コーヒー畑に芝を生やして連邦刑務所入り?
ハワイでホームレス問題が起きている。観光客の目に入る場所からホームレスたちを強制退去させる強引な処置が行われ、その是非が話題になった。本土にはホームレスに航空券を無償で渡し故郷へ返す政策を採る州があり、ハワイを故郷と偽りやって来るホームレスがいる。それも増加の一因だが、もっと大きな問題は住宅価格の高騰だ。
楽園ハワイの住宅を米国本土や日本や中国の人が高値で買う。ホノルルのアラモアナやワード地区など空前の高級コンドミニアムの建設ラッシュ。1億円超の物件が飛ぶように売れる。ハワイ経済を牽引する反面、住宅価格は高騰。売買中間価格を平均所得で割った指標で、ハワイ州は全米で最も住宅の高い州となった。教師、消防士、警察官ら大切な職種の人が住宅を取得できないのは由々しき問題だ。普通の人でも、ちょっとしたきっかけでホームレスになりうる。
一方、ホノルルで銀行強盗が流行っている。ある人が預金引出し申込書に「金を出せ」と記して、窓口の職員を脅して金を取った。ところが、申込書にご丁寧に自分の氏名を記入したために、たちどころに捕まった。また、ある人は窓口で金を脅し取った後、窓口前の椅子に腰かけくつろいでいたところを、駆け付けた警察官に取り押さえられた。
度重なるこの手のニュースを聞くと、彼らの動機を知りたくなるが、どうもわざと捕まるための銀行強盗のように思える。ひょっとすると、これはホームレス問題と無縁でないかもしれない。実は銀行強盗は連邦法上の犯罪。有罪となれば連邦刑務所に入れられる。とても恐ろしい所だ。一方、銀行のお隣のコンビニを襲っても、せいぜい州の刑務所である。ハワイ州は刑務所が不足している。混んでいてなかなか入れない。罪状にもよるが、服役中に一時帰宅もさせる。来週の何曜日の何時までに戻ってこいという指示のもと一時帰宅が許される。帰宅が許されてもホームレスの人は困る。連邦刑務所ならばそういう心配はいらない。
さて、うちのコーヒー農園の新しい方の畑は4年目。いまだ雑草がすごくて芝刈りが大変。背の高い雑草を何とか駆逐して、背の低い芝生を一面に生やしたい。芝刈りが格段に楽になる。芝は暑さ対策、保湿、土壌流出の防止など役に立つ。芝を簡単に繁殖させる方法が欲しいものだ。
先日近所のゴルフ場がエアレーションを行った。芝生に直径1cm弱、深さ5cm程の筒状の穴を沢山あけ、その中身を引き抜く。地中の根に酸素を送り若返りを図る。引き抜かれた土は芝の根が混ざっている。それが山となって積まれ、なんと金を払って業者に引き取ってもらうそうだ。
これは耳寄りな情報。この土を畑に撒けばすぐに芝が生える。無償で私がすべて引き取ると提案した。これは妙案。人がやらない事をやるから成功がある。なぜ世間はこれに気付かないんだろうというアイデアが浮かんだ瞬間だ。ウキウキする。最高に嬉しい。念のため、ゴルフ場よりも標高が高く涼しい私の農園でもその種類の芝が育つかを、もう得意顔で専門家に尋ねた。
すると、お前はアホか!みたいな答え。ゴルフ場は一面が芝生。あれだけ他の雑草が生えないようにするには並大抵のことではない。相当な量の農薬が使われる。一方、農地には厳しい農薬の規制がある。ゴルフ場は農地の何倍もの強烈な農薬を使っている。農地にゴルフ場の芝や土を持ち込むと大量の農薬も持ち込む危険がある。農地の基準を超えると連邦法上の犯罪。つまり連邦刑務所行き。絶対やめろとアドバイスを受けた。実際にパパイア農家がそんな事情を知らずにゴルフ場の芝を持ち込んだら、農薬が強すぎてパパイアが枯れたそうだ。
世間がやらないのにはそれなりの理由があるものだ。危うく例の銀行強盗の人と独房でお隣さんになるところだった。