エクストラ・ファンシー
https://www.youtube.com/watch?v=KaGPjYaUMM0
今シーズン収穫したコーヒー豆を精製(ドライミル)した。
ビデオはサイズ19の豆を比重選別機にかけているところ。手前のワイパーの様な板が右に振り切って設定されているのをご覧いただきたい。比重選別機は比重の重い豆(良質)が左側に、比重の軽い豆(欠陥豆)が右側に来るようになっている。このビデオでは豆がドンドン左へ寄っていく。これは比重が重い豆が多いから。比重が軽い欠陥豆が多いと、豆はどんどん右に寄っていく。欠陥豆の割合を見ながら、ワイパーの様な板をどのあたりで固定するかを決める。板の左を通る豆が合格で右が失格で等級を下げる。
欠陥豆の多い一般的な農園は、その板は左に振り切って固定され、ほとんどの豆がふるい落とされて、等級が下げられる。当農園の豆は右に振り切って固定され、サイズ19の9割以上がExtra Fancyとして合格する。
Extra Fancyとはサイズ19(一番大きいサイズ。ふるいの穴の大きさが19/64インチ)の豆で欠陥率が大体1%以下ぐらいになるように選別した物。コナの場合、サイズ19の豆は全体の約15%位採れる。サイズが大きいからといって美味しいという訳ではないが、見た目を重視する日本市場では重宝される。
精製所の方からは、今年もコナで一番欠陥豆が少ない、しかも2番目の農園とは桁違いに、とお褒めの言葉を頂いた。10年前の害虫上陸以来、5年くらい前までは、コナで約600軒あるコーヒー農家の中で、Extra Fancyの認証が取れるのはうちの畑だけだった。
4年前に認証の基準が緩くなったので、色選別機などを持っている大農園では何とかExtra Fancyなどを生産できるところが出て来た。それでも、昨年はコナ全体でExtra Fancyの豆は26000ポンド、村全体で認証を受けた豆の0.7%。認証に出さない農園もあるので、コナ全体の生産量に対する割合はもっと低い。前述のとおり、本来は15%程度採れるはずが1%をはるかに下回るということはそれだけ害虫の被害が甚大だということ。ちなみに、うちの農園では、今年はSize 19の割合は全体の17%程度で、そのうち9割以上が合格するので、Extra Fancyの割合は全体の16%だった。
しかも、うちの農園は、基準緩和後も、毎年、緩和前の厳しい基準で選別をしてきた。現在のところ、来年からは認証の基準が再び厳しくなる予定。そうなれば、精製所の人の言うことには、Extra Fancyが生産できるのは、再び、うちの農園だけになるだろう、とのこと。
ちなみに、一般的なExtra Fancyというのは、害虫被害の少ない、色々な農園の豆を集めて混ぜて(たぶん殺虫剤まみれ)、サイズ選別機と比重選別機と色選別機でドガチャカ、ドガチャカしたもの。どこの農園の物だかわからないExtra Fancyよりも(それでさえ来年は誰も作れないんだけど)、うちの農園の豆はずっと質が良い。力説。