農園便り

SCAA/CQI認定Qグレーダー試験対策(その2)

Sensory Skills Tests 味覚試験     

Q Graderの試験の中で最難関の科目といわれる。一発で受かる人は少ないらしい。

甘、塩、酸を識別する味覚の試験。ショ糖、食塩、クエン酸の水溶液が使われる。

それぞれの水溶液が濃いもの、中程度のもの、薄いものの3種類に分かれる。つまり、全部で9種類のカップが用意され、その中身を当てる。ここまでは簡単。(Tests A とTests B) 

Test Cが難関。その9種類の水溶液を混合したものが出される。甘、塩、酸の3種類が入っているものが4カップ。2種類だけが入っているものが4カップ。さらに、それぞれ入っているものの強度を当てるというもの。これが非常に難しい。

たとえば、下の表のような答えになる。(当然だが、組み合わえは試験により異なる)

 

A

2

0

1

B

2

3

1

C

3

1

2

D

0

2

1

E

1

1

0

F

1

2

3

G

2

2

0

H

1

1

2

1薄、2中、3濃  


例えば、塩が入っているのに間違えて0にした場合、あるいは、入っていない(0のところ)に入っていると判断した場合、それぞれ4点マイナス。

さらに、濃度(1,2,3)を間違えると2点マイナスとなる。満点は96点で68点で合格。28点まで間違えても合格できる。制限時間は20分。

 

酸と甘と塩を組み合わせると、一般的に以下のような濃度の変化を感じると授業で教わった。しかし、テストは20分間と時間が限られているので、そんなことまで考える余裕がなく、全く参考にならなかった。

酸味は甘味を上げる。

塩味は甘味を上げる。

甘味は酸味を下げる。

甘味は塩味を下げる。

酸味は塩味を上げる。

塩味は酸味を下げる。

 

練習セッションで教官から受けたアドバイスでは、戦略として最初に3つ入っているものと2つしか入っていないものに分けて、それから濃度を考える人が多い。あるいは、甘、塩、酸の濃度3(濃い)ものを最初に見つけて分類していく人もいる。最終的には自分のやりやすい方法で攻めるのがよい。

 

水溶液の濃度に関しては非公開だが、試験を受けた私の感じでは以下のような具合だった。ただし、混合液の濃度は2つを混合すると半分になるので、2倍の濃度、3つを混合すると3分の1になるので3倍の濃度を使う必要がある。

 

クエン酸

1/8

1/16

1/32

砂糖

4

2

1

1

1/2

1/4


数字は500ccの水に対しての小さじの杯数

 

スペシャリティーコーヒーの命は酸味と甘み。このテストは酸味を代表するものとして、クエン酸、甘みを代表するものとしてショ糖を使う。塩は何を代表しているのか判らないが、たぶん、それ以外の味覚の代用として使っているのだろう。

教官によれば、味覚は先天的に恵まれた人とそうでない人がいるので、このテストは練習なしでも簡単に受かる人もいれば、いくら頑張ってもダメな人もいるそうだ。

普段からたくさん取りすぎている味覚には鈍感になるので、アメリカ人には甘味で間違える人が多いらしい。私は塩味で間違えた。私は塩が入っているとしょっぱいというよりも美味しいと感じてしまう。

ちなみに、Test AとBで使った、酸、甘、塩、単体の濃中薄の水溶液をTest Cの最中に参考として使えるのかと思っていたら、使えなかった。私はこのテストがそんなに難しいとは知らずに、ろくに練習もせずに行ったら、最初のテストで66点で一つ足りずに落ちた。塩が入っていないものをうまく見つけられずにあたふたしている間に20分が経過してしまった。一つのものにこだわり続けるとダメ。追試を翌日に持ち越すと精神的に参ってしまうので、直後の昼休みに再試験を志願し、今度は80点でクラスで最高得点だった。

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2016/07/07   yamagishicoffee

SCAA/CQI認定Qグレーダー試験(その1)

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6月の最終週に一週間ほどホノルルへ行き、Coffee Quality Instituteが主催する3日間の研修と、それに続く3日間に渡る22の試験を受けた。何とか合格して、妻と揃ってLicensed Q Graderの資格を取った。

