農園便り

今シーズン最初の収穫

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今シーズン最初の収穫を行った。妻と2人で6時間かけて31ポンド採れた。
量が少ないので皮はむかずに、水に浮かぶ実(フローター)を取り除いた後に、皮付きのまま干した。
いわゆるナチュラル製法。

道を挟んで隣りの畑は2エーカーから500ポンドの収穫があったらしい。うちは5エーカーなのに31ポンド。
私は木のストレスを軽減し、実がゆっくり時間をかけて成熟するように努めている。甘いコーヒーを作る秘訣だ。
今年も今のところスローペースは成功しているようだ。

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2016/07/15   yamagishicoffee

新宿伊勢丹でのREAL Hawaii(20~25日)に参加します

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新宿伊勢丹の6階催事場 REAL Hawaii ~知らなかったハワイの魅力に出会う~ のお知らせ。


昨年の夏のお盆の時期に、新宿伊勢丹さんより、「帰省土産に迷ったら。新宿伊勢丹食品チームが目利きしたこだわりの東京手土産3選」に私どものコーヒーを選んでいただきました。
また、昨年、一昨年と2年連続で新宿伊勢丹6階催事場での秋のコーヒーのイベントでもキャピタルコーヒーさんのブースに私どものコーヒーを置いていただきました。

今回はREAL Hawaii ~知らなかったハワイの魅力に出会う~ というイベントに出品していただきます。今回もキャピタルコーヒーさんのブースです。
衣食住にわたる、ハワイの最新、最旬を届けるハワイイベントです。
ハワイ好きの方には面白いイベントと思います。
もちろん、コーヒー好きの方もどうぞ。

期間中は私も会場に行く予定です(午後1時ごろから5時ごろまで)。

REAL Hawaii ~知らなかったハワイの魅力に出会う~
2016年7月20日(水)~25日(月)
午前10時半~午後8時 最終日6時終了

伊勢丹新宿店本館6階 催物場

 お時間があれば、お越しください。

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2016/07/13   yamagishicoffee

SCAA/CQI認定Qグレーダー試験対策(その7-最終回)

Triangulation Tests (中南米、アジア、アフリカ、非水洗式の4セッション)

3つの中から一つだけ異なるコーヒーをカッピングにより識別する試験

Dry fragrance, Wet aroma, Flavor等の属性の違いからコーヒーを区別する能力を試す。

1組3カップで、各セッションとも6組でる。

6組中5組が正解していればそのセッションは合格。

カッピングの実習試験と同様に通常は中南米の水洗式マイルド、アジア、アフリカ、非水洗式(ナチュラル)の4セッションが行われる。しかし、今回は生産地ハワイでの開催だったので、練習ではハワイも加え、5セッションが行われた。試験では、受験者の希望も勘案し、水洗式マイルドを除き、アジア、アフリカ、ナチュラル、ハワイの4セッションが行われた。

カッピングの実習試験の直後に行われ、カッピングに用いられたのと同じコーヒーが使われる。ただし、すべてが使われるわけではない。カッピングに登場したが、ここでは使われないコーヒーもある。

また、赤いライトの下で行われるので、色で判別することはできない。

 

Triangulation Testsは私の最も苦手な試験だった。これに先立つカッピング実習試験ではそれぞれのコーヒーの違いを感じ取ることは比較的容易だが、コーヒーを3つ並べて、次々と飲み比べると混乱して良く判らなくなった。経験不足が原因と思われる。

 

お湯を注ぐ前のDry fragranceやお湯を注いだ後のWet aromaを確認する際には、時折自分の肩に鼻を当て体臭を嗅いで嗅覚をリセットすると判りやすくなる。

 

嗅覚と同じで味覚も何度も繰り返すとドンドン鈍感になっていく。もし、Dry fragranceやWet aromaで違いが明確で、それに自信があれば、その組は口にしないのも良いかもしれない。確認のために口にしても1度にとどめる。舌が疲れてくる前に手早く終えるのがコツ。私はこれができずに最後まで粘ったので、水で何度も口をすすぎ、リセットしながら行った。

 

私はハワイは6組全問正解、アフリカは5組正解で合格。アジアは4組しか正解できず追試となった。一番苦手なナチュラルは試験日程の最後の最後で、その時点で、もう舌が疲れて何も感じなくなっていた。もう、破れかぶれになって、Dry fragranceとWet aromaの臭いだけで勝負したらなんと全問正解だった。臭いだけで提出する自信はなかったので、時間いっぱいまで飲んでみたが、舌はもう何も判別できなくなっていた。

 

この試験に先立つカッピング実習試験で各コーヒーの特徴を記憶しておくと多少は参考になる。

特に酸の特徴は重要。口に吸いこんだ瞬間に判別が付かなければ、数秒口の中に転がした感覚で判別する。それでもだめなら、吐き出した後の余韻で判別する。どんな香りが残るか、どんなキャラメル感がのこるか、口の中が乾くか、唾液が出るかなどに集中する。

 

 

Green Coffee Grading 生豆の欠陥豆を識別する試験

3回行い2回正解ならば合格。

全ての試験の中で最も簡単。

ノートや教科書を見ながら行えるので楽。

ただし、時間制限が20分。時間管理を怠ると完成できない。

10分を過ぎたらとりあえず答案を書き、時間が余ったら、欠点豆探しを再開して追加で記入した。

 

私の場合は2袋続けて正解したので3度目は行わなかった。

最初の袋(350g)は色が黄色っぽいが欠点豆が少なく、Specialty Coffeeの要件を満たしているもの。

次の袋は色はきれいな緑色。サイズも19の大きくきれいなもの。明らかにコナコーヒーだ。

ところが、パルピングマシーンでカットされてしまったものが15個以上とCBBによる虫食いの豆が100個以上入っていて、Specialty Coffeeとはみなされないものだった。

この試験だけは、私が普段から仕事でやっていることなので、誰よりも素早くできた。

CBBの虫食い豆は50個以上を見つければ、その時点でSpecialty Coffeeとはならないので十分だが、余裕をかまして100個以上を見つけた。

 

