農園便り

山岸農園は殺虫剤を使用していません。

201308picking-300x224.jpg

 

先月、日本に生豆を空輸した。その際に成田で農薬のサンプル検査を受けた。6kgも生豆を取られて、さらに検査料まで請求された。一昨年もサンプルに引っかかったのでツイてない。もちろん一昨年も今年も無事にパスした。

最近CBBという害虫がコナで問題になっている。日本の輸入管理ではコナからのコーヒーが狙い撃ちされて検査されている印象を私は受ける。今年は大手の農園のコンテナーが検査に引っかかり入国できなかったらしい。

山岸農園では殺虫剤は使用していない。また、他の農園の豆が混ざることがないので、殺虫剤使用の豆が混入することもない。ご安心を。

≫ 続きを読む

2016/04/09   yamagishicoffee

マンゴーの花と実

201603-Mango-flower-300x225.png

 

北極へ行く前は畑のマンゴーの花が咲いていた。町中のマンゴーが花盛りだった。

コナのマンゴーは本当に甘くておいしい。我々地元の人は誰々の家の木から採れるマンゴーが美味しいというのを知っているので、実が採れると全部、親戚友達で食べてしまう。その一つ下のランクの木から採れる実は地元のスーパーに並ぶ。我々にはあまり興味のない木の実は観光客向けのファーマーズマーケットへ行き、日本からの観光客が美味しい美味しいと、喜んで買っていく。そりゃー、日本で売ってるバカ高いものよりも美味しいでしょう。

マンゴーの実は甘くて魅力的なくせに、その花は全然美しくない。

うちの畑のマンゴーは植えて8年になるが、一度も実を付けたことがない。毎年、花は咲くのだが、ほとんど実が生らず、数個だけ生っても、小さいうちに落ちてしまう。
 

201604-Mango.png

 

北極から帰ってきたら、花は散っていたが、たくさんの小指の先位の小さなマンゴーの実が生り始めている。

今年は期待できそうだ。

≫ 続きを読む

2016/04/06   yamagishicoffee

コナコーヒー農園便り 2016年4月号 オーロラ鑑賞 コーヒーは体を温めるか冷やすか

201604-aurora-300x174.png

 

1年分のコーヒーの出荷が終わり時間に余裕ができたので、北極へオーロラを見に行った。極寒の中、わざわざハワイから持参した自分のコーヒーで体を温めて悦に入った。

以前、ある方から「風邪の時は白湯が体が温まって一番。コーヒーは体が温まらないので、風邪の時はコーヒーよりも白湯。」というお話を伺った。北極ではコーヒーで体が温まったが、日本では違うのだろうか。とても示唆に富んでいるので色々と考えてみた。

 まず、インターネットで検索した。確かにコーヒーは体を冷やすと書いてある。漢方理論では南方原産の植物は体を冷やす効果がある。暑い南方では、人類は長い歴史の中で、体を冷やす食物を選んで栽培するようになった。コーヒーも熱帯・亜熱帯地方で栽培される。したがって、体を冷やす効果があるというのが、ネットにあまたある記述に共通した説明だ。また、コーヒーには利尿効果があり、尿と一緒に熱が対外に放出されるので、体温が下がるとの説明もある。まさに、このような説明一色で、コーヒーは体を冷やすというのは、日本のネット界の常識だ。

 一方、英語で検索すると、世界中の科学者が書いた研究論文が出てくる。それらに概ね共通していることは、コーヒーにはカフェインが含まれていて、カフェインは体のメタボリズム(代謝)を活性化するので、体を温めるというもの。また、コーヒーは恒常的にカフェインを摂取している人には水と同じ程度の利尿効果しかないとされている。日本語と英語では結果がまったく逆だ。

 さて、東洋医学と近代科学のどちらを信じるかは、深淵な問題であるが、私には本件に関しては近代科学的知見に納得感がある。では、なぜ、日本では、南方原産のコーヒーは体を冷やすの漢方理論が、かくも一般的に受け入れらたのかを考えてみた。

