農園便り

2016年9月

ベン・クレンショーとピノノアールとコナコーヒー

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ハワイの気候にはピノノアールやコナコーヒーが合うと私は思う。

先日、ゴルフの1999年ライダーカップをキャプテンだったベン・クレンショー氏が語るディナー会に行った。ジャスティン・レナードが17番で劇的なロングパットを決めてアメリカが大逆転を果たした試合で、ビデオを見ながらのクレンショー氏の解説は興味深いものだった。

ディナーはワインペアリングのコースで、ビール2種類と4種類のワインがでた。

ダックには2012 DuMOL “Connor”Pinot Noir, Sonoma Coast

ステーキには2012 Opus One, Napa Valley

DuMOLはピノノアール、Opus Oneは主にカベルネソーヴィニヨンである。

カリフォルニアの最高級のピノノアールとカベルネソーヴィニヨンを飲み比べたわけだ。値段はOpusの方が高いが、DuMOLが美味い。常夏の島で貿易風が心地よいハワイではピノノアールが美味しく感じる。透明感のある明るい酸味とフルーティーさ、タンニンの渋みは控えめ、その高貴で繊細な味わいはビーチで潮風に当たりながら飲むには最高である。

NYに住んでいた頃はカベルネソーヴィニヨンが好きだった。しっかりした酸味とタンニンのあるどっしりとコクのあるカベルネソーヴィニヨンはNYの寒い冬に格別だったが、ハワイに引っ越してきてからはもっぱらピノノアールである。

生産地としてはピノノアールが冷涼な気候、カベルネソーヴィニヨンが温暖な気候で生育されるのに、飲む場所としての私の好みが逆になるのは不思議なことだ。

コナコーヒーはピノノアールに似ている。明るく酸味が爽やかで甘味が舌の上で持続する。その軽やかな味わいはハワイで青い水平線を眺めながら飲むと幸せを感じる。

 

 

 

 

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2016/09/22   yamagishicoffee

高いコーヒーの樹の収穫

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世界中の産地では収穫作業が楽なように矮小種のコーヒーを植えるのが一般的だが、コナやブルーマウンテンのティピカ種はそうした品種改良される前の品種である。

特にコナの気候だと放っておくとティピカ種は10m近くにまで伸びる。

だから、コナでは3年に1度は膝の高さにカットバック(剪定)する。

それでも3年で3m以上になる。普通は幹をたわませて収穫するが、たまに発育が良すぎて幹が太くて上手くたわまない樹がある。

そうなるとハシゴを使って採る。地面は岩場の斜面でハシゴが不安定。結構怖い。

 

 

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2016/09/20   yamagishicoffee

電気自動車のテスラを試乗した

先月ホノルルに行った際に電気自動車のテスラのモデルSを試乗した。1時間半も乗り回しオアフ島の反対側のカイルアまで往復した。とても快適。

電気満タンで370キロも走るので狭いハワイでは申し分ない。わずか数秒で時速100キロに到達する加速感がすごいが、のんびりしたハワイではそんなに加速する必要はない。

坂の多いハワイ、特にコナでは楽だ。下りではあまりブレーキを踏む必要がない。前の車はブレーキを踏んでいるのに、こちらはアクセルだ。電気自動車はアクセルを外すと下り坂でも減速する。街中の信号で止まる際もほとんどブレーキを使わなくとも止まれる。前にBMWのi3を試乗した際には、アクセルを外すと急減速する感覚だったが、テスラはハンドルの横のタッチパネルでその減速度合いを調節できる。ブレーキパッドが長持ちしそう。ハンドルの遊び具合もパネルで調節できる。

福島原発事故の後、ハワイの家にソーラーパネルを設置した。日本には住んでいないものの、代替エネルギーで生活することは日本人としての義務と感じたからだ。ところが、パネルを付けすぎてしまい、毎月、必要量の倍近く発電している。無理して電気を使う必要はないが、せっかく余っているから電気自動車もいいかな。

だいぶ前にコーヒーを摘んでいる時に突然、テスラの株を買おうと思いついた。オンライントレードで[Buy]を押したけど、買えなかった。価格が1ドル近くで、3ドル以下のPenny Stock(値段の安い株)は危険なので、危険を承知している旨の誓約書にサインしなければ買えない仕組みになっている。面倒くさいのでそのまま放っておいて買わずじまいだった。結局数年後にコーヒー摘みの最中にまたテスラを思いついた。調べてみると、すでに株価は200ドルを超えていた。泣きながら買った。誓約書なしで。なんかとっても頭にきた。

折角株主だからテスラも良いけど、コーヒーの集荷所へテスラで麻袋に入れたコーヒーチェリーを運んだら、ちょっと変か。やっぱりトラックが便利だな。

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2016/09/09   yamagishicoffee

Clambakeパーティー

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昨日はLabor Dayの休日。夏の終わりの3連休。

夕方Clambakeのパーティーに出かけた。

Clambakeとはボストンや私がMBA留学したコネチカットなどのニューイングランド地方の海岸部での郷土料理。魚介類を大鍋で蒸し焼きにする。

今年はボストン出身の友人と出かけた。

旨かった。

 

 

 

 

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2016/09/07   yamagishicoffee

山岸農園では殺虫剤は使用していません

コナにCBB(Coffee Berry Borer)という害虫が猛威を振るっている。6年前に上陸した。CBBはスペイン語ではブロカと呼ばれ、以前から世界中の産地に存在する。この害虫への対処法は第一に殺虫剤の使用。しかし、アメリカは他のコーヒー生産国に比べて農薬の規制が厳しい。他の産地で使用する強力な農薬が使えないので、コナではCBBが大量発生した。