これと同時に焙煎豆の中からクエーカーを見つける試験もある。とても簡単。

 

 

General Coffee Knowledge筆記試験

4択問題が100問出題される。

試験に出る内容は授業中に教官が説明したことが多いので、ノートを取っておくか、授業中にすべて理解し記憶するかしておくと良い。

カッピングプロトコールは完璧に理解しておく必要がある。

難しい化学式を用いたような問題は出ない。

 

 

3日間のストレスフルな講義や試験の練習に続いて3日間のもっとストレスフルな試験の長丁場なので、体調管理が最重要。

いかにリラックスして、カップに向かった瞬間に集中力を発揮できるかが勝負だ。

風邪をひいてはいけない。

アルコールも控える。

私は毎日夕方はホテルのジムで1時間運動して、コーヒーのことを頭から追い出すことに専念した。それでも、毎日3~4時間ぐらいしか眠ることができなかった。カッピングの夢にうなされ、一度目が覚めるともう眠りに戻ることができない。コーヒー以外の内容で眠くなる本は必携。吉川栄治の三國志を持って行った。

 

極めつけは試験初日の夜。ストレスは限界に達している。長い一日でヘトヘトだが、それでも試験は半分も終わっていない。

夕方ジムで1時間汗をかき、サウナに入りさらに汗をかき、カッピングのことを頭から追い出すことに専念した。ジムの後にはマッサージに行った。一日をリラックスして終わらせるには完璧なシナリオだ。うつ伏せになりながらマッサージを受けて、ウトウトし始めたときに、突然マッサージ師が

”Do you like cupping? (カッピングは好きですか)“と訊いてきた。

“What!???”せっかくカッピングのことを忘れようとしているのにこの人は何を言い出すのだ。続けざまに、

“Did you do cupping?(カッピングしたのですか)”と訊いてきた。

当惑しながらも、“ええ、何度もしましたけど、どうしてわかるのですか?”と問い返すと、“だって背中にカッピングの跡があるから。”

ようやく事態が飲み込めた。先週、この地獄の特訓コースに出かける直前に体調を整えるために鍼灸治療に行った。鍼、マッサージの他に吸い玉(カッピング)をしてもらったのだ。その丸い跡が背中に残っていたらしい。

“Does cupping work for you?”(カッピングは効きますか?)

“No, it did NOT work for me today at all!!!”(今日のカッピングは全然ダメでした)

“Oh, why?”(えっ、どういうこと?)

“Never mind. I am just talking to myself…”(なんでもありません、独り言です。)

という会話が続いた。

その夜もあまりよく眠れなかった。

というよりも、コース終了から一週間以上が経過するが、いまだに毎晩カッピングの夢にうなされる。

眠れぬ時の三國志はずいぶん読み進み、諸葛孔明が泣いて馬謖を切った。



以上
 

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2016/07/12   yamagishicoffee

SCAA/CQI認定Qグレーダー試験対策(その6)

Cupping Tests カッピングの実習試験

 

通常は中南米の水洗式マイルド、アジア、アフリカ、非水洗式(ナチュラル)の4セッションが行われる。しかし、今回は生産地ハワイでの開催だったので、授業ではハワイも加え、5セッションが行われた。試験では、受験者の希望も勘案し、水洗式マイルドを除き、アジア、アフリカ、ナチュラル、ハワイの4セッションが行われた。

 

最初の3日間はカッピングの実習を通じ、SCAAのカッピングプロトコールを理解し、カッピングフォームを正しく記入できるよう学ぶ。各セッションごとにカッピングの後に、教官と生徒たちの間で、それぞれのコーヒーに関しての評価、意見を交換する。これを通じて、自分のスコアーが教官や他の生徒とのブレがなくなるようにする。つまり、SCAAの評価基準に自分の評価基準をすり合わせていく作業となる。自分の評価をなるべく客観的な評価に近づけるトレーニングである。

隣同士に並んだコーヒーを比較しながら評価するのではなく、一つ一つを客観的に評価するよう努力する。

80点に届かないコーヒーもカッピングして、その理由を理解する。

80~85点のコーヒーと85~90点のコーヒーの違いを体験する。

致命的な欠点の香味を理解する。

セッションごとに評価基準が必ずしも一致していないことを理解する。水洗式マイルドは水洗式マイルドの評価基準で評価する。たとえば、水洗式マイルドをナチュラルやアフリカの基準で評価するのは意味がない。

 

試験では、教官と受験者全員のスコアーをスプレッドシートに入力し、各項目ごとに、クラスの平均点に対して自分のスコアーが大きく離れていた場合に減点となる。つまり、極端に個性的な評価をしてはいけない。かといって、平均を狙ってすべての項目に7.5を付けるなどの行為も減点・失格の対象である。

 

各セッションで6個のコーヒーが出て、うち2個が重複なので、計5種類のコーヒーが出る。練習では各セッション3種類のコーヒーをカップした。その3種類は本番のテストでも出た。つまり、本番のテストで初めて出る新しいものは各セッション2種類ずつ。

4セッションとも80点に届かないようなものも出た。また、今回の試験の場合は4セッション中、3セッションで決定的な欠点豆の混入したものが一カップずつあった(5x6=30カップ中1つ)。あれだけ明確な欠点だと、それを見つけて正しくFaultとしてフォームに記入しないと、それだけで試験不合格となる。カッピングは追試がない。欠点豆を1回でも見逃すと失格なので細心の注意が必要。

また、見逃しても減点にはならないと思うが、Taintまではいかないまでも、なんだか変だというカップもあった。

私が90点以上の点数をつけるようなコーヒーは出なかった。

コーヒーの品種に関しては全く触れなかった。

 

さて、私は毎日自分のコーヒーしか飲まないので、カッピングの経験はほとんどない。よって、コースに参加する前にはカッピング実習試験が最も不安だった。実際に初日に大いなるショックを受け、前途多難と感じた。しかし、3日間のすり合わせを通じて、次第に点数のつけ方に関しては不安感は払拭した。