 鍵となるのはクリーンカップ。本来コーヒーは生産地において、正しい品種を正しく育て、正しく収穫し、正しく乾燥・精選すれば、とても美味しくなる。苦味や渋みなどの雑味がなく、クリーンでとても飲みやすい。ところが、日本で流通するコーヒーはクリーンなものは少ない。特に昔はひどかった。クリームや砂糖なしではとても飲めない。

 私は若い頃、粋がってブラックで眉間に皺を寄せ、すすりながら、ちびちびと飲んでいた。なにもあんなに不味い物を、しかめっ面をしながら無理して飲まなくても良かったと思うが、コーヒーとはそういうものと思っていた。周りを見回しても、そういう飲み方が一般的だった。これでは、たとえ淹れたての熱いコーヒーでも体は温まらない。日本では人々のそのような「あまり体が温まらないなあ」という実体験が重なって、コーヒーは体を冷やすとの漢方理論が受け入れやすい下地があったのではないかと邪推する。   

クリーンなコーヒーはマグカップに入れて、ごくごくと飲める。たとえ、研究者のいうところのカフェインの代謝効果を抜きにしても、温かいコーヒーをマグカップで飲めば、湯飲みで白湯を飲むのと同じだけの熱量を体内に取り込むので、それだけ体は温まる。仮に利尿効果があったとしても、摂取時と放出時の熱量の差は体内に残り体を温める。

さて、ここまで筆を進めておきながら、少し困ったことになった。実はうちのコーヒーは冷めてからも美味しいのだ。冷めるとコーヒーの甘みや酸味がより鮮明に感じる。粗悪なコーヒーではこうはいかない。私も自分のコーヒーをマグカップで時間をかけて、冷めてからの甘みを楽しんでいる。そうなると、カフェイン効果はあるにせよ、コーヒーはそれほど体を温めないかもしれない。東洋医学に恐れ入りました。
 

≫ 続きを読む

2016/04/03   yamagishicoffee

ちょいと北極へオーロラを見に行ってきます。

201603-bud2-300x225.png

 

201603-bud.png

 

煙い。とにかく煙い。
夜寝ているときから焦げ臭かったので、妻は火事にまかれた夢を見たそうだ。
今朝まで知らなかったのだが、昨日の昼の落雷でここから10km北で火事が起きた。
溶岩だらけの雑草地で東京ドーム85個分以上が焼けて今も燃えている。

さて、コーヒーの花のつぼみはさらに大きくなった。
写真の下は昨日で、上は今朝のもの。もうすぐ咲きそうだ。
今年一番のコナスノーだ。

ところで、ちょっと北極へオーロラを見に行く。
犬ぞりは寒そう。

今晩の飛行機で発つので、今年一番のコナスノーは残念ながら見られない。

≫ 続きを読む

2016/03/25   yamagishicoffee

雨が降ってコーヒーのつぼみが膨らんだ

201603-rainbow-300x225.png

 

エルニーニョのせいで昨年の夏は豪雨が続いた。ところが、12月以来、ハワイ州全島でぱったりと雨が止み、深刻な干ばつとなった。これもエルニーニョの影響だったそうだ。コナでも12月以降全く雨が降らずに地面もコーヒーの木もカラカラに乾いて困っていたが、先週久々に雨が降った。降ったと思ったら連日雨が降り続けている。家から海を見下ろすと、朝から虹がでている。


201603-turkey.jpg

 

ところで、うちの畑には七面鳥が住んでいる。そのうちのオスの一匹がいつも騒々しく鳴きわめくので、妻はその雄にドナルド・トランプとあだ名をつけている。オス同士が喧嘩をすると、トランプ氏は相手のくちばしから頭にかけて噛み付いて攻撃する。危険な奴だ。でも、日頃からメスには無視されているので、手が小さいのかなあ?まあ、鳥だから手はないので、手の大きさは鳥の世界では共和党の選挙戦ほどリーダーとしての資質に関する国を挙げての議論の対象にはならないか。アメリカではしばらくはその話題でもちきりだったけど。

