農園便り
サラリーマンを辞めていきなり農業なんて出来るんですかとよく訊かれる。まあ、いろいろ覚えなければならないこともあるが、ボチボチやっている。でも、なんといっても一番難しいのはまとまった雨が降るか否かをその朝に予知する能力だ。
現在は2月に咲いた花の実が大きくなっている時期で、この時期に肥料を毎月のように撒く。肥料は雨が降る直前に撒く。肥料の中の3大要素の一つの窒素は撒いて雨が降らなければ、地面に染み込まずに空気中に蒸発してしまう。また、小雨だと地面の奥まで染み込まない。逆に洪水になるくらいの大雨だと、地面の奥深くまで突き抜けてしまい、これも良くない。
亜熱帯の島の天気は変わりやすい。雨もほんの少しの地域だけに降って、1キロ先では全く降らないことも多い。そして、テレビの天気予報はオアフ島の予報ばかりなのであまり参考にならない。また、コナ地域が雨だという予報もあてにならない。この畑で雨が降るか否かが勝負だ。
白馬のスキー場で働いていた学生時代、村の長老が雪が降るか否かの予想がとても的確だったので驚いた記憶がある。だから、そのじっちゃんになった気分で天気を予測する。じっちゃんは特定の山の稜線の雲の色を見ていたが、私はそんな極意は体得していないので、様々な情報を寄せ集めて決める。
朝起きて、天気図を見て、雨と雲のレーダーを見て、それから7時頃に外へ出て、水平線と裏手の山の方角を見て、風を見て、大体の予想を立てる。降る可能性ありと判断した日は、その後の海の上にできる雲の形と色の変化と湿度計の変化を観察して、9時ぐらいには最終判断をする。雨が降ると判断したら、急いで肥料を撒く。といっても夫婦2人で4時間くらいかかるので、予想が的中すると大抵は途中で雨が降りだし、びしょ濡れになりながらの作業だ。
自慢じゃないが、私はこの予想がうまい。妻は私を長老と呼ぶ。(単にジジイと呼んでいるだけかもしれない。)そして、自分で肥料を撒くから的確に栄養素を地面に染み込ませることができる。だから、うちは肥料を頻繁に少量ずつ撒き、年間を通して撒く量は他の畑より遥かに少ない。大抵の畑では労働者の都合の付く時に来てもらって撒くので、肥料のほとんどが蒸発してしまう。うちのお隣さんなんか私が肥料を撒きだすと、慌てて自分の畑にも肥料を撒く。
一昨日の朝、雨の確信を得たので、肥料を撒いた。その日の午後と昨日、そして今日も雨が降って、今回の肥料撒きは大成功だった。
ところで、今回はうちの畑だけではなく、コナ全体で雨が降った。うちはノースコナの北端で今年は割と雨が多いが、30km南へ行ったサウスコナでは大干ばつで国が非常事態宣言を出している。コーヒーの木も弱っていて、実の付きが悪いらしい。昨日はそのサウスコナで待望の大雨が降った。久々の大雨だったのであちらこちらで道路が洪水となった。でも、きっとコーヒーの木たちも農家も大喜びだろう。
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2016/05/11
yamagishicoffee
Source:Foxnews
消費税増税先送りが検討されている。日本の金融財政は危機的状況だ。巨額の財政赤字に加えて、日銀が国債発行残高の3割も買取り異次元の量的緩和。破綻以外に出口がない。今の金融財政政策は経済学の教科書がやってはならないと教える禁じ手のオンパレード。さらに、増税延期を求めるなど、経済破綻へと突き進むのが国民の総意に見える。
国の負債は国民一人当たり820万円。そもそも借金は借りた人(世代)が返すのが原則。なのに、借りた世代に返す意思はない。返済は生まれたばかりの赤子に押し付け、踏み倒して死んでいくつもりだ。おかげで赤ん坊はオギャと生まれた瞬間から820万円の借金だ。