コーヒーのカッピング(官能評価)の技術を図るものである。これに合格するとSCAA(Specialty Coffee Association of America)の評価基準・手順に従って、コーヒーを評価して点数をつける資格を持つ。

 とても集中力を要するストレスフルな試験で、苦しい体験だった。一つつまづくと、そのストレスに耐えられず、雪だるま式に転げ落ちていく感じがした。リタイアして10年、あれほど苦しい体験はない。嗅覚と味覚で感知してそれを言語で表現するなんて、これまでの人生でそんな脳の使い方をしたことがない。大学受験、銀行員、ウォールストリートバンカーという脳の使い方をしてきたのだ。どの試験も他の受験者がさっさと回答して合格していくのに、私だけは制限時間いっぱいまでコーヒーの前で首をかしげながら粘り続け、見るも哀れな形だった。試験の最後には、混乱と疲労で、舌と鼻と脳が完全にシャットダウンして何もわからなくなってしまった。

ただ、コーヒーに関する知識を問う4択の筆記試験だけは、クラスでぶっちぎりダントツで合格した。そういう脳の使い方は得意なのだ。あの試験は良い気晴らしになり、脳が休まった。あれがなければ、その次の私が最も不得手とする非水洗式(ナチュラル)のカッピングとトライアンギュレーションは合格できなかっただろう。

 今回の受講者は7人。少人数で雰囲気の良いチームだった。それに加えて、前の週のサンフランシスコで行われた試験に不合格の人が追試を受けに来た。

この試験がハワイ州で行われるのは今回が初めてなので、ハワイ州でこの資格を持っているのはごく少数だ。今回、コナからは私共2人の他にも2名が参加した。難関にもかかわらず全員合格した。生産地として誇らしい結果だ。

オーストラリヤやニュージーランドからも参加者があった。それらの国では、ウェイティングリストがあり、受験までに1年以上も待たなければならないらしく、今回、ハワイでの開催を機に、休暇を兼ねて飛んできたそうだ。

日本での試験は大人数だと聞く。もし、英語に問題のない人であれば、少人数のハワイで受験したほうが断然有利だ。

教官のJodi Wieserさんもとても親切で、我々がリラックスできるよう工夫してくれた。チーム内の協力的な雰囲気づくりもしてくれた。解答用紙を提出したときに、合格だと明るく”All right!”言いながら解答用紙に大きくPass!と書いてくれる。ところが、不合格だと、puppy eyes(子犬のような無垢な目)で悲しそうに見つめられる。あの優しい無垢なpuppy eyesを皆が恐れた。

 世界中のコーヒー畑で働いている人は3000万人と推定され、コーヒー店やレストランなどコーヒーに関連した仕事に従事している人数は1億人にも上ると推定されている。世界人口が72億人なので、72人に1人はコーヒーから収入を得ていることになる。

その1億人の中でLicensed Q Graderの資格を持つ者は約3500人ぐらい。毎日、様々な種類のコーヒーを評価することによって培われた専門技能を要求されるプロの鑑定士である。

一方、私どもといえば、毎朝コーヒーは飲むものの、飲むのは自分の畑のコーヒーだけ。日本に旅行で行ったときなど以外に他の国のコーヒーなどほとんど口にすることはない。はっきり言って、カッピングのど素人だ。

唯一のアドバンテージは、ほとんどの人がめったに口にすることのない最高級品のコーヒーを毎日飲み続けていること。しかも、ティピカ種、手摘み、水洗式、天日干しで、コーヒーの本家本元の香味だ。良いコーヒーはどうあるべきかについては、自分なりのハッキリとした基準を持っている。たとえコーヒー業界の人でも、毎日90点前後のコーヒーを飲み続けることはないであろう。私の唯一のアドバンテージだ。

 私が他人のコーヒーを飲む場合は、常に自分のコーヒーと比べてどうかという観点から飲む。もちろん、山岸コーヒーと比較しながらコーヒーを飲むのは世界で私と妻だけで、当然ながら他人はそういう見方をしない。一方、Q GraderたちはSCAAの基準に従って評価するので、同じコーヒーには、ほとんど同じような点数を付けるという。なので、私が自分のコーヒーを熱く語ったところで、見方が違うので話がすれ違う可能性がある。私にとってはこのコースと試験を受けることはとても意義のある体験であった。