七面鳥たちは日暮れには畑の中のオヒアの木の上まで飛んでいき、木の上で夜を過ごす。昨夜は夜中に雷が鳴った。すると、雷が鳴るたびにトランプ氏の「ゴボゴボゴボー」の鳴き声が暗い畑に響き渡り、夜も畑を支配する。トランプ氏絶好調だ。


201603-bud-300x225.png

 

さて、雨のおかげでコーヒーの木が一斉につぼみを膨らませている。明日か明後日には満開のコナスノーになりそうだ。

≫ 続きを読む

2016/03/24   yamagishicoffee

春分の日の夕陽

201603-sunset-225x300.png

 

春分である。かといって、べつにアメリカでは特別な日でも休日でも何でもないが。別にぼたもちもおはぎも食べないし。昨日は赤ワインと庭でとれた5種類のハーブのパスタだったし。

ノース・コナはフアラライ山の山麓にある。すべてが斜面。斜面に家を建てるので、家がどの方角を向いているかは、家の斜面がどの方向を向いているかに依存する。コナはハワイ島の西海岸なので、おおむね斜面は西の方向を向いているが、北西や南西に傾いていたりで、家によってまちまちである。

私の家は真西を向いている。この景色が素晴らしい。こういう家は珍しい。隣近所の家をみても、斜面の具合から微妙にずれている。

我が家から水平線を眺めると、春分の日には夕陽は家の真正面に落ちる。夕陽は夏には右に移動し、夏至を境に戻ってきて、秋分の日にはまた真正面に。冬は左に移動する。

毎日、夕陽を眺めて暮らしている。その落ちる場所で季節を感じる。

≫ 続きを読む

2016/03/23   yamagishicoffee

接ぎ木のコーヒーの苗

201603-grafted-tree.jpg

 

 コーヒーの苗木を買ってきた。海側の新しい畑は4年目に入った。とかく若い木は、まだ根が充分に発達していないのに沢山の実を付ける。場合によっては実をつけすぎて、収穫シーズンの途中で突然死する。この現象をOverbear die backと言い、3~4年目の木によくある問題だ。加えて昨年夏の猛暑だ。海側の畑の若い2100本の木のうち、昨年は100本以上が死んだ。たいていは木の下に大きな石があり、根がきちんと張れなかったものが多い。

 今年は接ぎ木をした苗木を買った。この農園では初の試みだ。アラビカ種のコナティピカが上で下の根の部分はリベリカ種(写真の根元の色の濃い部分)。アラビカ種よりも根が強くて、地中に大きな石があっても大丈夫。

 接ぎ木にすると木の成長が早くて生産量が上がる。農園主としてはうれしい限りなので、接ぎ木を用いる農園が多い。ところが、あまりにも成長が良すぎて背が高くなって、収穫が困難となる。おまけに高いところの枝は手の届くところまでたわませて摘むが、幹が太くなりすぎてたわませにくい。実にピッカー泣かせだ。他の農園の農園主と違って、私は農園主、兼、ピッカーなので、嬉しいやら恐ろしいやら。

 

≫ 続きを読む

2016/03/22   yamagishicoffee

猫車を買った。

1.jpg

 

1月末に木の剪定をした。畑の3分の1のセクションを選び丸ごとすべての木を膝の高さでカットバックした。切り株の方からはすでに新しい目が出始めている。切り落した木はしばらく地面に転がしておいて乾燥させ、2月末にそれをチッピングマシーンで細かく破砕した。


2.jpg

 

破砕した木くずは畑のあちらこちらに山となっている。その山から木くずを取り、木の周りに敷く作業を始めた。1年で分解して栄養となるし、その間、雑草の抑制にもなる。


3.jpg

 

