農園便り

2015年9月

911に電話して、消防車を呼んでみた

 このところ毎日10時間コーヒー摘みをしている。しかも、今年は猛暑で大量の汗をかく。一日終わると疲労困憊。

先日、畑の一番下の場所で摘んでいると、道路を挟んで向かいの家に若い家族が数家族ぐらい遊びに来ているらしい。その家族がコーヒー畑の前を散歩していると、突然、子供が、「お父さん、僕もコーヒーを摘んでみたい」と若い父親にせがんでいる。父親は「ほんの少しぐらい摘むのならば楽しそうだけど、一日中やると2度とやりたくなくなるよ。第一、あれは、貧しい人たちがやる仕事だよ。お前はそんなことはしなくていいんだよ」と、わが子を諭している。確かに、私もボロボロの服を着て、ボロボロになりながら摘んでいるけど、私の聞こえる所でそんなことを言わなくても。。。。。

その日も6時まで摘み、疲れ果てて、8時には床についた。体中が痛くてなかなか熟睡できない。すると11時になって、突然、地響きと爆発音が数発。驚いて起きて、外を見るとその家族たちが泊まっている家が燃えている。畑を挟んでなので300メートル以上は離れているが、20メートルはあろうかという凄い炎が上がるのが見える。何度も爆発が続く。徐々にではなく、いきなり燃え上がっている。

911に電話した。日本では110番と119番と別れているが、アメリカでは共に911。電話がつながると、まず、用件は警察ですか、消防車ですか、救急車ですかと尋ねられる。消防車というと、即、消防署にすぐにつながり、消防車を呼ぶことができた。ちなみに、住所、名前、電話番号などを聞かれる。

3年ぐらい前に、近所に消防署ができた(ちなみに、近くに消防署があると火災保険の掛け金が安くなる)。なので、5分で消防車3台が到着し、消火活動を開始。消防士が応援の消防車を呼んでいるのが、ここからでも聞こえる。もう5分ほどで、もう2台ほど消防車、救急車1台、パトカー2台も来た。結局、14人の消防士が消火に当たったらしい。

火事になったのは、その家に隣接する車庫。風向きも幸いしたが、家に火が移るのを防ぐために、家にも随分水をかけたため、メインの家に燃え移ることはなく、まもなく鎮火した。でも、車庫は屋根は溶け落ちて大破。幸いけが人はない。なぜか、家主やゲストたちの車も車庫には入っておらず、無事だったようだ。

うちは貧乏人だから、翌日も10時間、猛暑の中で摘まなければならないのに、興奮してよく寝れなかった。おかげで翌日は余計疲れた。

でも、そんな夜中に、車を外に出して車庫の中で、いったい何をやっていたのだろう。ねえ?わかる人だけで結構ですけど。。。。。

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2015/09/27   yamagishicoffee

Labor Dayのクラムベイク・パーティー

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昨日はLabor Dayの休日。アメリカでLabor Dayといえば、勤労感謝の日のようなもので、夏の終わりの3連休。ピクニックやバーベキューをする人が多い。また、フットボールシーズンが始まる。

連日、雷雨続きのコナであったが、久々に雨が降らなかった。我々は、ここぞとばかり一日中コーヒー摘み三昧。朝6時から夕方5時まで摘んで、汗のかきすぎ、水分不足で、指も腕も足もつりまくり。ヘトヘトになったところで、Clambakeパーティへ出かけた。

Clambakeとはボストンや私がMBA留学したコネチカットなどのニューイングランド地方の海岸部での郷土料理。魚介類を大鍋で蒸し焼きにする。

今日のClambakeの鍋の巨大なこと。クラム、ロブスター、ムール貝、タコ、イカ、エビ、ソーセージ、ピーマン、玉ねぎ、ジャガイモ、とうもろこしなど盛りだくさん。コナでは海洋深層水で魚介類を養殖している。材料のほとんどが地元産で鮮度抜群。おまけにこの魚介類の出汁のきいたスープが絶品。

それに合わせて、出来立てほやほやのビール。ラガービール(通常は低温発酵)を常温で発行させたもので、ラガーとエールのあいのこ。とてもフレッシュなので雑味・苦味・えぐみのないフルーティーで甘い仕上がりのビール(まるで、うちのコーヒーのよう)。ワインはカリフォルニア州ナパバレーのCakebread CellarsのSauvignon Blancの2011年物。

Clambakeもビールもワインも堪能しました。ちなみに、うちの庭のキノコは入れていません。

お陰で今日も元気一杯で一日中コーヒー摘みをしました。でも、夕方にはまた大雨。
 

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2015/09/09   yamagishicoffee

ハワイ島コナ産キノコ

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日本は随分と涼しくなったそうだが、ハワイはいまだに猛暑が続く。しかも連日の雷雨。

ハワイを挟んで太平洋上のカテゴリー4のハリケーンが3個並び、とても珍しい現象らしい。私どもが8月24日に雷雨の中でコーヒー摘みをしたのは農園便り9月号に記したとおり。このときのハリケーンKiloは、その翌日にオアフ島沖を通った際に、ホノルルに集中豪雨をもたらた。ホノルルの下水が大量に溢れて海に流れ出た。そのためにワイキキビーチは数日間、遊泳禁止となった。その後、このKiloは日付変更線を越えたため、台風17号と名前を変えて、現在、日本へ向けて移動中である。もし日本へ上陸したら、ハワイからの風を存分に堪能していただきたい。

その太平洋上の3個のハリケーンたちがたっぷりと湿った空気をハワイに送ってくるので、コナも含めてハワイ各島で連日の雷雨。普段はコナの気候はとても穏やかで雷などは年に1度あるかないかなのに、このところ毎日の雷雨だ。

