農園便り

潅水

昨年来、雨が多い。もう1年以上、コーヒー畑に潅水をしていない。

ところが、この一週間は雨が降らなかったので、夜間潅水することにした。畑の潅水システムは10の区画に分けられ、それぞれコンピュータで制御されている。

久々なので、朝からコンピューターの作動チェックをしたところ、1つだけうまく作動しない。画面を見ると、傘のシンボルが付いている。どうやら湿度の変化を感知して、雨天時にはわざと水が出ないような機能が付いているらしい。

雨が降っていないのに、勝手に水を止められてはかなわない。マニュアルは要領を得ず、その機能の解除の仕方が分からない。製造会社にメールして文句を言った。

「雨も降っていないのに、勝手に水止めて、ギャーギャーギャー…」。正義を振りかざしたクレーマーの気分だ。このような不良品は根絶しなければ世の中は良くならない!

すると、夕方から夜にかけて雨が降った。。。。

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2020/05/03   yamagishicoffee

火山灰土壌(その1:黒ぼく土)

日本のテレビ局はハワイがお好き。頻繁にハワイ特集をする。コナコーヒーも取り上げられる。コーヒー畑で日系人のおじさんがコナのコーヒーが美味しいのは、この溶岩台地の土が秘訣と自慢するシーンは番組作りの定番だ。

コーヒーショップで働く友人が日本のテレビ局の取材を受けた。カメラに向かい、コナコーヒーが美味しい理由を並べたが、なかなかOKがでない。最後に火山灰土壌の話をしたら、ディレクターが「そうそう、それを一言で簡潔にお願いします」と、撮り直しになった。最初からそれを撮りたかったらしい。観光名所のキラウェア火山と話が繋がるし。

確かに、コーヒー産地はハワイ島コナの他にも、キリマンジャロ、ジャワ島、グアテマラなど火山の近くが多い。コーヒー関連の本にも、コーヒーは火山灰土壌で良く育つと書いてある。どうやら日本のコーヒー愛好家には常識らしい。

コーヒーに適した土壌は有機物や腐植(有機物が分解した物)が多く、ミネラル豊富、保肥性、保水性、透水性に優れ、弱酸性の土壌。火山灰土壌はこの条件の多くを満たしている。世界の土壌を12種類に分類すると、火山灰土壌は世界中で1%以下しかない珍しい土壌。熱帯・亜熱帯の火山、南国の山奥、人里離れた秘所、異国情緒たっぷりの珍しい土壌でコーヒーは育つと想像すると、なんだか、神秘的でありがたみが増す。コーヒー本の著者もテレビのディレクターもそれを狙っているように感じる。

実は火山灰土壌の学術名はAndosol。一説には、その語源は日本語の「暗土」。日本では古くから「黒ぼく土(くろぼくど)」と呼ばれる。コーヒー本の著者もテレビディレクターもそんな単語は知らないかもしれないが、農家なら誰でも知っている。日本を代表する畑の土だ。日本のテレビ番組で農家のおじさんがフカフカで粘り気のある黒い土を手に取り「この畑は土が良い」と自慢する土は、コナのコーヒー農家のおじさんが手に取る土と同じ種類だ。

火山灰土壌は活火山近郊の若い土壌。火山国の日本(あるいはコーヒー産地)では常に火山からの新たな噴出物が供給されるのでミネラルが多い。また腐植(動植物の死骸が分解した物)も多い。通常、温暖で雨の多い地域では、微生物が活発で、有機物はドンドン分解され消滅する。よって、雨の多い地域はやせた土になりやすい。ところが、火山灰土壌の粘土(アロフェン)は、有機物が完全に分解される直前の腐植を強く吸着して、それ以上の分解を防ぐ。これにより腐植が豊富となる。腐植は黒いので日本の土は黒い。ころころっとした団粒構造を持ち、保水性と透水性が高い。踏むとボクボクと音がするので黒ぼく土。沖縄や小笠原を除いて、黒ぼく土は北海道から九州まで全国にある。世界には少ないが、日本では最もありふれた土だ。