木くずを運ぶのに2輪の手押し車を使っていたがかなり難儀。コアマッスルの鍛えてくれてゴルフの鍛錬になるので我慢していた。しかし、1輪の手押し車の方が岩場の斜面を運ぶ際に楽と聞いて買ってきた。なるほど楽だ。どうせゴルフのスコアーは悪くなる一方だし。楽な方が良いや。

≫ 続きを読む

2016/03/21   yamagishicoffee

和食と酒のペアリングコースディナー コーヒー収穫終了記念

201603-sake-pairing-300x225.png

 

コーヒーシーズンが終わったことを良いことに、ちょっと贅沢なディナーに行った。
日本酒とフュージョン日本料理のペアリングである。
コースメニューに合わせて日本酒がふるまわれる。
普段はハワイでは手に入らない見たこともない日本酒が並んだ。
しかも、酒を選んだソムリエも料理を作ったシェフも集まった客もすべてアメリカ人。会場に日本人は私と妻だけ。

メニューは以下の通り。

刺身       
北海道 男山 純米大吟醸
豚の角煮   
静岡 若竹 鬼ころし 純米大吟醸
レンコンはさみ揚げとサツマイモのコロッケ
京都 月の桂 純米吟醸 柳
山形 大山 特別純米にごり酒
和牛(A5)ステーキとロブスター
徳島 鳴門鯛 吟醸しぼりたて生原酒
焼きおにぎりとみそ汁
三重 忍者 若戎 純米
抹茶パナコッタ
岡山  嘉美心 ももふわ
コーヒー
山岸コーヒー農園


その翌日、ばったり、そのアメリカ人シェフと出会った。「昨日のコースディナーは日本の家庭料理をイメージしたけど、お客さんはほとんどアメリカ人だったので、脂が少し足りなかったかなあ。どう思う?」と、聞かれた。「大丈夫だったと思うよ。」と答えておいた。でも、最初の刺身に中トロ、ハマチ、サケで、次に豚の角煮、さらにレンコンはさみ揚げにコロッケ、メインに和牛ステーキというコースは、在米26年とはいえ、私には脂っこかった。さすがアメリカ人。あれでも脂が足りないのか!?

ところで、以前、コーヒー摘みでダイエットに成功したと記したが、シーズン終了をお祝いして、こんなことをしていたら、たちまちリバウンドした。

よって、一昨日と昨日は断食。今日は湯豆腐だけ。畑でクラクラした。

≫ 続きを読む

2016/03/20   yamagishicoffee

コーヒー畑にマカデミアナッツを撒いた

201603-macnut-husk-300x225.png

 

マカデミアナッツの皮を砕いたものを買った。トラック1台分で11トン。今月はこれを畑に撒く。

昨シーズンは14トン程のチェリー(コーヒーの実)の収穫があった。新しいほうの畑の木はまだ子供なので収穫は少ないが、あと2~3年もすると25トン程のチェリーの収穫が見込める。チェリーのうち2/3程度は水分なので、乾燥させると約8トン。

毎年それだけの有機物を畑から収奪することになる。

よって、トラック1台分の11トンのマカデミアナッツの皮を畑に持ち込めば、その年収奪した有機物を補うことができる。

ある研究によると、マカデミアナッツの皮は1年ほどで分解し、多くの土壌改良効果がある。まず、水分保湿効果がある。有用なバクテリアの活動を活発化させる。土壌の酸化を防ぐ。土壌に窒素や炭素を供給する。また、分解するまでの間、地表をカバーするので雑草抑制になるし、土壌流出防止にもなる。

土の健康を保てば、コーヒーの木の健康も保てる。するとコーヒーの質も良くなる。

畑全体から採れる25トンのチェリーは約40万杯分のコーヒーに相当する。毎年これだけのマカデミアナッツがコーヒーに変身する。だけど、コーヒーにマカデミアナッツのフレーバーが付くことはないのでご安心を。

≫ 続きを読む

2016/03/19   yamagishicoffee