家計に例えると、月収30万円の人が月々53万円を使い、差額は借金。借金総額5143万円。他人の金で収入の倍もの消費生活を謳歌しているので楽しくてしょうがない。だが、こんな虚構、ポンジー・スキームが続く訳がない。仮に破綻し返済を余儀なくされたとする。金利を2%と甘く仮定しても5143万円を30年で返すには、毎月19万円ずつの返済。月収30万円中、使える金は11万円だ。53万円の生活が日本の実力だと勘違いしている国民は、明日から11万円での生活を余儀なくされる。つまり、大幅な増税と社会保障と地方交付金などのカット。政府機能は警察、消防などごく僅かに限られる。だが、国民は自らそんな選択はしない。よって、財政破綻→国債借換不能→日銀が国債全額引受→日銀への信認失墜→円暴落・ハイパーインフレ→人々の預貯金が紙屑となる、という最悪の結末を経て、増税と財政カットを余儀なくされることになる。
破綻しない方法を考えろと主張するのも大事だが、いまだ誰もその方法を見出せず、状況は日々悪化している以上、我々個々人は破綻した場合にどうやって生きていくかを考えておくべきだ。そもそも、昨今の苦境の原因は金融財政政策の不足が原因ではない。国民全体の生活力の低下、金儲けへの欲望の低下が原因だ。日本が破綻すれば、自分の実力と運だけが頼り。だから、日本というブランドや組織力なしに、世界基準で自分の実力がどの程度かを各々が知っておくべきだ。団塊の世代を筆頭に戦後生まれの日本人は、個人の力量で切り開いていく実行力や生活力が希薄だ。サラリーマンは会社におんぶに抱っこ。終戦直後の混乱期、人々は国を当てにせず、自分の才覚を頼りに闇でも何でもやった。明治には日本で食えなければ、ハワイでコーヒーを育て、故郷に錦を飾ろうと人々は海を渡った。今の人には、そういう覚悟があるのか。
コナのコーヒー農園には、フィリピンやメキシコから来て、生きていくために精一杯に働く人々がいる。小さな家に10人もすし詰めに暮らして生活を切り詰め、コーヒーを摘んでお金を貯め、母国へ送金する。まるで明治の日本人移民だ。そうまでして自活しようと海を渡ってくる日本人は今はいない。でも、今後は事情は違うかもしれない。
米国では移民規制が強化されている。私がコーヒー栽培を始めたころ、とあるメキシコ人が手伝ってくれた。よく働くので助かった。ところが、奥さんの親が病気になったので、いったんメキシコへ帰国し、それきり、なかなか戻ってこない。やがて事情が判明した。てっきりコナに合法的に滞在していたと思っていたが、実は不法移民だった。
親の病気が一段落し、昔のように国境を歩いて渡ろうとしたところ、国境には警備員がいて追い返された。昔と違う。そこで、国境突破ツアーに申し込んだ。3日間、ガイドと一緒に野宿をしながら砂漠を横断し、警備の薄いところを走り抜け、命がけで国境を横断する。だが、奥さんは当時は妊娠6ヶ月。命を賭けて砂漠を走れない。そこで、そういう方にはお値段は張りますが、こちらのプランがございますと、業者から渡されたのが他人のパスポート。写真が似ているので、なりすまして飛行機で入国する作戦。彼女が入国したら、彼が砂漠を横断する段取りだったが、彼女は空港の入国検査でバレて捕まった。今後20年は米国に入国しない旨の誓約書にサインし、送り返された。彼も米国行きを断念。
米国にはこのように入国した不法移民が1200万人もいるらしい。世界中には命がけで働かないと暮らせない国が多くあるし、こういう必死で働く移民が来るのが米国の強みだ。820万円の借金を抱えて生まれる日本の未来の世代はこうならなくて済むのか?