 

初日の練習セッションは中南米水洗式マイルドだった。教官が81.5点をつけたコーヒーに私は75.5を付けた。そのコーヒーを口に入れた瞬間、かすかだが発酵臭を感じた。

コーヒーの収穫は最長でも3週間以内に畑を一周して戻ってこないと実は過熟する。通常、コーヒーの産地は収穫期には雨が降らない。ところが、コナの場合は収穫時期の乾期にも雨が数日降り続けることがある。収獲中に雨が続くとコーヒーの実は早く過熟するので、3週間のペースよりもペースを上げる必要がある。しかし、どうしても雨の中だとペースが落ちる。第一、中南米から出稼ぎにきた労働者たちは雨の中では摘まない。それが、中南米のしきたりだ。ましてやアメリカ人が摘むわけがない。日本のJA全中(全国農業組合中央会)のHPを見ても、雨が降ったら農家の仕事はお休みと書いてある。しかし、山岸農園では雨でも歯を食いしばって摘む。もし休んでペースが落ちると過熟した実が発酵を始めてワイナリーのような臭いがしてくる。それだけは避けたい。そうならないように、ずぶ濡れになって体が芯まで冷え切って震えが止まらなくなっても、寒さで指がかじかんでうまく動かなくなっても、コーヒーを摘み続けるのだ。発酵しないよう戦い続けているのだ。だから、コーヒーを飲んだ際に発酵臭が僅かでもすると、私は許せない。それをワイニーなどと呼び、ポジティブに評価することはできない。おそらく、ガタガタ震えながらコーヒーを摘んだ経験のない人には、ネガティブに感じることはないと思う。それほど、かすかな感覚だ。

私が75.5点を付けたコーヒーも私が雨の中で泣きながら摘んでいる時の臭いがした。(実際には雨の時はあまり臭いを感じない。雨の止んだ後に感じる)。このコーヒーは、日本のスペシャリティーコーヒーの店に行くとよく出てくる曲者だ。COEも取っているんですよ、フルーティーでワイニーな逸品ですとかいって店主が喜んで出してくるあの曲者だ。

そもそも、発酵した過熟豆は水に浮くので、ウェットミルできちんとフローターを取り除けば、ほとんどを除去できる。しかし、山岸農園ではウェットミルが最後の頼みの綱となるのは嫌なので、収穫の段階から過熟豆が混入しないように努力している。ましてや、コーヒーカップの中までそれが届くということは、収穫をすり抜け、ウェットミルもすり抜けてきたということだ。やはり、私には受け入れがたい。

あるいは、収穫した後に、すぐに精製せずに何日も畑にほ放っておかれたものかもしれない。ひょっとしたら、最近はやりのドライファーメンテーションという私には到底意味不明の代物かもしれない。

その日、私は教官に噛み付いた。山岸農園がこんなコーヒーを作ったら、私はコーヒー作りを辞めるとまで主張し、教室中の爆笑を買った。しかし、教官はこれは好ましいコーヒーで発酵臭はしないと主張し、議論は全くかみ合わなかった。実際に教官に対して、「このかすかに感じる香り」とコーヒーを指さしても、「どの香り?」という答えしか返ってこない。言葉では説明できない。初日から私はクラスの問題児となった。前途多難だ。

一般に収穫時や収穫後の精製の過程で発酵して酢酸が生成されても、ごく微量であれば、好ましい酸味を与え、大量になると不快な発酵臭とされる。私は過度に気にしすぎなのかもしれない。あるいは、私が発酵臭と感じ、教官が好ましいとしている香りは、実際は発酵臭でも何でもない他の物かもしれない。ただ、私はその臭いが少しでもすると不快になる。

その日は暗澹たる気分でホテルに帰ったが、かえって、これで吹っ切れた。この一週間は生産者としてのこだわり、良心、美学は捨て、消費者の視点にすり寄る覚悟ができた。そもそも、それが目的でこのコースに参加しているのだ。とりあえず今週は、あのコーヒーをフルーティーでワイニーと呼ぶ覚悟ができた瞬間だった。

その覚悟ができると、2日目以降は、徐々に教官の評価にすり寄ることができるようになった。自分のカッピングの点数が、世間とかけ離れない配点具合を習得できた。

そうしてみると、80というのは実際にこれまで自分が思っていたよりもはるかにハードルの低いものだった。これまで、コーヒーショップに行ったときに、「こんなコーヒー出しやがって」と勝手に憤慨していたが、ああいうのもスペシャルティーだったんですね。勝手に憤慨してごめんなさい。

 

例の発酵臭の感覚はナチュラルやパルプトナチュラルのコーヒーにもよくある。だから、私はナチュラルやパルプトナチュラルが苦手だ。

そもそも、山岸コーヒーはとてもシンプルなコーヒーだ。きれいに育てて、きれいに収穫する。悪いことをなるべく排除して作る。だから、どちらかというと引き算だ。あくを丁寧に取り続ける日本料理のようなものだ。昆布だしの美学だ。一方、ナチュラルやパルプトナチュラルは、あくにあくを重ねていくフランス料理のようなものだ。私にとっては、そういうコーヒーは情報量が多すぎるし、ボラティリティーが高すぎて、脳がとても混乱する。SCAAはそれをComplex(複雑)といって、ポジティブに評価するが、私はどうしても頭が混乱してしまう。

よって、ナチュラルのセッションは、とても苦手だった。アジアのセッションでも、パルプトナチュラルではないかと思われるコーヒーが複数登場し苦戦した。ただ、ハワイのセッションで出てきたナチュラルのコーヒーには思いっきり低い点数を付けて溜飲を下げた。だって、本当にひどかったんだもん。悪いものは悪いとはっきりと主張するのも大切だ。実際にハワイのセッションでは私は満点に近い点数を取ったので、教官も含め他の受験者も私と同じような評価を下したと思われる。