 そもそも、ど素人の私がQ Graderの試験を受けるなんて、高尾山も登ったこともない私がいきなりエベレストに挑戦するようなものである。無謀の限りだ。しかし、こうなったのには理由がある。実はホノルルのとあるレストランが毎月末に主催するゴルフトーナメントに出場しようと思ったが、ただゴルフをするためだけにホノルルへ飛行機で行くのは無駄だ。よって、その月例会に参加する際には、必ず他の用事を合わせる。今回はホノルルでコーヒーのセミナーが開かれるというのを見つけ、申し込みをした。その時点ではQ Graderなどという単語も知らないので、それが資格試験だということは全く気が付かなかった。ただの勉強会かと思っていた。ホノルルで一週間、毎日買い物をして美味しいものを食べながらコーヒーの勉強ができると呑気に考えていた。まさか、あんなに苦しい地獄のトレーニングになるとは。

試験の3週間くらい前になって、とても難しい資格試験だと知らされた。募集要項を読み直すと、確かに、かなりの実務経験を要し、素人には無理と書いてある。慌てて資料を取り寄せ、2週間ほど付け焼刃のトレーニングを始めた。

体験者のブログのアドバイスに従い、期間中はアルコールや極端に脂っこいもの、甘いもの、しょっぱいもの、辛い物を口にしないようにした。

セッションと次のセッションの間に歯磨きをしたが、実はこれは大失敗で、他の参加者の中には、この期間中だけ刺激の少ない歯磨き粉に変えている人もいた。ましてや、試験の間にフレーバーの付いた歯磨きをするのは自殺行為のようだ。

とにかく、最終日のお昼前にすべての試験に合格して資格が取れた時には、何もできないくらい疲れ果てていた。スターウォーズのジャージャービンのように、舌がベロベロベロベーとなってしまった。帰りの飛行場で待ち時間にビールで乾杯したが、あれほど好きなビールも体がまるで受け付けない。とにかくつらかった。


試験内容は以下の通り。

General Coffee Knowledge筆記試験

Sensory Skills Tests 味覚試験     

Olfactory Tests 嗅覚試験

Triangulation Tests 3つの中から一つだけ異なるコーヒーを選ぶ試験

(中南米、アジア、アフリカ、非水洗式の4セッション)

Organic Acid Matching Pairs Test 有機酸の識別試験

Roasted Sample Identification 異なる焙煎度合いに関する試験

Green Coffee Grading 生豆の欠陥豆を識別する試験

Cupping Tests カッピングの実習試験(中南米、アジア、アフリカ、非水洗式の4セッション)

 

カッピングの実習試験と筆記試験以外は、不合格でも最終日までに2回まで追試を受けることができる。最終日の午後は追試に充てられる。

 

次回からはその試験の傾向と対策をお伝えする。

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2016/07/06   yamagishicoffee

コナコーヒー農園便り 2016年7月号 接ぎ木

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海側の新しい畑は4年目に入った。とかく若い木は、まだ根が未発達のくせに、実を沢山付けようとする。向こう見ずなのは若者の特権だが、若気の至りなどと笑ってはいられない。実の付けすぎで突然死することもある。Overbear die backといい、3~4歳の木によくある問題。加えて昨年夏の猛暑によるストレスだ。2100本の3歳の木のうち、昨年は約120本が死んだ。たいていは木の下の地中に大きな石があり、根がきちんと張れなかったものが多い。また、2100本もあれば、中には成長の悪い木もある。早い時期に植え替えたほうが長い目で得だ。  

今年は接ぎ木をした苗木を買った。この農園では初の試み。コナティピカ(アラビカ種)が上で下の台木の部分はリベリカ種(写真の根元の色の濃い部分)。

コーヒーの品種には主にアラビカ種とロバスタ種がある。コナコーヒーは原種に近い純粋のアラビカ種である。アラビカ種は香味に優れるが、ひ弱で根も弱い。一方、缶コーヒーやインスタントコーヒーの原料として使われるロバスタ種は香味に劣るが、根が強く劣悪な環境でもよく育つ。接ぎ木をする場合、一般的に他の産地では、上はアラビカ種で根はロバスタ種にする。ロバスタの強い根を持ち、香味はアラビカ種にするいいとこどりが狙いだ。