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2016/05/01
yamagishicoffee
3月19日のブログにマカデミアナッツの殻を畑に撒く話を書いた。
トラック1台分のマカデミアナッツの殻は有機物として一年間に畑から収奪するコーヒーの実を十分に補う。だから、毎年収穫が終わった後は、マカデミアナッツの殻をトラック1台分ほど畑に撒くことにしたと記した。
その後、考え直し、今年は最初の年なので6台分撒くことにした。
マカデミアナッツの殻は堆肥として最高級品だ。
値段が高いのが問題だが、世界一の品質のコーヒーを作るためには欠かせない。
栄養素満点だし、有用微生物の繁殖に、もってこい。
最高の土作りとなる。
だから、今年はたっぷりとトラック6台分を撒くことにした。
今日は4台目と5台目が運ばれてきた。
マカデミアナッツの山は発酵を始めているので触ると熱い。
堆肥臭いので、お隣さんはご機嫌斜め。風向きによっては家の中にまで臭うらしい。
来年、美味しいコーヒーが採れたら、分けてあげるから、我慢してください。
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2016/04/27
yamagishicoffee
このところ、足繁くプールに通っている。午前中に農作業をして、夕方プールで歩く。ひたすら歩く。
ぎっくり腰は収獲中しょっちゅうだが、いつもプールで歩いて直す。
6か月間の収穫作業でぎっくり腰を重ね、腰をかなり痛めた。重いコーヒーのずた袋を運び続け、さらに収獲用バスケットを毎日10時間も腰に付けて収穫作業をしていたので、骨盤の周りの筋肉、腱ががちがちだ。特に足の付け根の様々な腱から筋肉にかけて痛みがひどい。朝は腰が曲がったままで真直ぐに腰を立てることができない。腰と足が痛いのでうまく歩けない。重症だ。
美味しいコーヒーを作るには収穫が最も大切な工程だというのが信条なので、自分で収穫を行うので致し方ないが、せっかく収獲シーズンが終わったのに、痛くてゴルフができないのは悲しい。ボールが全く飛ばない。
週に1~2回の鍼灸治療が欠かせないが、これでは足りない。プールで歩く。短い日は1時間ぐらい、長くて3時間くらい歩く日もある。水の中は無重力で負荷が少ない。そこを歩いて筋肉を動かし続けて血行を促進すると、少しずつ凝りがほぐれていく感じがする。
ゴルフ再開までもう一息だ。
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2016/04/24
yamagishicoffee
先週の13日のブログに、蜜蜂の巣分かれについて書いた。巣箱のすぐ横のコーヒーの木に蜜蜂たちが集まっていた。(動画はこちら: https://youtu.be/qJdONiH4Mc4)
結局、このコーヒーの木の幹ごと切り取って、新たな巣箱の中に入れた。
無事に女王蜂を箱の中に収めることができたので、他の働き蜂たちも新しい箱に収まった。
さて、この新しい箱を既存の巣箱のそばに置いておくと、働き蜂がどっちが家か分からなくなり、間違って古い方の箱に戻ってしまうことがある。だから、分蜂した箱は数キロ離れた所に置かなければならない。よって、蜂の世話をしている友人の庭に運んだ。無事、そこで元気に巣作りが始まったそうだ。
代わりに、友人の庭の巣箱から女王蜂の候補になる卵数個と働き蜂たちを分けてうちの畑に持ってきて新たな箱を置いた。
近いうちに卵がかえり、候補者の中から一匹の女王蜂が選ばれる予定だ。女の争いは熾烈だ。Winner takes all.
既存の巣箱もそれまでは2階建てだったものを3階建てにして、ハチミツをもっと作れるようにした。
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2016/04/22
yamagishicoffee
アメリカでティーパーティー(Tea Party)が一定の支持を受けているが、日本人には少しわかりにくい運動だろう。ティーパーティーは小さな政府を推進する。政府機能の効率性、有効性を疑問視し、要は税金の無駄使いだと主張する。
先週ドライブウェーにタールを塗って補修したが、ティーパーティー運動に賛同せざるを得ないことが起きた。
ここ数日、我が家の近辺は3日にわたり断水した。
幸いこのところ雨が多いので、畑に水をやる必要はない。
だが、生活するにあたって、水道が止まると不便極まりない。
2日目に水道局の職員が来て、水道タンクのセンサーを修理して帰った。
それでも断水は続くので、その夜、道路を挟んで隣のJ氏が猛抗議をした。
職員が3人ほど戻ってきて、彼の家を調べても問題が判らず午後9時まで色々と調べていたが、結局、「メインの水漏れは直した。あなたの家の水が出ないのは、あなたの家の問題であり、我々の問題ではない。自分の敷地内の水漏れを調べろ。でも、今日は残業代が儲かったからいいや。」と捨て台詞を吐き、帰って行ったそうだ。
翌朝、我が家が猛抗議に加わった。
職員が戻ってきて、「昨日修理したのに、出ないのは変だ」と、訳のわからない言い訳をしながら一日かけて修理して、夕方にはやっと復旧した。昨日センサーは直したが、タンクに続く水道管に空気が溜まって、水が入ってこれなくなっていたらしい。つまり、空気抜きのバルブを開け忘れたようだ。そんなことのために、我々は3日間も水なしの生活。
その時、お隣さんがやってきて、「おたくが先週ドライブウェーにタールを塗って補修をしたでしょう。断水の原因はそれだと水道局の職員は言って帰って行ったけど、どういうこと?」と問われた。
確かにタールは塗ったけど、ドライブウェーから一切はみ出していない。
第一、タールが下水道に流れ出て下水が詰まったというならば、言い訳として理解できるが、どうして上水路が影響を受けるのだ??