昨日、コナのコーヒーベルト地帯全域で激しい雨が降った。コーヒーベルトの中央を通るCoffee Belt Roadは豪雨のために、川のようになった。斜面の上から滝のように水が流れ込む。各所で通行止めとなった。コーヒー畑や一般の家は斜面に位置しているので、水が溜まることはない。おまけに土壌は溶岩なので、水はスポンジのように染み込んでいく。しかし、集会所や学校のように広い面積を平らにした場所では水が腰の高さまで溢れて、車が流されたそうだ。

今日は朝から農作業をしたが、昼ごろから雨が降り出した。農作業は止めて、車で10分坂を下りた海岸沿いにあるゴルフ場へ行った。しかし、なんと34度の高温。標高600mの私の家は21度だった。坂を下りた海岸では34度と8キロしか離れていないのに13度も気温差がある。あれよあれよという間に畑のある山の中腹の上に積乱雲が発生していくのが海岸からはよく見える。あわてて家に戻ると1時間で100mmを超える雷雨で、ガレージまで水が浸入してきた。
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さて、私の家の前の芝生に関しては以前に農園便りに書いたことがある。芝を張り替えたところ、芝よりも先にカタバミに占領されて難儀をした。カタバミは我が家の家紋だが、その先祖伝来のありがたいカタバミを退治する羽目になったという話だ。その芝生が今は連日の雨のためにキノコに占領されている。毎朝、引っこ抜くのだが、翌朝には、また大量に生えてくる。キノコ抜きが朝の日課となっている。ところでこのキノコは食べられる種類なのだろうか?食べてみて、笑いが止まらなくなったらどうしよう。どなたか詳しい方がいたら教えてください。
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2015/09/06   yamagishicoffee

コナコーヒー農園便り 2015年9月号

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 常夏のハワイは日本の夏より涼しいが、今年はハワイも猛暑。各地で史上最高気温を更新。なんと33度。普段は東北東からの涼しい貿易風の恩恵を受けているハワイには耐え難い。うちは標高600mなので、さほどではないが、29度にはなった。コーヒーの成長には24度が適温で、気温が1度上昇するごとに成長が10%阻害されるといわれる。29度だと半分しか成長できず、大きなストレス。ストレスを受けると子孫を残そうと早く熟す。例年よりも早く、コナ全体で8月には本格的な収穫が始まった。

 今年は太平洋の海水温が高いらしい。だから台風が多い。8月は4個もハワイ沖を通過した。コーヒーは冬の乾季の水不足のストレスを耐え、春の雨で体力を回復して開花する。今年は猛暑のストレスに加え、連日の大雨で季節はずれの花が咲いた。この時期に咲いても収穫期間に間に合わず、未熟のまま摘んで捨てるので無駄だ。

 8月は天候だけでなく、株式市場も大荒れ。20日(木)の夕方、コーヒー摘みの最中に嫌な予感がした。NYとは時差が6時間なので、既に市場はクローズしている。翌21日(金)の夜明け前に保有株の一部を売った。株を売るなんて9年ぶりだ。すると、その日はダウ平均が531ドルも下落した。週末を挟み24日(月)の相場も大荒れ。私のポートフォリオも、どっぷり浸水。夜明け前からNYと連絡を取り、市場が下がるのを呆然と見つめた。その日ダウ平均は、さらに588ドル下落した。

 テレビやネットで株価を見ていると精神的に辛い。日の出とともに畑へ出てコーヒー摘みを始めた。これまで、成功した投資のアイデアは不思議とコーヒー摘みの最中に生まれた。コーヒー事業は赤字だが、そういう効果を考慮するとまんざらでもない。行き詰ったらコーヒーを摘みながら思考の整理だ。

 その日はハワイ島の南の海上を台風が通過中。摘み始めてすぐに大雨が降り出した。数時間も雷雨が続いた。光と音の時差から推測するに、4km以上は離れているので摘み続けた。夕方には精製所を予約してあるので、摘まざるを得ない。それに、連日の雨で実が過熟し始めた。通常コーヒー産地の収穫時期は乾季。収穫時の大雨は要注意。過熟実に、雨が降ると、カビや発酵の恐れがあるので、早く摘みたい。

 全身びしょ濡れでの収穫。投資アイデアどころではない。ただ寒くて悲しい。ふと見ると、七面鳥が雨の中で餌を探し回っている。動物は雨でも平気なんだ。先祖のクロマニヨン人も雨の中で寝起きしたはず。現代人も、雨の中で投資戦略を練るのは無理でも、雨の中でコーヒーを摘むくらいの能力は受け継いでいるに違いないと自分を励ました。体が冷えて震えが止まらない。でも、家に帰って株式市場を見て震え上がるのは、もっと御免だ。5時間ほど大雨の中で摘んだ。しまいには手の感覚もなくなり、上手く摘めなくなった。これでは品質に影響する。ついに断念。家で株式市場と格闘をすることとなった。

 夕方、約束の時間に精製所へ収穫分を持っていくと閉まっていた。今日は町中に雷が落ちて、あちこちが停電。沖合いには水竜巻まで起きて大騒ぎ。町中でコーヒー摘みをした人は誰もいないと言われた。普通の人はこの雷雨では休むでしょう、日本人は変わってるねと呆れられた。せっかくずぶ濡れで摘んだのに、精製は翌日に回された。

 株は翌25日(火)も続落。でも、実は26日(水)に歯を食いしばって株を買い増した。アメリカの相場の格言に Don’t catch a falling knifeとあるが、真剣白刃取りじゃ。 

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2015/09/01   yamagishicoffee