がある。

難しい化学式を用いたような問題は出ない。

 

 

3日間のストレスフルな講義や試験の練習に続いて3日間のもっとストレスフルな試験の長丁場なので、体調管理が最重要。

いかにリラックスして、カップに向かった瞬間に集中力を発揮できるかが勝負だ。

風邪をひいてはいけない。

アルコールも控える。

私は毎日夕方はホテルのジムで1時間運動して、コーヒーのことを頭から追い出すことに専念した。それでも、毎日3~4時間ぐらいしか眠ることができなかった。カッピングの夢にうなされ、一度目が覚めるともう眠りに戻ることができない。コーヒー以外の内容で眠くなる本は必携。吉川栄治の三國志を持って行った。

 

極めつけは試験初日の夜。ストレスは限界に達している。長い一日でヘトヘトだが、それでも試験は半分も終わっていない。

夕方ジムで1時間汗をかき、サウナに入りさらに汗をかき、カッピングのことを頭から追い出すことに専念した。ジムの後にはマッサージに行った。一日をリラックスして終わらせるには完璧なシナリオだ。うつ伏せになりながらマッサージを受けて、ウトウトし始めたときに、突然マッサージ師が

”Do you like cupping? (カッピングは好きですか)“と訊いてきた。

“What!???”せっかくカッピングのことを忘れようとしているのにこの人は何を言い出すのだ。続けざまに、

“Did you do cupping?(カッピングしたのですか)”と訊いてきた。

当惑しながらも、“ええ、何度もしましたけど、どうしてわかるのですか?”と問い返すと、“だって背中にカッピングの跡があるから。”

ようやく事態が飲み込めた。先週、この地獄の特訓コースに出かける直前に体調を整えるために鍼灸治療に行った。鍼、マッサージの他に吸い玉(カッピング)をしてもらったのだ。その丸い跡が背中に残っていたらしい。

“Does cupping work for you?”(カッピングは効きますか?)

“No, it did NOT work for me today at all!!!”(今日のカッピングは全然ダメでした)

“Oh, why?”(えっ、どういうこと?)

“Never mind. I am just talking to myself…”(なんでもありません、独り言です。)

という会話が続いた。

その夜もあまりよく眠れなかった。

というよりも、コース終了から一週間以上が経過するが、いまだに毎晩カッピングの夢にうなされる。

眠れぬ時の三國志はずいぶん読み進み、諸葛孔明が泣いて馬謖を切った。



以上
 

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2016/07/12   yamagishicoffee

SCAA/CQI認定Qグレーダー試験対策(その6)

Cupping Tests カッピングの実習試験

 

通常は中南米の水洗式マイルド、アジア、アフリカ、非水洗式(ナチュラル)の4セッションが行われる。しかし、今回は生産地ハワイでの開催だったので、授業ではハワイも加え、5セッションが行われた。試験では、受験者の希望も勘案し、水洗式マイルドを除き、アジア、アフリカ、ナチュラル、ハワイの4セッションが行われた。

 

最初の3日間はカッピングの実習を通じ、SCAAのカッピングプロトコールを理解し、カッピングフォームを正しく記入できるよう学ぶ。各セッションごとにカッピングの後に、教官と生徒たちの間で、それぞれのコーヒーに関しての評価、意見を交換する。これを通じて、自分のスコアーが教官や他の生徒とのブレがなくなるようにする。つまり、SCAAの評価基準に自分の評価基準をすり合わせていく作業となる。自分の評価をなるべく客観的な評価に近づけるトレーニングである。

隣同士に並んだコーヒーを比較しながら評価するのではなく、一つ一つを客観的に評価するよう努力する。

80点に届かないコーヒーもカッピングして、その理由を理解する。

80~85点のコーヒーと85~90点のコーヒーの違いを体験する。

致命的な欠点の香味を理解する。

セッションごとに評価基準が必ずしも一致していないことを理解する。水洗式マイルドは水洗式マイルドの評価基準で評価する。たとえば、水洗式マイルドをナチュラルやアフリカの基準で評価するのは意味がない。

 

試験では、教官と受験者全員のスコアーをスプレッドシートに入力し、各項目ごとに、クラスの平均点に対して自分のスコアーが大きく離れていた場合に減点となる。つまり、極端に個性的な評価をしてはいけない。かといって、平均を狙ってすべての項目に7.5を付けるなどの行為も減点・失格の対象である。

 