説明として全く意味不明だ。
どうしてこんな職員を税金で養わなければならないんだと、ティーパーティーの気持ちが分かる気がした。
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2016/04/20
yamagishicoffee
「珈琲と文化」2016年春号に掲載されたエッセイーを転載します。
ハワイ島には雪が降る。スバル天文台のあるマウナケア山(標高4,207m)の頂上は、冬には雪で白くなる。雪が積もると、山頂の薄い酸素の中で午前中にスノーボードで滑り、車で2時間かけて海まで行き、午後に常夏の海でサーフィンをする強者が現れる。
コナから北へ60kmのワイメアの町は標高が高く、ごく稀に雪が舞う。柳家喬太郎師匠の新作落語に「ハワイの雪」という粋な落語がある。もしかしてワイメアが舞台かも 。
コナにも少し変わった雪がある。コナコーヒーの収穫は秋に始まる。年を越す頃には収穫も終盤。8割方の実は既に摘み取られている。コーヒーの木は残った実に栄養を与えようと、栄養分を枝や葉から実に移動する。葉は黄色くなる。この時期コナは乾季で、幹や枝や葉は乾燥し、コーヒーの木は最後の力を振り絞っているように見える。うちの妻などは「頑張れ、もう少しだからね」などと、木に話しかけながら実を摘んでいく。1月、収穫が終わる頃になると乾燥は進む。コーヒーの木は成長を止め、冬眠したようになる。
やがて、春が来る。雨が戻ってくる。雨が降る度に、コーヒーの木は水分を蓄える。同時に日照時間が長くなり、気温が上がると、木は成長を再開する。緑の新芽が芽吹き、木は元気を取り戻す。そして、雨の数日後にいっせいに白い花を咲かせる。花の命は短く、2~3日ほどで萎れてしまうが、次の雨が来るとまた咲く。これが5月頃まで何度も繰り返えされる。何度か開花するなかで、特に満開に咲くと、コーヒーの木も畑全体も白く見える。まるで雪のように見えることから、これをコナスノー(コナの雪)と呼ぶ。
昔の日系移民はコーヒーの花が咲くと、畑に出て弁当を使い、酒を飲み、歌い、花見をしたそうだ。ハワイには台湾から来た寒緋桜はあるが、ソメイヨシノはない。コナスノーはその代わりだそうだ。
余談だが、東京市がアメリカに桜を寄贈したのが1912年。ワシントンDCのポトマック川の桜が有名だ。それから100周年を記念して、全米で桜を植える動きが盛んになった。ハワイにも日本の桜を植えようと、ハワイの気候に合う品種として、大島桜が2012年にハワイ島で一番涼しいワイメアに植えられた。しかし、今年は2月上旬に台湾の桜は咲いたものの、大島桜は咲かなかった。暖冬で寒さが足りなかったそうだ。そういえば、昨年の夏は猛暑と豪雨が続き、年末年始は暖冬で、12月以降雨がまったく降らず、2月に入って急に冷え込んだ。なんだか気候が変だ。
コナスノーになると畑いっぱいにジャスミンの様な甘く芳しい香りがする。とても良い香りだ。この香りとともにコナスノーを彩るのがハチの羽音。たくさんのミツバチが現れて蜜を取る。ブーンという羽音は一つ一つは小さくとも、それが何万と重なり、コーヒーの葉に反響する。まるでコーヒー畑全体が鳴り響いている感じがする。家の中にまで聞こえ、朝、その音で目が覚めるほどだ。こういう日は、花を傷めないように、また、ミツバチの邪魔をしないように、農作業は控える。花見をする絶好の言い訳だ。
コナコーヒー(アラビカ種)は、同じ花の中で自家受粉するので、必ずしもミツバチは必要ない。しかし、コナではミツバチが多いほど、コーヒーの実が大きくなるし、収穫量も増えるといわれる。ミツバチは大歓迎だ。
多くの作物はミツバチが作柄を左右する。たとえばアーモンド。カリフォルニアが世界の大半を生産している。2月の開花時期に、ハワイを除く全米49州から養蜂業者のトラックが大移動し、受粉を請け負う。ミツバチは気温が13℃以上、風が時速25km以下で、雨が降っていないという条件が揃うと、蜜を取りに来る。この条件が揃っている時間をBee Hours(蜂時間)という。開花の週、特にピークの3日間にどれだけ蜂時間があったかが勝負で、それによりアーモンド市況が変動する。