 

初日からSCAA方式に違和感を感じた私であるが、どうにかカッピングの点数をSCAAの基準に近づけることができたが、どうしてもSCAAの基準に納得がいかないものが残った。はっきり言って意味不明だし、実に不愉快な基準だ。

SCAAはカッピングテーブルの高さを42インチから46インチと定めている。今回の会場のカッピングテーブルはその上限の46インチだった。これだと2列目のカップの臭いを嗅ごうにも、私には届かない。背伸びのし過ぎでふくらはぎが痛い。子供用の踏み台を持ってきてもらった。

SCAAのこういうアメリカ的な上から目線の態度はぜひ改めてもらいたいものだ。えっ?私の目の位置が低すぎるって?んん~。。。。
 

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2016/07/11   yamagishicoffee

SCAA/CQI認定Qグレーダー試験対策(その5)

Roasted Sample Identification 異なる焙煎度合いに関する試験

SCAA基準のカッピングに使用する理想的な焙煎度合いを識別する能力を試す。

SCAAのカッピングの焙煎は、おそらく一般のコーヒー店で飲まれる焙煎度合いよりも浅い。このテストは異なるロースト具合の特徴を理解し、SCAA基準の焙煎度合いを識別する試験だ。

 

Correct: Agtronの色判別機で表面が58+/-1で、挽いた粉は63+/-1。表面と内部の差が5ぐらいあるのが理想。1ハゼ直後に豆が膨らみ色がまだミディアムの状態。色はlight to medium light brown。味はバランスがとれ甘く、目立った焙煎の欠点がない。

 

Under roasted: コーヒーの表面も内部も正しい焙煎の色よりも薄い。チャフが多くついている。コーヒーはSour(すっぱい)、Green(青臭い)、Underdevelopedである。

 

Over roasted :コーヒーは正しい焙煎の色よりも濃い。しかし、表面に脂が浮くほどではない。このコーヒーの味はDarker(ダーク), carbony(焦げ臭い), ashy(灰っぽい), bitter(苦い)

 

Baked (long roast):コーヒーの表面は正しい焙煎度合いの色と同じであるが、長時間の焙煎のせいで、内部の色は濃すぎ、乾いて見える。味はflat(平坦), herbal(ハーブ), woody(木のような、あるいは麦茶のような), little acidity or sweetness(酸味や甘みが少ない)。

 

Underdeveloped (short roast):コーヒーの表面は正しい焙煎度合いの色であるが、内部は著しく焙煎が足りない。味はunbalanced soury(アンバランスにすっぱい), bitter(苦い) and vegetal flavor(菜のような)。この味覚はコーヒー内部の糖分のキャラメル化が不足するために起きる。

 

今回の試験では、上記5種類のうち、Underdeveloped (short roast)以外の4つが出た。

5つのカップが並び、その中からCorrect、Under roasted, Over roasted, Baked(long roast)を選ぶ。重複しているものが一組ある。

試験の最初から既にお湯が注がれている。また、赤いライトの下で行われるので、色で判別することはできない。嗅覚と味覚だけで認識する。

長時間粘り続けても、液がなくなるし、だんだん抽出が濃くなって判別が難しくなる。最初の印象が勝負。

私の場合は迷った時はカップごとに水で口をすすいだ方が分かりやすかった。

受験者の中の焙煎士は、自分たちの焙煎度合い以外で焙煎したことがないので、良く判らないと混乱していた。また、普段はダークに焙煎しているので、勝手が違い、少し戸惑っているようだった。

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2016/07/10   yamagishicoffee

SCAA/CQI認定Qグレーダー試験対策(その4)

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Organic Acid Matching Pairs Test 有機酸の識別試験

 Coffee Chemistry.comへ行って、Organic Acids Taste kitを買う。テストでもそれが使われる。

スペシャルティーコーヒーは酸味が命。

コーヒーの酸味にはCitric acid(クエン酸) Malic acid(リンゴ酸) Acetic acid (酢酸)Phosphoric acid (リン酸)Lactic acid(乳酸) Quinic acid(キナ酸、クロロゲン酸)などがある。このうち、今回の試験では最初の4つがでた。

 

Citric Acid(クエン酸)

コーヒーの実の中で光合成により生成される。コーヒーの実が成長する初期に多く生成される。ロバスタ種よりもアラビカ種に多い。レモンなどのかんきつ類の酸で、舌に強い刺激を感じる。収穫の際に成熟度合いが足りない段階で摘むとクエン酸が多くなる。場合によっては好ましい酸味ではなく、すっぱいと感じることもある。焙煎が深くなるにつれてどんどん分解される。

一般に東アフリカのコーヒーのほうが中米のコーヒーよりクエン酸のレベルが低い。

このテストでは最も強く特徴的な酸と感じる。

 

Malic Acid (リンゴ酸)

コーヒーの実の中で光合成により生成される。コーヒーの実が成長する後期に多く生成される。ロバスタ種よりもアラビカ種に多い。コーヒーの実の成熟にかかる時間が長いと多くのリンゴ酸が生成される。よって、コナのように曇りが多い場合や同じ産地でも日陰樹を活用したり、標高が高く気温が低い、あるいは寒暖差が大きいなどの畑で時間をかけてゆっくり熟したコーヒーはリンゴ酸を多く含む。青りんごなどに感じる甘く好ましい酸味。東アフリカや山岸コーヒーに特徴的。焙煎が深くなるにつれてどんどん分解される。

このテストではクエン酸の次に強く感じるが、少しまろやか。

Mouth Drying(吐き出した後、どんどん口の中が乾いていく感じがする)なのが特徴。

 

Phosphoric acid (リン酸)

炭素を含まないので有機酸ではない。光合成では生成できない。土壌にリン酸が含まれると根から吸収し豆に溜まる。あまり酸味を感じないが、コーヒーに明るさを加える。抽出したコーヒーの中では最も濃度が低いが、他の酸味を引き立たせる。