各セッションで6個のコーヒーが出て、うち2個が重複なので、計5種類のコーヒーが出る。練習では各セッション3種類のコーヒーをカップした。その3種類は本番のテストでも出た。つまり、本番のテストで初めて出る新しいものは各セッション2種類ずつ。

4セッションとも80点に届かないようなものも出た。また、今回の試験の場合は4セッション中、3セッションで決定的な欠点豆の混入したものが一カップずつあった(5x6=30カップ中1つ)。あれだけ明確な欠点だと、それを見つけて正しくFaultとしてフォームに記入しないと、それだけで試験不合格となる。カッピングは追試がない。欠点豆を1回でも見逃すと失格なので細心の注意が必要。

また、見逃しても減点にはならないと思うが、Taintまではいかないまでも、なんだか変だというカップもあった。

私が90点以上の点数をつけるようなコーヒーは出なかった。

コーヒーの品種に関しては全く触れなかった。

 

さて、私は毎日自分のコーヒーしか飲まないので、カッピングの経験はほとんどない。よって、コースに参加する前にはカッピング実習試験が最も不安だった。実際に初日に大いなるショックを受け、前途多難と感じた。しかし、3日間のすり合わせを通じて、次第に点数のつけ方に関しては不安感は払拭した。

 

初日の練習セッションは中南米水洗式マイルドだった。教官が81.5点をつけたコーヒーに私は75.5を付けた。そのコーヒーを口に入れた瞬間、かすかだが発酵臭を感じた。

コーヒーの収穫は最長でも3週間以内に畑を一周して戻ってこないと実は過熟する。通常、コーヒーの産地は収穫期には雨が降らない。ところが、コナの場合は収穫時期の乾期にも雨が数日降り続けることがある。収獲中に雨が続くとコーヒーの実は早く過熟するので、3週間のペースよりもペースを上げる必要がある。しかし、どうしても雨の中だとペースが落ちる。第一、中南米から出稼ぎにきた労働者たちは雨の中では摘まない。それが、中南米のしきたりだ。ましてやアメリカ人が摘むわけがない。日本のJA全中(全国農業組合中央会)のHPを見ても、雨が降ったら農家の仕事はお休みと書いてある。しかし、山岸農園では雨でも歯を食いしばって摘む。もし休んでペースが落ちると過熟した実が発酵を始めてワイナリーのような臭いがしてくる。それだけは避けたい。そうならないように、ずぶ濡れになって体が芯まで冷え切って震えが止まらなくなっても、寒さで指がかじかんでうまく動かなくなっても、コーヒーを摘み続けるのだ。発酵しないよう戦い続けているのだ。だから、コーヒーを飲んだ際に発酵臭が僅かでもすると、私は許せない。それをワイニーなどと呼び、ポジティブに評価することはできない。おそらく、ガタガタ震えながらコーヒーを摘んだ経験のない人には、ネガティブに感じることはないと思う。それほど、かすかな感覚だ。

私が75.5点を付けたコーヒーも私が雨の中で泣きながら摘んでいる時の臭いがした。(実際には雨の時はあまり臭いを感じない。雨の止んだ後に感じる)。このコーヒーは、日本のスペシャリティーコーヒーの店に行くとよく出てくる曲者だ。COEも取っているんですよ、フルーティーでワイニーな逸品ですとかいって店主が喜んで出してくるあの曲者だ。

そもそも、発酵した過熟豆は水に浮くので、ウェットミルできちんとフローターを取り除けば、ほとんどを除去できる。しかし、山岸農園ではウェットミルが最後の頼みの綱となるのは嫌なので、収穫の段階から過熟豆が混入しないように努力している。ましてや、コーヒーカップの中までそれが届くということは、収穫をすり抜け、ウェットミルもすり抜けてきたということだ。やはり、私には受け入れがたい。

あるいは、収穫した後に、すぐに精製せずに何日も畑にほ放っておかれたものかもしれない。ひょっとしたら、最近はやりのドライファーメンテーションという私には到底意味不明の代物かもしれない。

その日、私は教官に噛み付いた。山岸農園がこんなコーヒーを作ったら、私はコーヒー作りを辞めるとまで主張し、教室中の爆笑を買った。しかし、教官はこれは好ましいコーヒーで発酵臭はしないと主張し、議論は全くかみ合わなかった。実際に教官に対して、「このかすかに感じる香り」とコーヒーを指さしても、「どの香り?」という答えしか返ってこない。言葉では説明できない。初日から私はクラスの問題児となった。前途多難だ。