ところが、コナでは台木に、さらに別の品種のリベリカ種を使う。理由は線虫対策。コナの線虫は強烈すぎてロバスタ種でさえ対抗できない。リベリカ種は飲用には不向きだが、背の高い大木になる種類で根がとても強い。

線虫は顕微鏡でないと見えない小さな生物で、コナの土壌に住む。コーヒーの根に付くと根が栄養を吸えずに木が枯れる。土の中の線虫は早くは移動できない。一本の木が被害にあっても2m離れた隣の木まで地中を移動するのに数年かかるので、畑全体が被害にあうのは稀だ。ところが、木の植え替えなどすると、元の木の根に線虫がいれば、畑全体に線虫が拡散する。毎年、春には地面に落ちたコーヒーの実が発芽して、そこらじゅうに生えてくる。これを抜いて他の場所へ植え替えるのは厳禁。線虫の被害が拡散すると、その畑では2度とコーヒーは育たない。だから、苗木は線虫のいない土で育てた信頼のおける業者から買ってくる。中には土を熱い鉄板の上で焼いてから使用する業者もある。

うちの畑には線虫の問題はないので、これまでは接ぎ木を用いていなかった。上から下まで純血のアラビカ種だ。しかし、若木が死んだ場所は地中に大きな溶岩があることが予想される。2012年8月号の農園便りに記したように、つるはしで岩を取り除いても良いが、120本はとても無理。根の強いリベリカ種の接ぎ木を使うことにした。

接ぎ木にすると木の成長が早くて生産量が上がる。農園主としてはうれしい限り。初期コストは高くとも接ぎ木を用いる農園は多い。ところが、ピッカーには評判が悪い。根が強いので、成長が良すぎる。背が高くなって収穫が困難。おまけに手の届くところまで幹をたわませようにも、幹が太くてたわませにくい。実にピッカー泣かせだ。

一般的な農園主でそんなピッカーの泣き言まで気にする人は少ないが、私は彼らと違って、農園主、兼、ピッカーなので、嬉しいやら恐ろしいやら。

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2016/07/03   yamagishicoffee

ストレステストをやってみた

アメリカでも日本語放送でNHKスペシャルが見られる。
先日のシリーズ「キラーストレス」の中で紹介されていた、ストレスチェックテストをしてみた。
テストはこちら: https://www.nhk.or.jp/special/stress
260点以上:ストレスが多い要注意の段階
300点以上:病気を引き起こす可能性があるほどストレスが溜まっている可能性がある段階

この基準に対して自分の点数を比べてストレス度を認識する。
やってみたら、現在の私は166点。ほとんどストレスのない状況だ。
ちなみに、2001年の同時多発テロ事件直後にウォール街で働いていた頃のことを思い出してストレス度を計ったら、軽く1500点を超えた。病気になるレベルの5倍だ。

ハワイでのコーヒー栽培は精神衛生上とてもよろしい。

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2016/06/25   yamagishicoffee

ストロベリー・ムーンをみましたか?

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昨日は夏至。私の家は真西に向いているので、秋分と春分の日には夕陽が真正面に沈む。夕陽は夏は右に移動し、冬は左に移動する。夕陽の位置で季節を感じる。夏至の昨日は最も右に夕陽が沈んだ。

また、昨晩はストロベリームーンだった。6月の満月をストロベリームーンと呼ぶ。由来はアメリカ先住民のアルゴンキン族がこの月が昇ったらイチゴ摘みの季節と判断したからだそうだ。しかも、夏至とストロベリームーンが重なったのは、1967年以来で、次は2062年6月21日だそうだ。ちょっと見れそうにはない。ちなみに、昨夜の月はコナの空では赤ではなく白かった。

イチゴといえば、ロンドンのウィンブルドンのテニス選手権が有名で、6月のトーナメント中はクリームを添えたイチゴが名物。ウィンブルドンはボルグが全盛の頃、真夜中の放送に噛り付いて試合を見ていた。イチゴはその頃からの憧れで、数年前にウィンブルドンの会場に行った際には、試合を見る前に、真っ先にイチゴを買って食べた。

