農園便り

2019年8月

午前中は休息

収穫の翌日は午前中は休憩して、長靴を洗って干す。

次の収穫まで2週間。午後から草刈りを開始。その他、今週は害虫防御のためのカビ胞子散布、害虫が飛んでこないように隣の畑との境界に植えた垣根の剪定、そして、虫食いの実の除去など、農作業は続く。

ところで、休憩中の午前中は年に一度の健康検診へ行った。コレステロールの善玉・悪玉比率が正常範囲内に戻った。コーヒーを飲んでいる効果か、コーヒーを摘んでいる効果かは不明。

ついでに、ちょっと高めだった中性脂肪の値が大幅に下がった。妻は、首をかしげながら、「じゃ、これはなーに?」と私のお腹を指差すが、それは中性脂肪ではありません。ビール腹は男性脂肪です。

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2019/08/21   yamagishicoffee

収穫の第一ラウンド終了

収穫した実を、皮むきと乾燥をしてくれる友人のWet millへ持っていったところ、待ってましたと歓迎を受けた。別に私に会いたかったからではない。うちのコーヒーの実を待っていたらしい。

皮むきの機械は回転式ドラムにギザギザが付いていて、そのすき間にコーヒーの実を通すときにギザギザに引っかかって皮がむける仕組み。すき間が広すぎると皮がむけない。狭すぎるとコーヒー豆(種子の部分)まで削ってしまい、豆が欠ける。よって、シーズンが始まる時にはそのすき間の広さを調節する必要がある。

その調節のためには、うちのコーヒーの実でないとダメらしい。うちはコナで欠陥豆の混入率が一番低い。欠陥豆が多いと、豆が欠けたのは、すき間が狭いからか、それとも、もともと欠陥豆(欠けやすい)だからなのか判別しにくい。また、皮がむけないのは、すき間が広すぎるためか、実が腐って皮が豆に付着しているからか判別しにくい。だから、毎年、欠陥豆の少ないうちの農園の実を使って、調節するそうだ。実験台か。。。。

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2019/08/21   yamagishicoffee

コナ・コーヒーの収穫の季節到来

収獲の第一ラウンド開始。

これから1月まで摘み続ける。

今年はコーヒーの実の生育状況が非常に良い。

こういう綺麗な実を摘むのは楽しい。摘んだ実を入れる袋も新品で気持ちが良い。

でも、毎年、収穫が始まると、忙しくて、訳の分からないうちに一気に年越し。

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2019/08/14   yamagishicoffee

コーヒー豆のハンドソート(手選別)

コナコーヒーは生豆が綺麗なのが特徴。コーヒー豆はすべてが健康に育つ訳ではないので、生産の各工程において、欠陥豆を取り除く作業を繰り返す。

まず、コーヒーの木を健康に育てる。そうすれば不健康な欠陥豆の比率は減る。害虫対策も行い、虫食い豆の増加を防ぐ。なかでも、コーヒーの生産で最も重要で、かつ難しいのは健康に完熟した実を選り分けて摘むことで、ここが農園主の腕の見せ所。

さらに、収穫後の精製所でも選別は続く。まず、実を水に通し浮いてくる比重の軽い実は取り除く。果皮と果肉を取り除いた後に、再度水に漬けて浮いたものは取り除く。

パーチメントを割ったら、サイズ分けし、極端に大きい物や小さいものは取り除く。次に比重テーブルで比重の軽い豆は取り除く。当農園では採用していないが、農園によっては色選別機で、変色したもの、虫食い跡のある豆を取り除く。

8年前にCBBという害虫がコナに上陸して、虫食い率が上昇した。多くの産地では殺虫剤で対処するが、アメリカは農薬の規制が厳しいので使えない。さらに、他の産地でハンドソート、つまり、人が手作業で欠陥豆を取り除くが、コナでこれをする農園はない。ハワイは人件費が高いので、機械による欠陥豆の選別が主だ。

例外はコーヒーハンターの川島良彰氏の会社のシャンペンボトルに入ったコナコーヒー。毎年、何人もの社員と一緒にコナに来てハンドソートする。飛行機代やホテル代を払って何日もやるから利益は出まい。相当なこだわりだ。

うちの農園も、害虫が上陸した最初の年は、妻と手作業で欠陥豆を取り除いた。すると、麻袋1袋(100ポンド)を選別するのに1週間。3袋で力尽きた。我々の年間生産量は多い年は約50袋なので、全部で丸一年かかる。無理だ。

そこで、開花と収穫の間の春から秋にかけて、全ての木の全ての枝の全ての実を見て、虫食い豆は収穫する前に取り除く事にした。虫は級数的に増加する。増えた後で取り除くのではなく、増える前に取り除く作戦。これで虫食い率がコナで最小になった。けど、手間がかかりすぎるので、コナでこれをする農園は他にないし、たぶん世界にもないだろう。

ところで、日本のテレビや雑誌で、喫茶店のマスターや焙煎士が焙煎前に、生豆を手で選別して欠陥豆を取り除く光景を見かける。日本人マスターの良心的で真心やこだわりを感じさせる感動のおもてなしシーンだ。しかし、経済学的に見れば、これほど、ばかげたシーンはない。本来は、人件費の安い生産地で選別すべき。わざわざ、粗悪のまま日本に運び、何十倍も人件費の高い日本で選別しては割に合わない。マスターの真心には頭が下がるが、地球全体で見れば、効率的な資源配分とはいえない。

コーヒー生産国の労働者の賃金は信じられないほど安い。消費国がコーヒー一杯に1円くらい余分に払って、その分を産地でハンドソートに充てれば、労働者の収入は何倍にもなるし、日本のマスターも真心を安売りしないで済む。その方が効率的な資源配分で、品質は上がるし、コストは下がり、コーヒー業界の生産性は向上する。

ただし、コナは例外。日本よりも人件費が高い。ハワイでは世帯年収740万円で低所得者層、465万円で貧困層とされる。これはオアフ島の統計だがコナも高い。だから、コナコーヒーが害虫被害で流通量が減ったと、あまり怒らないで頂きたい。えっ?他の産地のようにハンドソートしろって? この際だから、思い切って言っちゃうけど、あんたら日本人の人件費はハワイよりもずっと安いんだから、そっちでやってよ。ハハハ! 

人件費高騰のおり、ご理解賜りますよう、村を代表してお願い申し上げます。

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2019/08/01   yamagishicoffee