農園便り

ブラジル旅行顛末 2015年6月

201506Queen-hospital.jpg5月19日から妻とブラジルへ行った。友人と会い、その後、コーヒー農園視察ツアーに参加した。コナとブラジルでは気候が随分違うので、コーヒーの生産の仕方も違ってくる。それぞれの気候にあった生産の方法があり、とても興味深いものであった。

 ブラジルといえば、フルーツと肉。そこで、毎日の食事もフルーツ、肉、フルーツ、肉、フルーツ、肉、肉、肉、にく~、というような食生活を続け、無事ツアーは終わった。

5月31日に帰国。ところが、帰国直後から、体中が痛く、食欲がなく発熱が続き、寝込んでしまった。

 緊急病院に行こうかと思ったが、アメリカの病院では39.4度以下(103度)は受け付けない。実際、NYに住んでいたとき、高熱が出たことがあった。東京へ出張する前日。たまたま、飛行機の席がファーストクラスにアップグレードされた。生まれて始めてのファーストクラス。これを逃すわけにはいかないと、無理をして出張の準備を進めた。夕方、家に帰ると熱が40度を超えた。さすがに、病院に行った。すると、待合室で3時間以上も放って置かれて、ついに熱が41度を越え42度に近づいている。倒れて歯をガチガチいわしていたら、やっと看護婦がやってきて、「どうしてもっと早く来なかったの?」などと言われながら、中に入れてもらった経験がある。うわごとのように、「明日のファーストクラスには乗れますか~?」と医者に質問していたらしい。当然、出張はキャンセル。うかつに病院に行って酷い目に合った経験がトラウマになっている。

 6月4日に、耐え切れずに、病院に行った。体中が痛くて、下痢と熱があり、しかも、咳がでない。これはただのインフルエンザではないと感じていた。

検査の結果、高熱のうえ、白血球と血小板の減少に肝機能の低下があり、なんらかのウィルス性疾患で、中でも、黄熱病が疑われるとの診断だった。

ほとんど体の抵抗力がなくなっており、輸血が必要なほど危険な状態だったので、急遽、その夜に、ホノルルの大きな病院へエアー・アンビュランスで空輸された。

もし黄熱病ならハワイ州で初の症例だと医者たちは少し興奮気味。

飛行機のパイロットと看護師も黄熱病の予防接種を受けている人を非番にもかかわらず呼び出して運んでもらった。

ハワイ島のワイメア空港まで救急車で運ばれ、そこから小型機でホノルル空港へ。飛行機の中は集中治療室のような設備。ホノルル空港へ着陸する際には、私の乗った小型機は最優先で滑走路へ直行。その間、大勢の観光客を乗せた大型飛行機が飛行場の周りを何機も待機・旋回しているのは壮観であったと妻は言うが、私は担架の上で、ガタガタ震えているだけで何も覚えていない。

ホノルルの病院では、すわ、黄熱病かと、隔離病棟が用意され、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)の役人までが待機していた。

珍しい患者だということで、連日、次から次へと、医者やインターンや医学生が見にきて、はっきり言って、人生で今が一番人気者という状態。

何人の医者の訪問を受けたかは、覚えていないが、どの医者も病室に入ると「君かあ、珍しい患者というのは」と言いながら同じ質問をしてくるので、こっちは閉口気味。

でも、こんなに人気があるなら、小学校の図書館にある子供用の偉人伝の本になって、野口英世の隣に置いてもらえる日も近いかもと、高熱で薄れる意識の中で思ったものだ。

 3日ほどたつと熱も下がり、だいぶ楽になった。マスクをすれば、病室の周りを歩いてもよいとのお許しが出たので、散歩に出かけた。廊下を挟んで隣の部屋には屈強な付き人が付いているのでよっぽどのVIPがお忍びで入院しているのか。隣人に恵まれたと思っていたら、彼も散歩に出てきてビックリ。足に鎖を付けて手錠をかけてのお散歩。どうやら、刑務所で心臓発作になって、運ばれてきたらしい。

 8日の晩になって、検査の結果が出て、デング熱と診断された。なーんだ。デング熱ならハワイでも年に2~3人は発症するわ、と、急に人気がなくなった。白血球も血小板も正常値に戻った。肝臓の数値は一向に改善されないが、デング熱ならば大丈夫と、9日には、退院することになった。退院する際に担当の伝染病専門医が、とっても嬉しそうな顔で部屋に入ってきた。私が急速な回復を遂げたことが、そんなに嬉しいのかと思ったら、「ハワイでは、デング熱は年に2~3人くらいしか発症しないのに、今日、これからまた一人デング熱患者が搬送されて来るんだよ。今度はタイからの帰国者だって」と、とても嬉しそう。 

 そして、ハワイ島に帰ってきた。いまだ、体中、湿疹だらけだが、もう熱はない。肝臓の回復は遅れているが、徐々に回復するらしい。1~2ヶ月程度は疲れが残るらしい。すでに、蚊に刺されても他に感染する可能性はない。うちの農園が、代々木公園のように閉鎖されることはないだろう。それでも帰宅翌日には衛生局の検査官が3人もやってきて、蚊やぼうふらが湧いてないかの検査をしていった。近所の家々にも訪問して注意を促したようだ。だから、デング熱は近所にすぐばれた。

 黄熱病もデング熱も蚊が媒体で感染する。ブラジル旅行中は長袖、長ズボン。半そでの場合は虫除けのスプレーをして、虫刺されには充分注意をしていた。事前に肝炎と腸チフスの予防注射をしていったし、サラダや生水は避けていた。ところが、実はブラジル旅行の始めの頃、5月24日にサンパウロのホテルの室内ジムで運動中に蚊に刺された。それが刺された唯一だ。うかつにも半ズボンをはいた。サンパウロではデング熱が大流行、100人に1.5人の割合で感染するほどの大流行だそうだ。それでも、ブラジル滞在中は発症せずに済んだ。実際に感染しても8割くらいの人は発病しない。ところが、さすがに、帰りの22時間のフライトは体にこたえたようだ。帰国直後から体調が悪化し、今回の顛末となった。とっても貴重な教訓となった。何が教訓って、健康のためにジムに行くのも命がけということ。ちがうか。。。

 しばらくは自宅療養します。

2015/06/12   yamagishicoffee
山岸コーヒー農園は小規模ながら品質追求のコーヒー栽培をしています。
コナ・ルビーはクリーンな味わいのコーヒーです。
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