以前、12月に日本に行った際、レストランの店員が、デザートには今が旬のイチゴでございますと言ったので驚いた。私のことだから、当然、その店員に噛み付いた。同席していた家族は私の反応にもっと驚いた。今やクリスマスの時期がイチゴの旬なのは日本の常識だとたしなめられた。

ところで、最近読んだフランス人の書いたワインやコーヒーの香りに関する本によると、コーヒーの香りには何十種類もあって、キャラメルの香りに関しては、西欧人はイチゴに感じる人が多く、アジア人には焼いたパイナップルに感じる人が多いと書いてある。

私なんか、ワインはブドウの味しかしない。コーヒーも人にはキャラメルの香りとか、恰好つけて言うこともあるが、コーヒーにはコーヒーの香りしかしない。どういうことだ?

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2016/06/21   yamagishicoffee

アジサイにコーヒーをあげたら真っ青に

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最近、いろいろなコーヒーが手に入ったので、毎日カッピングをしている。

ブルーマウンテン、ブルンジ、エチオピア・イェルガチェフ、エチオピア・チェルベサ、コロンビア、コロンビア・ゲイシャ、マンデリン、東チモール、そして山岸農園のコナをカッピングして比較する。

やっぱり、自分のコーヒーが一番美味いなと悦に入る究極の手前味噌な遊びだ。

ところが、同じコーヒーでも、日によってカッピングのスコアーが違ってくるので、自分の感覚の不安定さとカッピング技術の未熟さに呆れて、顔が真っ青になる。

真っ青になったのは私の顔だけではなく、我々がカッピングをしているキッチンのすぐ外のアジサイの花の色も真っ青に変化した。

家の周りの草花も我々の顔色をうかがっているのだろう。

 

実は、カッピング中に大量のコーヒー液と出がらしの粉がでるので、それをボールに貯めて、キッチンのドアのすぐそばにあるアジサイの木の周りに捨てていたら、徐々にアジサイの花の色が変わってきた。

ピンクが多かったものが、青い花ばかりになった。

調べてみたら、アジサイの花は土の酸性度で色を変えるらしい。酸性度が低ければピンクで、高ければ青くなるそうだ。

 

コーヒー液は酸性だ。私がカッピングしているのはすべて高得点のスペシャリティーコーヒー。爽やかな酸味が特徴の絶品ぞろいだ。クエン酸、酢酸、リンゴ酸、がたっぷりのコーヒーだ。

アジサイの色が青に変わったのは、毎日コーヒーをあげていたので、土の酸性度が上がったらしい。

 

ところで、化学的なことは良くは知らないが、梅干しがアルカリ性食品であるのと同じで、コーヒー液は酸性だが、体内に入ると、体内をアルカリ性にするからアルカリ性食品だという議論はよく見かける。

アジサイの体内はアルカリ性にしないのだろうか??

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2016/06/18   yamagishicoffee

剪定(その4)剪定バサミ

剪定作業に欠かせないのが剪定バサミだ。盆栽を楽しまれる方には常識だろうが、剪定する際には枝に斜めにハサミの刃を入れると切りやすい。斜めでなく、枝に対して垂直に切ろうとするとかなりの力を有するし、ハサミが壊れやすい。切れの悪いハサミだと、どうしても力任せに切って、枝の切り口が荒くなる。そこからばい菌が入りやすく樹が病気になる原因だ。また、ハサミにも余計な負担がかかり、壊れる原因だ。よく切れる良質のはさみだとサクッサクッ、パチッパチッと切れて、切り口もきれい。ハサミに負荷が掛からないし、手も楽だ。
 

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私は日本で買ってきた写真のはさみを使っている。最高級品で、山形の野村屋製製鋏所の「村久」だ。鍛冶屋の職人さんお手製の大変なすぐれものだ。もう、これなしではコーヒー栽培はできない。
 

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妻はこれ。岐阜の会社の「岡恒」。値段は安く、大量に生産しているので、日本では簡単に手に入る。こちらも素晴らしい。

コナの店で剪定バサミを買うと、米国製やメキシコ製などで、品質が悪い。ほんの数か月使っただけで、ハサミの刃が合わなくなる。枝が切れずに刃と刃の間に枝が挟まってしまったりする。すぐに錆びたり、鈍らにになり切れ味も落ちる。大体、私の手には無駄に大きすぎる。