ハワイ州ではコナ以外にも他島でコーヒーを栽培している。コナから他島へのCBB拡散を防ぐため、様々な規制がかけられた。例えば、日本へ生豆を送る場合はホノルルを経由する。ホノルルを経由するものはオアフ島へのCBBの拡散を防ぐため、生豆を燻蒸するか、あるいは、100ポンド入りの麻袋を気密性のビニール袋に2重に梱包しなければならない。しかし、既にCBBはオアフ島も席捲している。今では無意味だが、一度できた規制はなかなか解除されない。山岸農園では空輸する前にすべての麻袋を2重にビニール袋に入れる。ほんの50~60袋でも汗だくの作業だ。大量に送る大規模農園では燻蒸してからコンテナに入れて船で運ぶ。ところが、今年は燻蒸剤が日本の国境で引っかかり入国を拒否されたケースがあったそうだ。ハワイ州の規制に従わなければ出国できず、従えば今度は日本に入国できない。コナコーヒー農家は板挟みだ。

Evergreen とかPyronylというPyrethrinを主成分とする殺虫剤がある。Pyrethrinは除虫菊に含まれる成分で蚊取り線香に使用される。これら農薬は米国環境省が認可し、枝豆など広くの農産物に使用されている。コーヒーにも認められていて、コナではCBB対策として使用する人も多い。念のため付け加えるが、山岸農園では虫よけのマリゴールド(写真)を畑に植えているが、こうした殺虫剤は使用していない。

これら農薬の中に添加剤としてPiperonyl butoxideという成分が含まれ、これが日本で問題となった。日本ではコーヒーに関してこの成分の安全基準が存在しない。日本食品化学研究振興財団によると、例えば、コメ、小麦、トウモロコシの基準値は24ppm。クレソンや白菜などは8ppm。しかし、コーヒーには基準がないため、たとえ最低基準の0.01ppmでも入国できない。

他国の強力な殺虫剤はよくて、この農薬がダメなのは変な話。コナの農家らは日本政府に迅速にコーヒーに対する基準値を設定してもらいたいと願っている。

コナの大手の農園は周辺の小さな農家からコーヒーを買取り、皮むき、乾燥、脱穀などの精製をする。個々の農家がどんな殺虫剤を使っているかは不明なので、買い取りには注意が必要。しかし、注意といっても、それを発見するのは無理なので構造的な問題だろう。ある大手農園では、買取の際に使用した農薬を聞き取り、日本向けに分別して精製しているが、厳密には難しい。今年はとある農園のコンテナがこの農薬の添加剤の為に日本に入国できなかったらしい。

日本の国境では輸入農作物をサンプリング検査する。たとえ不備で無意味な規制でも、それを盾にして、鴨を見つければ狙い撃ちにして点数を稼ぐのが官僚のサガだ。ハワイからのコーヒー生豆が狙い撃ちされて検査を受けている印象を受ける。山岸農園も2年連続で検査を受けた。6kgも抜き取られた上に、検査料まで請求された。殺虫剤を使えばもっと楽なところを、使わずに苦労しているこの俺様を誰だと思っているんだ。名前見てから検査しろってんだ。

山岸農園ではCBBにとりつくカビの胞子を撒いたり、虫食いの実を手で摘み取るなど、気の遠くなるような、数多くの対策を行っているが、化学殺虫剤は使用していない。他の農園の豆が混入することもない。来年もサンプリング検査したら怒るよ。

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2016/09/02   yamagishicoffee

ハリケーンが来た。それでもコーヒーは摘むのだ。

ハワイ島に台風が来ている。しかも大きいのが2個続けてやってくる。台風警報が発令され、今日は朝から公官庁や学校はクローズ。銀行までクローズ。さらに、ビーチ沿いの高級リゾートホテルのFour Seasons Hualalaiまで閉鎖して宿泊客を他のホテルへ移している。

最初に来る台風はMadeline。数日遅れでLesterが続く。Madelineはフランス語読みするとマドレーヌ。なんだかお菓子みたいで可愛い名前だが、侮ってはいけない。勢力が強く、しかも島の南側を通過する。島の南を通るとコナは危ないのだ。それにアメリカの台風の被害の歴史では、女性の名前の付いた台風の方が男性の名前よりも被害が大きいらしい。女は怖いのだ。いや、可愛らしい名前だと人々が油断するからかもしれないと専門家は解説する。

私は昨日から始めたコーヒー摘みを続けなければならないが、2つの台風が通り過ぎるまではまともな作業はできそうにない。どうしても今日中に終わらせなければならないセクションがあるので、昨夜メキシコ人の友人に助っ人を頼んだ。

嵐が本格化する前に、もーダメっというところまで摘もうと決死の覚悟で朝を迎えた。するとその友人は4人で来た。コナ中の農園はどこも今日は収穫作業は中止。摘んでいる農園はうちだけだから、友達のピッカーも連れて来たそうだ。もちろん大歓迎。しかも学校が休みだから子供たちも大勢ついてきて畑で遊んでいる。やっぱり、我々はマドレーヌという名前をなめているのかもしれない。

決死隊は朝から摘み始めたが、今日はピーカン。

なんと一日中とっても良い天気。風は少し強いが日差しが強く暑い。

島の反対のヒロ側は大雨が直撃しているが、山を挟んだこちらは異常なくらいの快晴。どうやらこちら側に来るのは今夜らしい。

4人も助っ人が来たので、今日中に終わらなければならないセクションは2時には終わってしまった。楽勝の一日でした。

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2016/09/01   yamagishicoffee