クエン酸のレモンのような強い酸味をリン酸が加わることによってマンゴーのような甘い酸味に変える。

酸味と甘みをつなぎ合わせる効果があるので、コーラなどの清涼飲料水に使用される。加工食品に頻繁に使われる酸味。

私が練習した感じでは、もともと酸味の低いコーヒーにリン酸を入れてもあまり酸味を感じない。しかし、酸味が高いコーヒーに入れると、もともとの酸味を引き立たすので他の酸と混同し易い。

炭酸水を飲んだ時のような舌にピリピリした感触がある。

水洗式で水に長時間浸していると染み出る場合がある。

土壌により含有量が決まるが、アラビカ種、ロバスタ種に同じ程度含まれる。

山岸農園では土壌成分検査の結果、コーヒーに必要な100年分のリン酸が含まれている。

 

Acetic Acid (酢酸)

過熟した実や地面に落ちて何日も経った実を拾って混入すると酢酸が多くなる。非水洗式など精製の段階で発酵が進むと増える。酢のような酸味。微量だと好ましい酸味に感じる人が多いらしい。大量に入ると不快に感じる。

テストでは口にくわえると、喉の奥に違和感を感じる。酸味が強すぎると喉の奥が収縮し、オエーという感触が出る。吐き出した後、Mouth Watering(どんどん唾が出てくる感じ)なのが特徴。

焙煎時の初期に糖分が分解され酢酸が増え、464°Fで急激に減る。

 

Lactic acid(乳酸)

ヨーグルトのような好ましい酸味である。

焙煎中にショ糖が分解されて生成される。唯一ロースト中に増加し続ける酸味。深炒りコーヒーにミルキーな感触を加える。

今回のテストには出なかった。

 

Quinic acid(キナ酸)

焙煎中にクロロゲン酸が分解してキナ酸とカフェイン酸が生成される。

クロロゲン酸は生豆中のタンニンで、外敵から実を守る物質。

キナ酸はクランベリーやトニックウォーターに多い。

焙煎が進むとキナ酸が増えて苦みの原因となる。ボディーも増える。

健康に良いと日本のコーヒー業界では人気のクロロゲン酸だが、これが多いと苦いキナ酸が多く発生してコーヒーの味が悪くなる。アメリカ人はコーヒー業界の人でもクロロゲン酸なんて単語は知らない。

アラビカ種よりもロバスタ種に多く含まれる。

今回のテストには出なかった。

 

テストではSCAA基準で淹れたコーヒーをお湯で倍に薄めたものに、それぞれの酸を加えて、識別できるかの技能を試す。8組のセットが用意される。一組あたり4カップある。その4カップのうち2カップに同じ酸が注入されている。酸の入っているカップを2つ選び、入っている酸の種類を答える。今回の試験では、Citric acid(クエン酸) Malic acid(リンゴ酸) Acetic acid (酢酸)Phosphoric acid (リン酸)の4種類がそれぞれ2回ずつ出た。

練習キットを買って、練習したほうがよい。テストの為というより、酸味を官能する訓練に実践的に役立つ。100ccにたいして、20滴ずつを入れる。コップに最初に酸を入れてから、コーヒーを注ぐとうまく混ざる。

テストの練習ラウンドで、教官が誤って漂白剤の残っているコーヒーメーカーで淹れたコーヒーを使用したら、舌が酸を全く感じることができず、参加者全員が恐怖のどん底へ突き落された。どのカップも何も感じない。こんなに難しいテストには絶対に合格できないと感じた。しばらく全員が顔を見つめあい、教官に恐る恐る何も感じませんと告白したところ、漂白剤の混入が発覚した。漂白剤恐るべし。

 

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2016/07/09   yamagishicoffee

SCAA/CQI認定Qグレーダー試験対策(その3)

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Olfactory Tests 嗅覚試験

コーヒーに含まれることが多い36種類の香りを識別する能力を試される。

香りは大きく4つのグループに分かれる。試験はそれぞれのグループごとに行われる。よって、計4回。すべての香りを記憶しておく必要がある。

例えば、Enzymaticの試験であれば、Enzymaticに分類される9個のエッセンスが机に置かれる。ビンの番号も見えるので、番号を暗記しておいてもよい。そして、さらに6個のビンが置かれる。ビンにはテープが張ってあり番号は見えない。そのかわりA、B、C、D、E、Fと書いてある。ABCDEFのそれぞれのビンが、9個のビンのどれと同じであるかを判別する。

また、ABCDEFの中から3つが指定され、それの香りの名称を答える。

該当がなく空欄であるべき箇所が3つある。そこに誤って何かを記入すると減点になる。

仮にAのビンがアプリコット(16)だったとする。そして、アップル(17)はABCDEFの中になかったとする。Aを誤って本来空欄であるはずの17の欄に記入すると、そこで1点減点、さらに、16の欄も正解のAが記入されていないので、さらに1点減点。もし、名称を答える欄にAが出題されており、そこにAppleと誤解答するとそこでも1点減点となり、計3点の減点となる。

計9問中6問正解で合格。

赤いライトの下で行われるので、色で判別することはできない。

 

Enzymatic コーヒーの生豆の中に存在する酵素に由来する香り。お湯を注ぐ前の挽いたコーヒーの粉によくある香り。Cupping中のDry Fragranceの項目はこの香りを探す。

  1. Flower: Tea-rose/Redcurrant jelly, Coffee blossom, Honeyed
  2. Fruity: Lemon, Apricot, Apple
  3. Herbal: Potato, Herbal, Cucumber


 

Sugar Browning コーヒーを焙煎することにより糖分が焦がされて生成される物質に由来する香り。お湯を注いだ後に立ち上がる香り。Cupping中のWet Aromaの項目はこの香りを探す。

  1. Caramelly      : Butter, Caramel, Roasted peanuts
  2. Nutty    : Roasted almonds, Roasted Hazelnuts, Walnuts
  3. Chocolaty      : Vanilla, Toast, Dark chocolate


 