 一方、日本製の品質は素晴らしい。切れ味が良く、長持ちする。コナの店でもたまに日本製が棚に並ぶことがあるが、日系人の農家の人々は日本製の品質が良いことをよく知っているので、すぐに売り切れてしまう。だから日本製が欲しければ、日本に行った際に買う。

山岸農園は日本の職人の技に支えられている。コーヒーを飲む際にはフィルターやサーバーやミルなどの製品ばかりに注目するのでなく、鍛冶屋さんにも思いを馳せてほしい。日本の職人さんに感謝だ。

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2016/06/15   yamagishicoffee

剪定(その3)

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ハワイには台風はほとんど来ない。ハワイ島に台風が近づくことがあっても、マウナケアとマウナロアの4000m超の山々が壁となって、台風がするっと進路を変えてしまう。しかし、珍しく昨年と一昨年は台風がいくつか近くを通過した。歴史上初めて台風がハワイ島に上陸もした。ハワイ島の歴史といっても、ヨーロッパ人が来て以来の歴史だから250年程度だけど。

コーヒーの木は強風が苦手だ。コーヒーは地下1m程度にしか根を張らない。しかも産毛のようなぽよぽよっとした根なので、強風が吹くと倒れることがある。特に3歳以下の若い木はなおさらだ。どうしても根が張る前にひょろひょろと背が高くなる。

新しい方の畑の木は苗木を植えて、丸3年が経過した。1歳と2歳の時に台風の強風が来て、合計で200本以上の木が根こそぎ倒れた。倒れた若木の横に鉄の棒を立てて針金で支えて立て直した。倒れないまでも、多くの木が僅かに傾いた。風に沿って傾いたので、みんな同じ方向に傾いている。だから、膝の高さにカットバックした切り株もみんな仲良く少しづつ傾いている。

先日記したように、2月に剪定をして、新しい幹の新芽がたくさん出てきたので、その中から3本を選ぶ作業をしている。中には台風で大きく傾いたものの、私が真直ぐに立て直しそびれたために、傾いたまま根がしっかりと張った木がある。新芽の幹は上へ伸びようとするので、大きく傾いた木は写真のように伸びてくる。

実はこれだと、各幹の間が広くとれる。株の根元から先端まで水平方向に30cm程度ずれているので、その分スペースが広く使える。普通ならば3本の幹を選ぶところを、場合によっては4本を残すことができて、収穫量が上がる可能性がある。

実際に、故意に苗木を斜めに植えてスペースを多くとる手法は、その効果には賛否両論あるものの、世界各地でよく行われている。

私の農園では、苗木を真直ぐに植えた方が安定していて、木の健康に良いような気がするので、故意に斜めに苗木を植えることはしていない。ただ、2年続いた台風の接近によって、図らずも何本かが斜めになった。斜めに育った曲者の方が、真直ぐに素直に伸びた木よりも収穫量が多くなるかもしれないと、素直でない私は期待する。
でも、素直な育ちのいい人を見ると羨ましいよね。。。。

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2016/06/13   yamagishicoffee

コーヒーの木の剪定(その2)

今年の2月に畑の3分の1を膝の高さにカットバック(剪定)した。以前は、Beaumont-Fukunaga 方式といって、3列に一列の割合でその一列全部をカットバックする方式をとっていたが、3年前からCBBという害虫対策のために畑の3分の1のエリアをすべてカットバックする方式に変えた。エリア全体をカットバックしてしまえば、そこには1年間害虫が全くいなくなるので、害虫駆除が楽になるし、より効果的に被害率を下げることができる。
 

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上の写真が3か月前の今年の2月にカットバックしたもの。すでに、新たな幹となる新芽が出ている。
 

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この写真は昨年の春にカットバックしたもの。この木だと、今年は10ポンド程度の収穫が期待できる。
 

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この写真が2年前の春にカットバックしたもの。もうかなり樹高が高く、実もたわわにできる。30~50ポンドの収穫が期待できる。これ以上背が高くなると、はしごでも使わない限り収穫ができないので、今シーズンの収穫が終わったらカットバックする。

