農園便り

コーヒー畑の七面鳥(繁殖の季節)

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うちのコーヒー畑には野生の七面鳥がいる。その中のオスの一羽がよく鳴きわめき騒々しい。なぜかうちの妻はドナルド・トランプと呼ぶ。オス同士の喧嘩で、トランプ氏は相手の頭に噛み付いて攻撃する。危険な奴だ。でも、鏡に映った自分の姿に攻撃を仕掛けて体当たり。なるほど、英語でTurkeyと言えば間抜けの代名詞。

今は繁殖の季節。オスは体を膨らませてメスの前でアピール。胸を膨らませて、どういう仕組みか、「ボン!」と音を発する。メスへのアピールか、それとも他のオスへの威嚇なのか。プラスチックのバケツをひっくり返して、底を叩くと似たような音がする。試しに叩くと、新たなオスの出現と勘違いするのか、近くのオスが「ゴボゴボー」と鳴いて威嚇してくる。面白いから何度も叩いてトランプ氏をからかう。やっぱり、オスは間抜けだ。

やがて産卵。雑草の茂った所で卵を抱く。芝刈り機で雑草を刈っていると、突然、卵を抱えたメスが目の前に現れる。慌てて芝刈り機を急停止。向こうも相当ビックリしている様子だが、卵から離れようとしない。メスはあっぱれな心掛け。

やがて卵が孵る。メスがよちよち歩きの雛を10羽ほど連れて畑を行進する姿を畑のあちらこちらで見かける。草刈り中に偶然遭遇すると、雛たちは四方八方へ一目散に逃げる。一家はバラバラ。雛たちは「ピーピー」と母親に自分の場所をアピール。芝刈り機を止めて鳴き声を聞こえやすくしてやると、やがて母親は安全な場所を確保して、「クワッ、クワッ」と自分の居場所を知らせ、雛を一羽づつ回収する。そして、また家族で行進。一方、オスは一切子育てをしない。

うっかり近づきすぎると、母親の怒りを買う。「シー」とすごい音を立てながら飛び上がり人の頭をつついてくる。逃げても、20~30メートル先まで追いかけてくる。10倍以上も体の大きい人間に襲い掛かるのだから、母親は肝が据わっている。

それでも、生存競争は厳しい。10羽の雛は、翌週には9羽、翌々週には8羽という具合に徐々に減り、最後には2羽くらいしか残らない。畑にはマングースが徘徊し、上空には「ピー」と鷹が旋回する。足の悪いメスがいて、毎年、片足を引きずりながら雛を連れるが、十分守れない。気の毒だが彼女の雛たちは育たない。今週は既に4羽に減った。

オスたちは相変わらず体を膨らませてメスを追いかけまわすが、雛を連れたメスは、明らかに嫌がる。あまりしつこいと、自分よりも一回りも大きなオスをつつき回して撃退する。子育て中の女は恋人には向かない。

畑には常に20羽以上いるが、一昨年の11月の感謝祭の日に3羽に減った。米国では感謝祭に七面鳥を食べる。誰かが侵入して鉄砲で仕留めたのではと疑っている。ところで、残った3羽はすべてメス。食えん女なんだろう。

感謝祭の翌日は年末セールの初日。各店割引をするので一年で最も売り上げが多い日。昨年も一昨年もこの日には、全米で拳銃の一日の売り上げの新記録を更新したそうだ。

やれやれ。

 

2017/04/02   yamagishicoffee
山岸コーヒー農園は小規模ながら品質追求のコーヒー栽培をしています。
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