一般に収穫時や収穫後の精製の過程で発酵して酢酸が生成されても、ごく微量であれば、好ましい酸味を与え、大量になると不快な発酵臭とされる。私は過度に気にしすぎなのかもしれない。あるいは、私が発酵臭と感じ、教官が好ましいとしている香りは、実際は発酵臭でも何でもない他の物かもしれない。ただ、私はその臭いが少しでもすると不快になる。

その日は暗澹たる気分でホテルに帰ったが、かえって、これで吹っ切れた。この一週間は生産者としてのこだわり、良心、美学は捨て、消費者の視点にすり寄る覚悟ができた。そもそも、それが目的でこのコースに参加しているのだ。とりあえず今週は、あのコーヒーをフルーティーでワイニーと呼ぶ覚悟ができた瞬間だった。

その覚悟ができると、2日目以降は、徐々に教官の評価にすり寄ることができるようになった。自分のカッピングの点数が、世間とかけ離れない配点具合を習得できた。

そうしてみると、80というのは実際にこれまで自分が思っていたよりもはるかにハードルの低いものだった。これまで、コーヒーショップに行ったときに、「こんなコーヒー出しやがって」と勝手に憤慨していたが、ああいうのもスペシャルティーだったんですね。勝手に憤慨してごめんなさい。

 

例の発酵臭の感覚はナチュラルやパルプトナチュラルのコーヒーにもよくある。だから、私はナチュラルやパルプトナチュラルが苦手だ。

そもそも、山岸コーヒーはとてもシンプルなコーヒーだ。きれいに育てて、きれいに収穫する。悪いことをなるべく排除して作る。だから、どちらかというと引き算だ。あくを丁寧に取り続ける日本料理のようなものだ。昆布だしの美学だ。一方、ナチュラルやパルプトナチュラルは、あくにあくを重ねていくフランス料理のようなものだ。私にとっては、そういうコーヒーは情報量が多すぎるし、ボラティリティーが高すぎて、脳がとても混乱する。SCAAはそれをComplex(複雑)といって、ポジティブに評価するが、私はどうしても頭が混乱してしまう。

よって、ナチュラルのセッションは、とても苦手だった。アジアのセッションでも、パルプトナチュラルではないかと思われるコーヒーが複数登場し苦戦した。ただ、ハワイのセッションで出てきたナチュラルのコーヒーには思いっきり低い点数を付けて溜飲を下げた。だって、本当にひどかったんだもん。悪いものは悪いとはっきりと主張するのも大切だ。実際にハワイのセッションでは私は満点に近い点数を取ったので、教官も含め他の受験者も私と同じような評価を下したと思われる。

 

初日からSCAA方式に違和感を感じた私であるが、どうにかカッピングの点数をSCAAの基準に近づけることができたが、どうしてもSCAAの基準に納得がいかないものが残った。はっきり言って意味不明だし、実に不愉快な基準だ。

SCAAはカッピングテーブルの高さを42インチから46インチと定めている。今回の会場のカッピングテーブルはその上限の46インチだった。これだと2列目のカップの臭いを嗅ごうにも、私には届かない。背伸びのし過ぎでふくらはぎが痛い。子供用の踏み台を持ってきてもらった。

SCAAのこういうアメリカ的な上から目線の態度はぜひ改めてもらいたいものだ。えっ?私の目の位置が低すぎるって?んん~。。。。
 

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2016/07/11   yamagishicoffee

SCAA/CQI認定Qグレーダー試験対策(その5)

Roasted Sample Identification 異なる焙煎度合いに関する試験

SCAA基準のカッピングに使用する理想的な焙煎度合いを識別する能力を試す。

SCAAのカッピングの焙煎は、おそらく一般のコーヒー店で飲まれる焙煎度合いよりも浅い。このテストは異なるロースト具合の特徴を理解し、SCAA基準の焙煎度合いを識別する試験だ。

 

Correct: Agtronの色判別機で表面が58+/-1で、挽いた粉は63+/-1。表面と内部の差が5ぐらいあるのが理想。1ハゼ直後に豆が膨らみ色がまだミディアムの状態。色はlight to medium light brown。味はバランスがとれ甘く、目立った焙煎の欠点がない。

 

Under roasted: コーヒーの表面も内部も正しい焙煎の色よりも薄い。チャフが多くついている。コーヒーはSour(すっぱい)、Green(青臭い)、Underdevelopedである。

 