つまり、コナでは3年ごとのカットバックサイクルだ。

この年数は産地によって異なる。コロンビアなどでは6年ごとにカットバックする。おそらく3年ごとというのはハワイ・コナだけではないかと思われる。

コナはティピカという原種に最も近い最高級品種を育てていて、それが放っておいてもどんどん育つコーヒーの原種に最適な気候と土壌を持つ。他の産地では考えられないスピードだ。コーヒーが喜んで育てば、それだけ質の良いコーヒーができる。

また、他の産地ではティピカがうまく育たないので、香味を犠牲にして、品種改良した品種を育てている。つまり、増大する消費国からの需要を賄うために、ほとんどの産地では、本来はコーヒーの育ちにくい場所に、品種改良して無理やりコーヒーを育てていることになる。

消費国からの価格圧力も強い。なにせ、一杯100円にしようというのだから、コスト削減が生き残りのカギとなる。手間ひまのかかるティピカなどは高級品のニッチに追いやられ、生産の容易な品種改良種が世界の主流となった。どうせ、砂糖とクリームを入れるんだろう、味にうるさいこと言うなよ、というのが、消費国からの価格圧力に対する、生産国側からの答えだ。


手摘みの場合、コーヒー農園でのコストの5割以上が収穫のための人件費だ。コスト削減のカギは速く容易に収穫すること。だから、品種改良して背が高くならない矮小種を植える。ティピカのように背が高いと一日中上を向いて、首の痛みと闘いながら摘まなくてはならない。矮小種を摘むのはとっても楽だ。だから、他の産地では、なかなか背が高くならず、それほど頻繁にカットバックする必要もなくなるという側面もある。

19世紀後半に日本人移民によって築かれたコナコーヒー。楽園ハワイでは、そんなコーヒーの資本主義の潮流、品種改良の波から、完全に取り残されて、今でも原種のコーヒーが伸び伸びと生息している。コーヒーに最適な気候なので、コーヒーが信じられないくらいのスピードで成長する。だから3年に1度の割合で剪定するのだ。

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2016/06/10   yamagishicoffee

剪定(その1)

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2月にコーヒーの木を剪定した。例年通り、畑の3分の1の木を膝の高さにカットバックした。それ以来3か月が経った。カットバックした株からは新たな幹となる新芽がたくさん出てきた。20~30本はあるだろうか。その中から、まずは、この時期に5~6本に絞り、それ以外はすべて摘み取る。そして、9月頃に最終的な3本を選ぶ。3本の幹を育てるのだ。

上の写真の一枚目は新芽の間引き前の写真で2枚目は間引き後の写真。

下の写真の3枚目・4枚目はより近くから見たもの。
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4年前に苗木を植えて育てた際には幹は2本に制限したが、今は4歳で根もしっかりついてきたので、今回は3本に増やす。

3本の組み合わせを選ぶ際には、空間をなるべく広く使えるように選ぶ。力強く伸びた健康な新芽を選ぶのだが、必ずしもそれだけではない。どんなに力強く伸びてきても、2本が隣同士では同じ空間で競合してしまうのでよくない。株の外側に向かって伸びた芽を3本バランスよく配置するのが肝要。内側へ向かって伸びる幹は摘み取る。

空間把握能力が問われ、割と頭を使う。また、畑は斜面にあり、斜面の山側と海側では、山側に実が多い方が、地面が高いので収穫する際に手が届きやすくて楽になる。斜面の山側の空間と海側の空間では、私は個人的にどちらかというと、山側の空間をひいきにしている。

どの新芽も懸命に伸びようとしているのに、その中から限られたものだけを残し、あとは切り取るわけだから、こちらの責任も重大だ。彼らにとっては生死の境目となる意思決定の連続なので、どれにしようどれにしようと悩みながらの作業となる。

うちの畑には約3,300本の木があり、今年は約1,300本の木を剪定した。仮に一本の木あたり20本の芽を摘み取り、3本を残したとすると、約26,000本の幹を捨て、約3,900本の幹を選び取る勘定になる。

コーヒーの世界だって競争倍率が厳しいのだ。うちはゆとり教育は採用していません。

 

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2016/06/08   yamagishicoffee