海を隔てたハワイは、養蜂業者がアーモンド受粉には参加しない唯一の州だが、コナは世界有数の女王蜂の産地で、各地に女王蜂を輸出している。ハワイ島コナといえば、コーヒーやマカデミアナッツが有名だが、ハチも盛ん。コナは温暖で、様々な果物がある。1年中、花が咲き乱れる。マウナロア山とフアラライ山が貿易風を遮るので風が穏やか。ミツバチには住みよい環境だ。
ところが、ここ数年はコーヒー畑に来るミツバチの数が少ないように思われる。世界的なミツバチ減少(蜂群崩壊症候群)の波がハワイ島にも押し寄せている。数年前までは、ハワイは被害のない、世界でも数少ない地域の一つだったが、遂に、減少要因の一つとされるダニやウィルスのハワイ島への上陸が5年前に確認された。
世界の食料品の3割はミツバチにより受粉されるといわれ、ミツバチの減少は人類文明を覆しかねない由々しき問題。今やミツバチは大切な資源。心あるコーヒー農家は、花が咲く直前には、棒を持って畑を歩き回り、くもの巣を取り除く。
隣町のワイコロアのカボチャ畑では、ミツバチが来なくて、実が生らないことがあるそうだ。ウリ科は雄花と雌花があり、受粉には昆虫が必要。そこで、カボチャを育てるために、畑の一角に養蜂箱を置き、まずミツバチを育てることから始めたそうだ。
今年はうちの畑にも養蜂箱を2つ置いた。自宅の庭でミツバチを育てている友人が、うちの農園にも養蜂箱を置いて育てている。畑の近くは森で花が豊富。しかも、うちは標高600メートルで友人の家よりも5度くらい気温が低い。それがミツバチに良いらしい。コーヒーが育つ場所は涼しくて人間が住むにも快適だが、ミツバチにも快適らしい。今年はコーヒーの花の蜜の入った蜂蜜が食べられそうだ。
さて、コーヒーは開花後1ヶ月程で、花が散った跡に小さな緑色の実がなり始め、3ヶ月で小指の先ぐらいに成長する。その後サイズは変わらないが、中に徐々に栄養を蓄えて、8ヵ月後には赤く熟す。花は1月から5月にかけて咲くので、収穫は9月から1月。
このスケジュールは場所によって異なる。コナコーヒーの産地は標高200mから800m。標高の低い地域は収穫が早く終わるが、高い地域は遅くまで続く。
年によっても成熟の時期は異なる。2015年は夏の猛暑でコーヒーの成熟が早まり8月から収穫が始まり、1月までの6ヶ月間に9周した。2014年は10月に収穫が集中した。2013年は11月に一斉に赤く熟し、11月一発勝負の畑もあったらしい。時期が集中しすぎて、労働者が足りず、樹上で実を腐らせた農園が続出した。2012年は逆に、11月の収穫が少なく、10月と12月に収穫が集中した。11月分は8ヶ月前の花が咲いた日に豪雨が降り、ながめ(長雨)をいたずらに、ながめ(眺)ているうちに、花が落ちてしまった。
「花の色は うつりにけりな いたづらに わが実地に降る ながめせしまに」[1]
さて、今年は前述のとおり気候が変。11月の長雨の後に11月末に花が咲き、それ以降は雨がぴたりと止んだので、花も咲かなかった。コーヒーの木はつぼみを充実させて雨を待った。2月上旬に久々の雨が降ると2月中旬に一斉に花が咲いた。今年の収穫は7月下旬に少し、8月と9月はお休みで10月に忙しくなりそうだ。
[1] 百人一首の小野小町の歌は「花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに」
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2016/04/18
yamagishicoffee
昔のCMで懐かしいのが、レナウン娘である。
昨日からこの唄が頭に響き続けて離れない。
ドライブウエイに春が来りゃ
イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ
イェイ イェイ イェイ イェイ
プールサイドに夏が来りゃ
イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ(イィわ!)