Over roasted :コーヒーは正しい焙煎の色よりも濃い。しかし、表面に脂が浮くほどではない。このコーヒーの味はDarker(ダーク), carbony(焦げ臭い), ashy(灰っぽい), bitter(苦い)

 

Baked (long roast):コーヒーの表面は正しい焙煎度合いの色と同じであるが、長時間の焙煎のせいで、内部の色は濃すぎ、乾いて見える。味はflat(平坦), herbal(ハーブ), woody(木のような、あるいは麦茶のような), little acidity or sweetness(酸味や甘みが少ない)。

 

Underdeveloped (short roast):コーヒーの表面は正しい焙煎度合いの色であるが、内部は著しく焙煎が足りない。味はunbalanced soury(アンバランスにすっぱい), bitter(苦い) and vegetal flavor(菜のような)。この味覚はコーヒー内部の糖分のキャラメル化が不足するために起きる。

 

今回の試験では、上記5種類のうち、Underdeveloped (short roast)以外の4つが出た。

5つのカップが並び、その中からCorrect、Under roasted, Over roasted, Baked(long roast)を選ぶ。重複しているものが一組ある。

試験の最初から既にお湯が注がれている。また、赤いライトの下で行われるので、色で判別することはできない。嗅覚と味覚だけで認識する。

長時間粘り続けても、液がなくなるし、だんだん抽出が濃くなって判別が難しくなる。最初の印象が勝負。

私の場合は迷った時はカップごとに水で口をすすいだ方が分かりやすかった。

受験者の中の焙煎士は、自分たちの焙煎度合い以外で焙煎したことがないので、良く判らないと混乱していた。また、普段はダークに焙煎しているので、勝手が違い、少し戸惑っているようだった。

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2016/07/10   yamagishicoffee

SCAA/CQI認定Qグレーダー試験対策(その4)

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Organic Acid Matching Pairs Test 有機酸の識別試験

 Coffee Chemistry.comへ行って、Organic Acids Taste kitを買う。テストでもそれが使われる。

スペシャルティーコーヒーは酸味が命。

コーヒーの酸味にはCitric acid(クエン酸) Malic acid(リンゴ酸) Acetic acid (酢酸)Phosphoric acid (リン酸)Lactic acid(乳酸) Quinic acid(キナ酸、クロロゲン酸)などがある。このうち、今回の試験では最初の4つがでた。

 

Citric Acid(クエン酸)

コーヒーの実の中で光合成により生成される。コーヒーの実が成長する初期に多く生成される。ロバスタ種よりもアラビカ種に多い。レモンなどのかんきつ類の酸で、舌に強い刺激を感じる。収穫の際に成熟度合いが足りない段階で摘むとクエン酸が多くなる。場合によっては好ましい酸味ではなく、すっぱいと感じることもある。焙煎が深くなるにつれてどんどん分解される。

一般に東アフリカのコーヒーのほうが中米のコーヒーよりクエン酸のレベルが低い。

このテストでは最も強く特徴的な酸と感じる。

 

Malic Acid (リンゴ酸)

コーヒーの実の中で光合成により生成される。コーヒーの実が成長する後期に多く生成される。ロバスタ種よりもアラビカ種に多い。コーヒーの実の成熟にかかる時間が長いと多くのリンゴ酸が生成される。よって、コナのように曇りが多い場合や同じ産地でも日陰樹を活用したり、標高が高く気温が低い、あるいは寒暖差が大きいなどの畑で時間をかけてゆっくり熟したコーヒーはリンゴ酸を多く含む。青りんごなどに感じる甘く好ましい酸味。東アフリカや山岸コーヒーに特徴的。焙煎が深くなるにつれてどんどん分解される。

このテストではクエン酸の次に強く感じるが、少しまろやか。

Mouth Drying(吐き出した後、どんどん口の中が乾いていく感じがする)なのが特徴。

 

Phosphoric acid (リン酸)

炭素を含まないので有機酸ではない。光合成では生成できない。土壌にリン酸が含まれると根から吸収し豆に溜まる。あまり酸味を感じないが、コーヒーに明るさを加える。抽出したコーヒーの中では最も濃度が低いが、他の酸味を引き立たせる。

クエン酸のレモンのような強い酸味をリン酸が加わることによってマンゴーのような甘い酸味に変える。

酸味と甘みをつなぎ合わせる効果があるので、コーラなどの清涼飲料水に使用される。加工食品に頻繁に使われる酸味。

私が練習した感じでは、もともと酸味の低いコーヒーにリン酸を入れてもあまり酸味を感じない。しかし、酸味が高いコーヒーに入れると、もともとの酸味を引き立たすので他の酸と混同し易い。

