コーヒー摘み 援軍来る
古くからの友人が仕事を辞めたと聞き、コーヒー摘みを手伝いに来てもらった。というか、ほとんど騙し討ち。航空券を送り付けて、「ハワイに遊びに来ないか」と、うまいこと誘って、来てもらったところを連日のコーヒー摘みに付き合わせている。
ずいぶん昔、彼が青年海外協力隊としてケニアに赴任していた場所を訪ねた。赤道直下だが高地で涼しい。ケニア山のふもとの村で、電気も水道もない。
毎日ギゼリ(トウモロコシをゆでたもの)を食べた。村人の家を訪問した際に、まれに御馳走のあずかる。まず、自分で庭の鶏を追いかけまわし、捕まえて首を落として毛をむしり煮込んだ骨と皮だけの鶏肉。貴重な鶏をおとすのだから最大級の歓待だ。
その村ではコーヒーを育てていた。それが私がコーヒーの樹を見た最初だった。まさか、何十年も後に自分がコーヒー農家になるとは想像もしていなかった。
ケニアはコーヒーの産地だが、旧イギリス領なので、コーヒーを飲まない。朝はチャイ(砂糖ミルクたっぷりの紅茶)。その村のコーヒーは味わうことはなかった。
彼が10年ほど前にその村を訪ねたところ、コーヒーの樹はなくなっていたそうだ。栽培が大変な割に儲からないから。バナナに植え替えられていた。今でも電気水道はないらしい。でもハクナマタタ。