レナウン レナウン レナウン レナウン娘が
オシャレでシックな レナウン娘が
ワンサカ ワンサ ワンサカ ワンサ
イェーイ イェーイ イェイ イェーイ
というやつだ。
春がドライブウェーで夏がプールサイド。
そして、テニスコートに秋が来りゃ~
と続き、最後が
ロープウェイに冬が来りゃ~だ。
ドライブウェーとは表の道路から家の車庫までをつなぐ道で、車社会のアメリカの家には必須。日本でドライブウェーというと、ドライブするのに適している景色の良い自動車道路を意味することが多いようだが、英語ではScenic Highway。ドライブウェーとは家の敷地内にあるものだ。
したがって、ドライブウェーはほとんどの家にある。プールもまあまあ一般的だ。テニスコートとなると珍しいが、ないこともない。コミュニティーで共有のテニスコートを作るなどはよくある。
だから、これらはアメリカの上流の家によくある風景だ。
ところが、なんで最後はロープウェーなんだろう?
ロープウェーのついている豪邸は今まで一軒しか見たことがない。しかもテレビで。
作詞作曲の小林亜星さんに聞いてみたいところだ。
冬だからスキー場のロープウェーをイメージしたのだろうが。。。。
ちなみに、我が家にはドライブウェーはあるが、プールもテニスコートもロープウェーもない。
昨日は我が家のドライブウェーのアスファルトの表面に補修材を塗った。タールを水に溶かしたもので、アスファルトの上に塗り付ける。7年に一度はこれを塗ることが望ましいらしい。
私にとっては、コーヒーを天日干しにする重要な場所だ。ひび割れがあると豆がひびに入り込み困る。スムーズに補修する必要がある。
お隣さんが前にやって、補修材が余ったので、うちのドライブウェーにも塗ってもらった。
彼は高校時代に近所の家のドライブウェーに塗りまくってお小遣いを稼いだそうで、とても熟練している。
私は♪イェーイ イェーイ イェイ イェーイ♪と唄いながらのお手伝い。
もちろん、彼には通じない。あんなに外人さんばっかりが出てくるCMなのに、アメリカでは流行っていなかったらしい。
ところで、この補修材を塗っている時や乾く前に雨が降ると台無しになる。よって、天気の良い日にやる必要がある。ところが、3月中旬以来、我が家では、ほぼ毎日雨が降るので、降りそうにない日を選ぶのがたいへんだった。ハワイ諸島に高気圧の張り出してきた日を選んでの決行となった。幸い作業中には雨は降らなかったが、夜になって降った。今日も降ってせっかくのきれいになったドライブウェーが水浸し。乾くのに4日ぐらいかかるそうで、いまだ一歩も足を踏み入れていない。きれいに乾いてほしいものだ。雨はコーヒーには良いが、降りすぎも困りものだ。
うちの畑はノースコナの北の端にある。最近この辺りは雨が多い。ところが、20kmくらい南のサウスコナでは大干ばつ。11月以降、ほとんど雨が降らずに困っている。うちの近所のコーヒーの木は春になり雨が降り出して以降、みずみずしく青々としてきたが、サウスコナのコーヒー畑はいまだに黄色く干からびて見える。例年ならば、サウスコナの方が雨が多いのに今年は不思議だ。
ノースコナとサウスコナを比べると、一般的にノースコナの方が標高が高く、サウスコナには標高の低い農園が多い。理由は例年ならサウスコナの方が標高の低いところまで雨が降るから。それなのに、今年はサウスコナはさっぱり降らず、なんだか、去年からコナの気候が変だ。
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2016/04/15