コナに視察に来た日本のカフェのオーナーが、「この火山灰土壌が良いんですよね」と、憧れの眼差しで畑の土を見つめるが、青い鳥、いや黒い土はすぐそばに居る。

ちなみに、黒ぼく土はコーヒーに適しているが、残念ながら、日本はコーヒー栽培には向かない。コーヒーは霜で即死する。100年に一度でも霜が降りる所はリスクが高い。霜柱が立ちやすいのは火山灰土壌の特徴だ。さらに、気温が23度を越えると光合成が阻害される。コーヒー産地の気温は日中でも27度を越えない。しかも、昼夜の寒暖差が必要。だから、コーヒー産地は熱帯・亜熱帯の標高の高い場所にある。また、コーヒーは根が浅いので強風に弱い。台風の通り道にコーヒー産地はない。

コーヒーを栽培したいなら、コナへどうぞ。土も良いが、気候も良い。我家にエアコンはない。コーヒー産地は人間にも快適。(来月に続く)

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2020/05/01   yamagishicoffee

「マリガン お正が2~」仕事始め

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「マリガン お正が2~」の三が日が明けて、今日は仕事始め。垣根の剪定。

初日だからほどほどに。3時間で終了。そして昼寝。

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2020/04/27   yamagishicoffee

マリガン お正が2~ 書初め

マリガン新年の2日目は書初めをしました。

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2020/04/25   yamagishicoffee

マリガン宣言 お正が2~

まずは、コロナウィルスに罹患した方にはお見舞い申し上げます。不幸にもお亡くなりになった方やご遺族にはお悔やみ申し上げます。医療関係者の皆様にはお礼申し上げます。

 

さて、ハワイ島の私は外出自粛を始めて50日が経つ。町へは3回くらい買い物に行っただけで、畑に籠りっきり。農作業のやりすぎでヘトヘト。心身ともにリフレッシュが必要。

そこで、本日、「マリガン」を宣言。題して、「2020年、お正が2~」。

おせち料理とお雑煮を作って、3日間飲んだくれることにした。今年の前半はなかったことにして、今から新年。

「あけましておめでとうございます。2020年が良い年でありますように。皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。」

 

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マリガンとはアマチュアゴルファーがミスショットをしたときに、今のは無かったことにして、無打罰で打ち直すこと。明白なルール違反。

 

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2020/04/24   yamagishicoffee

カオリン噴霧

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コロナウィルス対策ではありません。コーヒー畑の害虫対策です。

CBBという害虫とカイガラムシを退治するために、昆虫類に取りつくカビの胞子とカオリンという白い粉(粘土)を混ぜてコーヒーの木に撒く。カオリンは胃薬や化粧品や磁器の原料に使われる粘土。実の表面がコーティングされると、ザラザラするので虫が嫌がる。葉が白くなるので日除けにもなる。

防護服は普段は使い捨てだけど、今年は何度も使います。

 

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2020/04/22   yamagishicoffee

FNN Prime online の取材

https://www.fnn.jp/articles/-/32538?fbclid=IwAR2W9O4aHjTeGAHt2g2VaEZDcpWD3LtAHmU-yecKtuuq1wrCmYE1XgbQCqk

フジテレビ解説委員の鈴木款さんに取材を受けました。コロナウィルスのコナコーヒーへの影響についてです。

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2020/04/15   yamagishicoffee

家庭菜園

コロナウィルスの影響でサウスダコタの大手豚肉工場が閉鎖された。

今般のアメリカの経済対策の一環として、農家に対する支援策が近々発表される。

ハワイには観光客がゼロなので、コナコーヒーも売れない。コーヒー農家には受難の日々だ。しかし、コナコーヒー農家への支援は期待できない。穀物とか畜産とか果物とかアメリカ人の生活に直に影響のある産物への支援が優先だろう。コナコーヒーなんか存在しなくても誰も餓死しない。

ところで、アメリカの農業は中南米からの季節労働者、あるいは不法移民に大きく依存している。しかし、コロナ騒動で季節労働者へのビザ発給は停止した。農園での働き手がいない。桃を摘む人がいない。収穫が1週間も遅れたら傷んで商品にならない。

いくら、空前の失業率とはいえ、アメリカ人は農場では働かない。アメリカ人たるもの豚や牛の解体はしない。リンゴやスイカは摘まない。ましてやコーヒー摘みなんて、もともと奴隷の仕事だから自分たちがやるべき事とは思ってもいない。

頼みの綱は不法移民。しかし、締め付け強化で不法移民は減る一方。しかも、政府の支援は不法移民への給与支払いには適用されない。アメリカに税金を払わない人々や彼らを雇用する企業には支援金は行かない。