Dry Distillation 焙煎された豆の繊維をお湯を入れて抽出することによって発する香り。鼻の奥で感じる。

  1. Spicy    : Clove-like, Pepper, Coriander seeds
  2. Resinous : Cedar, Blackcurrant-like, Liquorice/Maple syrup
  3. Pyrolytic      : Malt, Pipe tobacco, Roasted coffee


 

Aromatic Taints コーヒーの実の収穫後に付く香り。精製や保管中につく香り。必ずしも常にそうとは限らないが、ネガティブな香りとされる場合が多い。ただし、Cupping form中のTaintやFaultとは異なる。TaintやFaultはカビなどのコーヒー以外の物に由来する香味を指し、このAromatic Taintsは、それほど極端にひどくなければ、あくまでもコーヒーの香味の範囲内である。

  1. Earthy   : Earth, Straw, Leather
  2. Fermented      : Coffee pulp, Basmati rice, Medicinal/Rio
  3. Phenolic : Cooked beef, Smoke, Rubber


 

テストはJean Lenoir氏が作成したLe Nez du Caféという香りのエッセンスを使う。もともとはワインの香りのエッセンスを作っている人。ワインやコーヒーの他にもウィスキーのエッセンスなども作っている。

一般に、味覚と違って嗅覚は先天性はない。嗅覚は脳のLymbic(大脳周辺系)で処理され、情緒や記憶を処理する部分と一緒なので、臭いは記憶することができる。また、当然だが嗅いだことがなければ、その臭いとは認識できない。よって、このテストのためにはLe Nez du Café社のエッセンスを事前に買い、練習して記憶することが重要。試験の為には果物屋に通いアプリコットの香りを覚えてもだめ。エッセンスのアプリコットの香りを記憶しなければならない。

事前に練習しておけば簡単に合格するが、練習なしで一発で合格するのはほぼ無理。追試を受ける前に会場で練習すればなんとかなるが、追試はストレスとなり他の科目に影響するので、事前に練習して当日のストレスを軽減すべき。

ただし、私が買って家で練習したものと、試験で使ったものは、同じ会社の製品にもかかわらず、それぞれのボトルが微妙に香りが違った。微妙というよりかなり違った。

そもそも、Roasted Coffeeはああいう香りとは思えないし、Coffee Blossom全然違う。もっと心地よい香りだ。

Basmati riceは発酵臭に分類されている。確かに欧米人にはコメは異臭だが、私には好ましい香りだ。また、牛丼を食べてもCooked beefの臭いはしない。

Smokeは正露丸に感じるし、Leatherは何故か新幹線の臭いに感じた。新幹線は牛皮の香りの付いた芳香剤を使っているのかもしれない。

Strawはゴルフ場でボールが藪の奥深くに入り、どうしようか悩んでいる時の臭い。

Liquoriceに至っては、食べたことがなく、第一、そんな単語も知らなかった。アメリカの子供がゴムのおもちゃみたいなものをしゃぶっているのを見かけ、変なものしゃぶっているなと思っていたが、あれがLiquoriceという菓子だと今回初めて知った。買って食べてみたが、気持ち悪くて全く好きになれない。

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2016/07/08   yamagishicoffee

SCAA/CQI認定Qグレーダー試験対策(その2)

Sensory Skills Tests 味覚試験     

Q Graderの試験の中で最難関の科目といわれる。一発で受かる人は少ないらしい。

甘、塩、酸を識別する味覚の試験。ショ糖、食塩、クエン酸の水溶液が使われる。

それぞれの水溶液が濃いもの、中程度のもの、薄いものの3種類に分かれる。つまり、全部で9種類のカップが用意され、その中身を当てる。ここまでは簡単。(Tests A とTests B) 

Test Cが難関。その9種類の水溶液を混合したものが出される。甘、塩、酸の3種類が入っているものが4カップ。2種類だけが入っているものが4カップ。さらに、それぞれ入っているものの強度を当てるというもの。これが非常に難しい。

たとえば、下の表のような答えになる。(当然だが、組み合わえは試験により異なる)

 

A

2

0

1

B

2

3

1

C

3

1

2

D

0

2

1

E

1

1

0

F

1

2

3

G

2

2

0

H

1

1

2

1薄、2中、3濃  


例えば、塩が入っているのに間違えて0にした場合、あるいは、入っていない(0のところ)に入っていると判断した場合、それぞれ4点マイナス。

さらに、濃度(1,2,3)を間違えると2点マイナスとなる。満点は96点で68点で合格。28点まで間違えても合格できる。制限時間は20分。

 

酸と甘と塩を組み合わせると、一般的に以下のような濃度の変化を感じると授業で教わった。しかし、テストは20分間と時間が限られているので、そんなことまで考える余裕がなく、全く参考にならなかった。

酸味は甘味を上げる。

塩味は甘味を上げる。

甘味は酸味を下げる。

甘味は塩味を下げる。

酸味は塩味を上げる。

塩味は酸味を下げる。

 

練習セッションで教官から受けたアドバイスでは、戦略として最初に3つ入っているものと2つしか入っていないものに分けて、それから濃度を考える人が多い。あるいは、甘、塩、酸の濃度3(濃い)ものを最初に見つけて分類していく人もいる。最終的には自分のやりやすい方法で攻めるのがよい。

 

水溶液の濃度に関しては非公開だが、試験を受けた私の感じでは以下のような具合だった。ただし、混合液の濃度は2つを混合すると半分になるので、2倍の濃度、3つを混合すると3分の1になるので3倍の濃度を使う必要がある。

 

クエン酸

1/8

1/16

1/32

砂糖

4

2

1

1

1/2

1/4


数字は500ccの水に対しての小さじの杯数

 

スペシャリティーコーヒーの命は酸味と甘み。このテストは酸味を代表するものとして、クエン酸、甘みを代表するものとしてショ糖を使う。塩は何を代表しているのか判らないが、たぶん、それ以外の味覚の代用として使っているのだろう。