yamagishicoffee
動画はこちら: https://youtu.be/qJdONiH4Mc4
昨年の12月から友人がうちの畑で蜜蜂を育てている。昨日巣別れを観測。とても珍しい現象らしい。いきなり見られるとはラッキー。
蜜蜂は巣の中がとても健康で蜂の数が多くなりすぎると、成功した巣の最後の仕事として、巣別れをする。
新たな女王蜂を生み残し、働き蜂たちは古い女王蜂を連れて巣を飛び立つ。女王蜂が決めるのではなく、働き蜂たちがグループで決める。まず、彼女らは3日分のハチミツを抱えて巣を出て、近くの木の幹などに集まる。そこで、3日ほどかけて新たな巣となる場所探しをする。3日以内に新居が見つからないと食料が尽きて困る。また、その3日間に大雨が降ると全滅する可能性がある。彼女らにはとても危険な3日間だ。
木の下に仮の巣箱を置いた。その巣箱を新居として選んでくれるか否かは蜂次第だ。家の屋根裏などに住まれては迷惑だし、こちらとしては蜂がどこかに行ってしまうと資産喪失だ。昨日の集団はコーヒーの木の上から下までの大集団だった。今朝は半分くらいの大きさに減って、下の巣箱の中に蜂が入っている。このままその巣箱を住処にしてもらえれば、大いに助かる。
誰かが新居の候補を見つけると、集団に戻って、お尻を激しく振りダンスをする。ダンスが激しければ激しいほど新居が好ましい。仲間を連れてその候補を視察に行き、視察団が気に入ると、みんなで激しいダンスをする。グループの8割が同意する住処を見つけると引越しをする。今朝見たら、みんなが激しくダンスをしている。
ふつうは雨が降って野に花が咲き始める春先に起きる現象らしい。しかし、うちの養蜂箱を置いて半年もたたないのに巣別れとは、驚異的な健康状態だ。海岸に近い町中は暑いので、これほど蜂は健康に育たない。うちは標高600m。町中よりも5度くらい気温が低く、人間にもコーヒーの木にも蜜蜂にも住みやすい環境だ。コナスノーでコーヒーの花がたくさん咲いたし、周りの森にも花が豊富。また、畑に殺虫剤を撒かずにコーヒーを育てていることも、蜂の健康に寄与していると思う。
自家製のハチミツは実においしい。
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2016/04/13
yamagishicoffee
今日はマスターズの最終日だ。
松山選手は残念でした。
でもジョーダンスピースはもっと残念でした。
畑は雨なのでゴルフに行った。すると、最終ホールのピンフラッグがマスターズの物になっている。
私の所属するカントリークラブにはオーガスタのメンバーのおじさんがいて、彼の関係からこの旗が来たのだろうか。
そのおじさんはものすごくゴルフがうまい。びっくりするくらいうまい。
聞いたところによると2回もマスターズで優勝しているそうだ。
実はクラブにはテニスコートもあって、メンバーにテニスのうまい女性もいる。ものすごくうまい。
聞いたところによるとウィンブルドンをはじめ米仏豪の4大大会は全部優勝しているそうだ。
コナにも凄い人たちがいるのだ。
自慢じゃないが、私はそのおじさんよりテニスがうまい。
その上、その女性よりもゴルフがうまい。
しかも、そのカントリークラブで一番コーヒー摘みがうまい。
意味ないか。。。。
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2016/04/11
yamagishicoffee