Olfactory Tests 嗅覚試験
コーヒーに含まれることが多い36種類の香りを識別する能力を試される。
香りは大きく4つのグループに分かれる。試験はそれぞれのグループごとに行われる。よって、計4回。すべての香りを記憶しておく必要がある。
例えば、Enzymaticの試験であれば、Enzymaticに分類される9個のエッセンスが机に置かれる。ビンの番号も見えるので、番号を暗記しておいてもよい。そして、さらに6個のビンが置かれる。ビンにはテープが張ってあり番号は見えない。そのかわりA、B、C、D、E、Fと書いてある。ABCDEFのそれぞれのビンが、9個のビンのどれと同じであるかを判別する。
また、ABCDEFの中から3つが指定され、それの香りの名称を答える。
該当がなく空欄であるべき箇所が3つある。そこに誤って何かを記入すると減点になる。
仮にAのビンがアプリコット(16)だったとする。そして、アップル(17)はABCDEFの中になかったとする。Aを誤って本来空欄であるはずの17の欄に記入すると、そこで1点減点、さらに、16の欄も正解のAが記入されていないので、さらに1点減点。もし、名称を答える欄にAが出題されており、そこにAppleと誤解答するとそこでも1点減点となり、計3点の減点となる。
計9問中6問正解で合格。
赤いライトの下で行われるので、色で判別することはできない。
Enzymatic コーヒーの生豆の中に存在する酵素に由来する香り。お湯を注ぐ前の挽いたコーヒーの粉によくある香り。Cupping中のDry Fragranceの項目はこの香りを探す。
- Flower: Tea-rose/Redcurrant jelly, Coffee blossom, Honeyed
- Fruity: Lemon, Apricot, Apple
- Herbal: Potato, Herbal, Cucumber
Sugar Browning コーヒーを焙煎することにより糖分が焦がされて生成される物質に由来する香り。お湯を注いだ後に立ち上がる香り。Cupping中のWet Aromaの項目はこの香りを探す。
- Caramelly : Butter, Caramel, Roasted peanuts
- Nutty : Roasted almonds, Roasted Hazelnuts, Walnuts
- Chocolaty : Vanilla, Toast, Dark chocolate
Dry Distillation 焙煎された豆の繊維をお湯を入れて抽出することによって発する香り。鼻の奥で感じる。
- Spicy : Clove-like, Pepper, Coriander seeds
- Resinous : Cedar, Blackcurrant-like, Liquorice/Maple syrup
- Pyrolytic : Malt, Pipe tobacco, Roasted coffee
Aromatic Taints コーヒーの実の収穫後に付く香り。精製や保管中につく香り。必ずしも常にそうとは限らないが、ネガティブな香りとされる場合が多い。ただし、Cupping form中のTaintやFaultとは異なる。TaintやFaultはカビなどのコーヒー以外の物に由来する香味を指し、このAromatic Taintsは、それほど極端にひどくなければ、あくまでもコーヒーの香味の範囲内である。
- Earthy : Earth, Straw, Leather
- Fermented : Coffee pulp, Basmati rice, Medicinal/Rio
- Phenolic : Cooked beef, Smoke, Rubber
テストはJean Lenoir氏が作成したLe Nez du Caféという香りのエッセンスを使う。もともとはワインの香りのエッセンスを作っている人。ワインやコーヒーの他にもウィスキーのエッセンスなども作っている。
一般に、味覚と違って嗅覚は先天性はない。嗅覚は脳のLymbic(大脳周辺系)で処理され、情緒や記憶を処理する部分と一緒なので、臭いは記憶することができる。また、当然だが嗅いだことがなければ、その臭いとは認識できない。よって、このテストのためにはLe Nez du Café社のエッセンスを事前に買い、練習して記憶することが重要。試験の為には果物屋に通いアプリコットの香りを覚えてもだめ。エッセンスのアプリコットの香りを記憶しなければならない。
事前に練習しておけば簡単に合格するが、練習なしで一発で合格するのはほぼ無理。追試を受ける前に会場で練習すればなんとかなるが、追試はストレスとなり他の科目に影響するので、事前に練習して当日のストレスを軽減すべき。
ただし、私が買って家で練習したものと、試験で使ったものは、同じ会社の製品にもかかわらず、それぞれのボトルが微妙に香りが違った。微妙というよりかなり違った。
そもそも、Roasted Coffeeはああいう香りとは思えないし、Coffee Blossom全然違う。もっと心地よい香りだ。
Basmati riceは発酵臭に分類されている。確かに欧米人にはコメは異臭だが、私には好ましい香りだ。また、牛丼を食べてもCooked beefの臭いはしない。
Smokeは正露丸に感じるし、Leatherは何故か新幹線の臭いに感じた。新幹線は牛皮の香りの付いた芳香剤を使っているのかもしれない。
Strawはゴルフ場でボールが藪の奥深くに入り、どうしようか悩んでいる時の臭い。
Liquoriceに至っては、食べたことがなく、第一、そんな単語も知らなかった。アメリカの子供がゴムのおもちゃみたいなものをしゃぶっているのを見かけ、変なものしゃぶっているなと思っていたが、あれがLiquoriceという菓子だと今回初めて知った。買って食べてみたが、気持ち悪くて全く好きになれない。