教官によれば、味覚は先天的に恵まれた人とそうでない人がいるので、このテストは練習なしでも簡単に受かる人もいれば、いくら頑張ってもダメな人もいるそうだ。

普段からたくさん取りすぎている味覚には鈍感になるので、アメリカ人には甘味で間違える人が多いらしい。私は塩味で間違えた。私は塩が入っているとしょっぱいというよりも美味しいと感じてしまう。

ちなみに、Test AとBで使った、酸、甘、塩、単体の濃中薄の水溶液をTest Cの最中に参考として使えるのかと思っていたら、使えなかった。私はこのテストがそんなに難しいとは知らずに、ろくに練習もせずに行ったら、最初のテストで66点で一つ足りずに落ちた。塩が入っていないものをうまく見つけられずにあたふたしている間に20分が経過してしまった。一つのものにこだわり続けるとダメ。追試を翌日に持ち越すと精神的に参ってしまうので、直後の昼休みに再試験を志願し、今度は80点でクラスで最高得点だった。

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2016/07/07   yamagishicoffee

SCAA/CQI認定Qグレーダー試験(その1)

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6月の最終週に一週間ほどホノルルへ行き、Coffee Quality Instituteが主催する3日間の研修と、それに続く3日間に渡る22の試験を受けた。何とか合格して、妻と揃ってLicensed Q Graderの資格を取った。

コーヒーのカッピング(官能評価)の技術を図るものである。これに合格するとSCAA(Specialty Coffee Association of America)の評価基準・手順に従って、コーヒーを評価して点数をつける資格を持つ。

 とても集中力を要するストレスフルな試験で、苦しい体験だった。一つつまづくと、そのストレスに耐えられず、雪だるま式に転げ落ちていく感じがした。リタイアして10年、あれほど苦しい体験はない。嗅覚と味覚で感知してそれを言語で表現するなんて、これまでの人生でそんな脳の使い方をしたことがない。大学受験、銀行員、ウォールストリートバンカーという脳の使い方をしてきたのだ。どの試験も他の受験者がさっさと回答して合格していくのに、私だけは制限時間いっぱいまでコーヒーの前で首をかしげながら粘り続け、見るも哀れな形だった。試験の最後には、混乱と疲労で、舌と鼻と脳が完全にシャットダウンして何もわからなくなってしまった。

ただ、コーヒーに関する知識を問う4択の筆記試験だけは、クラスでぶっちぎりダントツで合格した。そういう脳の使い方は得意なのだ。あの試験は良い気晴らしになり、脳が休まった。あれがなければ、その次の私が最も不得手とする非水洗式(ナチュラル)のカッピングとトライアンギュレーションは合格できなかっただろう。

 今回の受講者は7人。少人数で雰囲気の良いチームだった。それに加えて、前の週のサンフランシスコで行われた試験に不合格の人が追試を受けに来た。

この試験がハワイ州で行われるのは今回が初めてなので、ハワイ州でこの資格を持っているのはごく少数だ。今回、コナからは私共2人の他にも2名が参加した。難関にもかかわらず全員合格した。生産地として誇らしい結果だ。

オーストラリヤやニュージーランドからも参加者があった。それらの国では、ウェイティングリストがあり、受験までに1年以上も待たなければならないらしく、今回、ハワイでの開催を機に、休暇を兼ねて飛んできたそうだ。

日本での試験は大人数だと聞く。もし、英語に問題のない人であれば、少人数のハワイで受験したほうが断然有利だ。

教官のJodi Wieserさんもとても親切で、我々がリラックスできるよう工夫してくれた。チーム内の協力的な雰囲気づくりもしてくれた。解答用紙を提出したときに、合格だと明るく”All right!”言いながら解答用紙に大きくPass!と書いてくれる。ところが、不合格だと、puppy eyes(子犬のような無垢な目)で悲しそうに見つめられる。あの優しい無垢なpuppy eyesを皆が恐れた。

 世界中のコーヒー畑で働いている人は3000万人と推定され、コーヒー店やレストランなどコーヒーに関連した仕事に従事している人数は1億人にも上ると推定されている。世界人口が72億人なので、72人に1人はコーヒーから収入を得ていることになる。

その1億人の中でLicensed Q Graderの資格を持つ者は約3500人ぐらい。毎日、様々な種類のコーヒーを評価することによって培われた専門技能を要求されるプロの鑑定士である。

一方、私どもといえば、毎朝コーヒーは飲むものの、飲むのは自分の畑のコーヒーだけ。日本に旅行で行ったときなど以外に他の国のコーヒーなどほとんど口にすることはない。はっきり言って、カッピングのど素人だ。

唯一のアドバンテージは、ほとんどの人がめったに口にすることのない最高級品のコーヒーを毎日飲み続けていること。しかも、ティピカ種、手摘み、水洗式、天日干しで、コーヒーの本家本元の香味だ。良いコーヒーはどうあるべきかについては、自分なりのハッキリとした基準を持っている。たとえコーヒー業界の人でも、毎日90点前後のコーヒーを飲み続けることはないであろう。私の唯一のアドバンテージだ。

 私が他人のコーヒーを飲む場合は、常に自分のコーヒーと比べてどうかという観点から飲む。もちろん、山岸コーヒーと比較しながらコーヒーを飲むのは世界で私と妻だけで、当然ながら他人はそういう見方をしない。一方、Q GraderたちはSCAAの基準に従って評価するので、同じコーヒーには、ほとんど同じような点数を付けるという。なので、私が自分のコーヒーを熱く語ったところで、見方が違うので話がすれ違う可能性がある。私にとってはこのコースと試験を受けることはとても意義のある体験であった。