炭酸水を飲んだ時のような舌にピリピリした感触がある。

水洗式で水に長時間浸していると染み出る場合がある。

土壌により含有量が決まるが、アラビカ種、ロバスタ種に同じ程度含まれる。

山岸農園では土壌成分検査の結果、コーヒーに必要な100年分のリン酸が含まれている。

 

Acetic Acid (酢酸)

過熟した実や地面に落ちて何日も経った実を拾って混入すると酢酸が多くなる。非水洗式など精製の段階で発酵が進むと増える。酢のような酸味。微量だと好ましい酸味に感じる人が多いらしい。大量に入ると不快に感じる。

テストでは口にくわえると、喉の奥に違和感を感じる。酸味が強すぎると喉の奥が収縮し、オエーという感触が出る。吐き出した後、Mouth Watering(どんどん唾が出てくる感じ)なのが特徴。

焙煎時の初期に糖分が分解され酢酸が増え、464°Fで急激に減る。

 

Lactic acid(乳酸)

ヨーグルトのような好ましい酸味である。

焙煎中にショ糖が分解されて生成される。唯一ロースト中に増加し続ける酸味。深炒りコーヒーにミルキーな感触を加える。

今回のテストには出なかった。

 

Quinic acid(キナ酸)

焙煎中にクロロゲン酸が分解してキナ酸とカフェイン酸が生成される。

クロロゲン酸は生豆中のタンニンで、外敵から実を守る物質。

キナ酸はクランベリーやトニックウォーターに多い。

焙煎が進むとキナ酸が増えて苦みの原因となる。ボディーも増える。

健康に良いと日本のコーヒー業界では人気のクロロゲン酸だが、これが多いと苦いキナ酸が多く発生してコーヒーの味が悪くなる。アメリカ人はコーヒー業界の人でもクロロゲン酸なんて単語は知らない。

アラビカ種よりもロバスタ種に多く含まれる。

今回のテストには出なかった。

 

テストではSCAA基準で淹れたコーヒーをお湯で倍に薄めたものに、それぞれの酸を加えて、識別できるかの技能を試す。8組のセットが用意される。一組あたり4カップある。その4カップのうち2カップに同じ酸が注入されている。酸の入っているカップを2つ選び、入っている酸の種類を答える。今回の試験では、Citric acid(クエン酸) Malic acid(リンゴ酸) Acetic acid (酢酸)Phosphoric acid (リン酸)の4種類がそれぞれ2回ずつ出た。

練習キットを買って、練習したほうがよい。テストの為というより、酸味を官能する訓練に実践的に役立つ。100ccにたいして、20滴ずつを入れる。コップに最初に酸を入れてから、コーヒーを注ぐとうまく混ざる。

テストの練習ラウンドで、教官が誤って漂白剤の残っているコーヒーメーカーで淹れたコーヒーを使用したら、舌が酸を全く感じることができず、参加者全員が恐怖のどん底へ突き落された。どのカップも何も感じない。こんなに難しいテストには絶対に合格できないと感じた。しばらく全員が顔を見つめあい、教官に恐る恐る何も感じませんと告白したところ、漂白剤の混入が発覚した。漂白剤恐るべし。

 

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2016/07/09   yamagishicoffee

SCAA/CQI認定Qグレーダー試験対策(その3)

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Olfactory Tests 嗅覚試験

コーヒーに含まれることが多い36種類の香りを識別する能力を試される。

香りは大きく4つのグループに分かれる。試験はそれぞれのグループごとに行われる。よって、計4回。すべての香りを記憶しておく必要がある。

例えば、Enzymaticの試験であれば、Enzymaticに分類される9個のエッセンスが机に置かれる。ビンの番号も見えるので、番号を暗記しておいてもよい。そして、さらに6個のビンが置かれる。ビンにはテープが張ってあり番号は見えない。そのかわりA、B、C、D、E、Fと書いてある。ABCDEFのそれぞれのビンが、9個のビンのどれと同じであるかを判別する。