アメリカの農業は深刻な状況下にある。食卓に変化が起きるかも。

とりあえず、庭に野菜を植えた。ミズナとセロリと春菊と玉ねぎ。

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2020/04/13   yamagishicoffee

外出禁止令

外出禁止令がいかなるものか、おわかりか?
それは無精ひげが伸び放題になるということである。

 

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2020/04/05   yamagishicoffee

CBB害虫 指数関数との闘い

ハワイ州の外出禁止令のおかげで、このところ畑に引きこもって畑仕事ばかり。あっ!それじゃ、いつもといっしょか。山岸農園は通常通りです。

日本の新型ウィルスの感染率が低いのは不思議だったが、NHKスペシャル「“パンデミック”との闘い」を観て合点がいった。日本は感染初期から専門家チームがクラスター(集団感染)を特定し、一つ一つ潰してきたという。究極のもぐら叩きだ。こういう職人技は日本ならでは。米国には無理だろう。米国は中国式の封鎖政策を邁進中。

コナコーヒー畑にCBB(Coffee Berry Borer)という害虫が上陸して10年。コーヒーの実に50~100個の卵を産み、5週間で成虫して産卵する。5週間で何十倍にもネズミ算式に増加するコーヒー業界最強の害虫。基本的に世界各国の産地では殺虫剤で対処するが、米国は農薬規制が厳しいので、それらの殺虫剤は使えない。

そんななか、山岸農園はコナで唯一毎年CBBの被害率を1%以下に抑えてきた。指数関数的に増える害虫への我が農園の対処法は新型ウィルス対策と似たところがある。

まず第一に隣の農園からの流入を防ぐ。畑の境界にKukui nutsの並木やPlumbagoの垣根を配置してブロックする。入国規制だ。

コナコーヒーは1~5月に花が咲く。1月に咲いた花は3月頃には実が大きくなるが、まだ実の数は少ない。この時期、健康な実を求めて一斉に隣の畑から飛んで来る。全ての木の全ての枝の全ての実を目で確認して、虫食いの実は取り除く。3~4月の実が少ないうちに繰り返し行う。つまり、流入した一次感染を早期に特定して根絶する。

コナコーヒー農家はこの時期に昆虫類に取りつく種類のカビ(beauveria bassiana)の胞子を撒く。私が手で摘み取るのが最良と力説しても、そんなもぐら叩きの様な職人芸は気違い扱いされる。カビ散布するほうが科学的でスマートらしい。しかし、畑の中のCBBのうち8割が実の中にいて、外にいるのは2割。カビは外にいる2割を殺しても中にいる8割は殺せない。摘み取れば8割を殺せる。カビ胞子散布と併用すれば10割だ。

5月になると、畑の実の数は急激に増える。3~4月に虫食いを見逃すと、その木に被害が拡大する。つまり、二次感染によるクラスターの発生だ。クラスターを見つけたら、その木は徹底的にチェックする。時には一本の木に一時間以上もかける。これを怠ると三次感染になり、その木は数百・数千個の虫食いが発生する。こうなると、制御は無理。もったいないが、他の木へ広がる前に、その木は全部の実を摘み取り破棄する。

これを繰り返し、いかに0.1%以下の虫食い率で収穫時期(9~1月)を迎えるかが勝負。収穫は3週間ごとに畑を7~8ラウンドする。実が熟すとCBBは急激に増えるし、収穫が進むと畑の実の総量(分母)が減るので虫食い率が上がる。各ラウンド前に数日かけてクラスターを潰す。隣の畑は10月には100%を超え、溢れて飛んで来る。もう、取っても取っても指数関数的に拡大は加速。得体のしれない魔物との闘いに無力感を感じる。

12月には5%を超えるが、収穫前半は0.1%以下なので、全体で1%以下に抑えられる。年が明けて全体の約9割を摘み終えた頃、被害は10%を超える。こうなると3週間後には100%近くやられる。制御不能のオーバーシュートの状態。もうだめだ。収穫は終了。残った実はすべて摘み取り破棄。木を膝の高さに剪定して、そのエリアは翌シーズンは休耕する。実(CBBの棲み処)のない状態を1年以上保ちCBBを根絶する。

日本での新型ウィルスはもぐら叩き作戦では対処できない程に広がり始めた。オーバーシュートを回避できるかの重大局面。皆さん、米国みたいにならないように気を付けてね。外出禁止令は辛いよ。さあ、今日も畑仕事だ。

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2020/04/01   yamagishicoffee