 そもそも、ど素人の私がQ Graderの試験を受けるなんて、高尾山も登ったこともない私がいきなりエベレストに挑戦するようなものである。無謀の限りだ。しかし、こうなったのには理由がある。実はホノルルのとあるレストランが毎月末に主催するゴルフトーナメントに出場しようと思ったが、ただゴルフをするためだけにホノルルへ飛行機で行くのは無駄だ。よって、その月例会に参加する際には、必ず他の用事を合わせる。今回はホノルルでコーヒーのセミナーが開かれるというのを見つけ、申し込みをした。その時点ではQ Graderなどという単語も知らないので、それが資格試験だということは全く気が付かなかった。ただの勉強会かと思っていた。ホノルルで一週間、毎日買い物をして美味しいものを食べながらコーヒーの勉強ができると呑気に考えていた。まさか、あんなに苦しい地獄のトレーニングになるとは。

試験の3週間くらい前になって、とても難しい資格試験だと知らされた。募集要項を読み直すと、確かに、かなりの実務経験を要し、素人には無理と書いてある。慌てて資料を取り寄せ、2週間ほど付け焼刃のトレーニングを始めた。

体験者のブログのアドバイスに従い、期間中はアルコールや極端に脂っこいもの、甘いもの、しょっぱいもの、辛い物を口にしないようにした。

セッションと次のセッションの間に歯磨きをしたが、実はこれは大失敗で、他の参加者の中には、この期間中だけ刺激の少ない歯磨き粉に変えている人もいた。ましてや、試験の間にフレーバーの付いた歯磨きをするのは自殺行為のようだ。

とにかく、最終日のお昼前にすべての試験に合格して資格が取れた時には、何もできないくらい疲れ果てていた。スターウォーズのジャージャービンのように、舌がベロベロベロベーとなってしまった。帰りの飛行場で待ち時間にビールで乾杯したが、あれほど好きなビールも体がまるで受け付けない。とにかくつらかった。


試験内容は以下の通り。

General Coffee Knowledge筆記試験

Sensory Skills Tests 味覚試験     

Olfactory Tests 嗅覚試験

Triangulation Tests 3つの中から一つだけ異なるコーヒーを選ぶ試験

(中南米、アジア、アフリカ、非水洗式の4セッション)

Organic Acid Matching Pairs Test 有機酸の識別試験

Roasted Sample Identification 異なる焙煎度合いに関する試験

Green Coffee Grading 生豆の欠陥豆を識別する試験

Cupping Tests カッピングの実習試験(中南米、アジア、アフリカ、非水洗式の4セッション)

 

カッピングの実習試験と筆記試験以外は、不合格でも最終日までに2回まで追試を受けることができる。最終日の午後は追試に充てられる。

 

次回からはその試験の傾向と対策をお伝えする。

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2016/07/06   yamagishicoffee

コナコーヒー農園便り 2016年7月号 接ぎ木

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海側の新しい畑は4年目に入った。とかく若い木は、まだ根が未発達のくせに、実を沢山付けようとする。向こう見ずなのは若者の特権だが、若気の至りなどと笑ってはいられない。実の付けすぎで突然死することもある。Overbear die backといい、3~4歳の木によくある問題。加えて昨年夏の猛暑によるストレスだ。2100本の3歳の木のうち、昨年は約120本が死んだ。たいていは木の下の地中に大きな石があり、根がきちんと張れなかったものが多い。また、2100本もあれば、中には成長の悪い木もある。早い時期に植え替えたほうが長い目で得だ。  

今年は接ぎ木をした苗木を買った。この農園では初の試み。コナティピカ(アラビカ種)が上で下の台木の部分はリベリカ種(写真の根元の色の濃い部分)。

コーヒーの品種には主にアラビカ種とロバスタ種がある。コナコーヒーは原種に近い純粋のアラビカ種である。アラビカ種は香味に優れるが、ひ弱で根も弱い。一方、缶コーヒーやインスタントコーヒーの原料として使われるロバスタ種は香味に劣るが、根が強く劣悪な環境でもよく育つ。接ぎ木をする場合、一般的に他の産地では、上はアラビカ種で根はロバスタ種にする。ロバスタの強い根を持ち、香味はアラビカ種にするいいとこどりが狙いだ。

ところが、コナでは台木に、さらに別の品種のリベリカ種を使う。理由は線虫対策。コナの線虫は強烈すぎてロバスタ種でさえ対抗できない。リベリカ種は飲用には不向きだが、背の高い大木になる種類で根がとても強い。

線虫は顕微鏡でないと見えない小さな生物で、コナの土壌に住む。コーヒーの根に付くと根が栄養を吸えずに木が枯れる。土の中の線虫は早くは移動できない。一本の木が被害にあっても2m離れた隣の木まで地中を移動するのに数年かかるので、畑全体が被害にあうのは稀だ。ところが、木の植え替えなどすると、元の木の根に線虫がいれば、畑全体に線虫が拡散する。毎年、春には地面に落ちたコーヒーの実が発芽して、そこらじゅうに生えてくる。これを抜いて他の場所へ植え替えるのは厳禁。線虫の被害が拡散すると、その畑では2度とコーヒーは育たない。だから、苗木は線虫のいない土で育てた信頼のおける業者から買ってくる。中には土を熱い鉄板の上で焼いてから使用する業者もある。

うちの畑には線虫の問題はないので、これまでは接ぎ木を用いていなかった。上から下まで純血のアラビカ種だ。しかし、若木が死んだ場所は地中に大きな溶岩があることが予想される。2012年8月号の農園便りに記したように、つるはしで岩を取り除いても良いが、120本はとても無理。根の強いリベリカ種の接ぎ木を使うことにした。

接ぎ木にすると木の成長が早くて生産量が上がる。農園主としてはうれしい限り。初期コストは高くとも接ぎ木を用いる農園は多い。ところが、ピッカーには評判が悪い。根が強いので、成長が良すぎる。背が高くなって収穫が困難。おまけに手の届くところまで幹をたわませようにも、幹が太くてたわませにくい。実にピッカー泣かせだ。

一般的な農園主でそんなピッカーの泣き言まで気にする人は少ないが、私は彼らと違って、農園主、兼、ピッカーなので、嬉しいやら恐ろしいやら。

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2016/07/03   yamagishicoffee