また、ABCDEFの中から3つが指定され、それの香りの名称を答える。

該当がなく空欄であるべき箇所が3つある。そこに誤って何かを記入すると減点になる。

仮にAのビンがアプリコット(16)だったとする。そして、アップル(17)はABCDEFの中になかったとする。Aを誤って本来空欄であるはずの17の欄に記入すると、そこで1点減点、さらに、16の欄も正解のAが記入されていないので、さらに1点減点。もし、名称を答える欄にAが出題されており、そこにAppleと誤解答するとそこでも1点減点となり、計3点の減点となる。

計9問中6問正解で合格。

赤いライトの下で行われるので、色で判別することはできない。

 

Enzymatic コーヒーの生豆の中に存在する酵素に由来する香り。お湯を注ぐ前の挽いたコーヒーの粉によくある香り。Cupping中のDry Fragranceの項目はこの香りを探す。

  1. Flower: Tea-rose/Redcurrant jelly, Coffee blossom, Honeyed
  2. Fruity: Lemon, Apricot, Apple
  3. Herbal: Potato, Herbal, Cucumber


 

Sugar Browning コーヒーを焙煎することにより糖分が焦がされて生成される物質に由来する香り。お湯を注いだ後に立ち上がる香り。Cupping中のWet Aromaの項目はこの香りを探す。

  1. Caramelly      : Butter, Caramel, Roasted peanuts
  2. Nutty    : Roasted almonds, Roasted Hazelnuts, Walnuts
  3. Chocolaty      : Vanilla, Toast, Dark chocolate


 

Dry Distillation 焙煎された豆の繊維をお湯を入れて抽出することによって発する香り。鼻の奥で感じる。

  1. Spicy    : Clove-like, Pepper, Coriander seeds
  2. Resinous : Cedar, Blackcurrant-like, Liquorice/Maple syrup
  3. Pyrolytic      : Malt, Pipe tobacco, Roasted coffee


 

Aromatic Taints コーヒーの実の収穫後に付く香り。精製や保管中につく香り。必ずしも常にそうとは限らないが、ネガティブな香りとされる場合が多い。ただし、Cupping form中のTaintやFaultとは異なる。TaintやFaultはカビなどのコーヒー以外の物に由来する香味を指し、このAromatic Taintsは、それほど極端にひどくなければ、あくまでもコーヒーの香味の範囲内である。

  1. Earthy   : Earth, Straw, Leather
  2. Fermented      : Coffee pulp, Basmati rice, Medicinal/Rio
  3. Phenolic : Cooked beef, Smoke, Rubber


 

テストはJean Lenoir氏が作成したLe Nez du Caféという香りのエッセンスを使う。もともとはワインの香りのエッセンスを作っている人。ワインやコーヒーの他にもウィスキーのエッセンスなども作っている。

一般に、味覚と違って嗅覚は先天性はない。嗅覚は脳のLymbic(大脳周辺系)で処理され、情緒や記憶を処理する部分と一緒なので、臭いは記憶することができる。また、当然だが嗅いだことがなければ、その臭いとは認識できない。よって、このテストのためにはLe Nez du Café社のエッセンスを事前に買い、練習して記憶することが重要。試験の為には果物屋に通いアプリコットの香りを覚えてもだめ。エッセンスのアプリコットの香りを記憶しなければならない。

事前に練習しておけば簡単に合格するが、練習なしで一発で合格するのはほぼ無理。追試を受ける前に会場で練習すればなんとかなるが、追試はストレスとなり他の科目に影響するので、事前に練習して当日のストレスを軽減すべき。

ただし、私が買って家で練習したものと、試験で使ったものは、同じ会社の製品にもかかわらず、それぞれのボトルが微妙に香りが違った。微妙というよりかなり違った。

そもそも、Roasted Coffeeはああいう香りとは思えないし、Coffee Blossom全然違う。もっと心地よい香りだ。

Basmati riceは発酵臭に分類されている。確かに欧米人にはコメは異臭だが、私には好ましい香りだ。また、牛丼を食べてもCooked beefの臭いはしない。

Smokeは正露丸に感じるし、Leatherは何故か新幹線の臭いに感じた。新幹線は牛皮の香りの付いた芳香剤を使っているのかもしれない。

Strawはゴルフ場でボールが藪の奥深くに入り、どうしようか悩んでいる時の臭い。

Liquoriceに至っては、食べたことがなく、第一、そんな単語も知らなかった。アメリカの子供がゴムのおもちゃみたいなものをしゃぶっているのを見かけ、変なものしゃぶっているなと思っていたが、あれがLiquoriceという菓子だと今回初めて知った。買って食べてみたが、気持ち悪くて全く好きになれない。

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2016/07/08   yamagishicoffee