農園便り

2013年12月

コナコーヒー農園便り 2013年12月号

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 手嶋レストランの手嶋静子おばあちゃんが先日亡くなった。享年106歳。コナで一番の有名人。つい最近まで、日本食レストランを切り盛りし、テーブルまで食べ物を運んでくれた。日系2世で日本語も達者な彼女は、日本のテレビに何度も紹介されているので、ご存知の方が多いと思う。レストランは朝早くから夜まで営業していて、近所のコーヒー農家にとっては大切な食堂。料理はボリュームがあり、労働者の味方。また、コナへ来た旅行者が彼女に会うために押し寄せる観光スポットでもある。

 1929年に雑貨屋として開業して以来、彼女はその地で80年以上の歴史を刻んできた。子供が5人、孫が17人、ひ孫が27人、玄孫が16人と、その血を受け継ぐ人も多い。また、地元の高校では、彼女の私財からの奨学金の恩恵を受けた卒業生が多い。

 日系2世で私のゴルフ仲間のクリストさんは今年81歳。とても力持ちで若いころは100ポンド(45キロ)のコーヒー袋を2つ両肩に担いで坂を上り下りしたそうだ。町の水道局を引退してから20年が経ち、コーヒー畑とペットの豚の世話をするのんびりした生活を楽しみたいところだが、そうはいかない。なぜなら、彼の奥様は手嶋おばあちゃんの娘だから。「ばあちゃん働いているから、婿のワシがレストランを手伝わないのダメね。」と、よく、ぼやいていた。 

 ハワイの日系人は全米で最も長生きの民族的グループとして知られている。温暖な気候、日本食を食べ、もちろんコナコーヒーを飲んでいるので健康なのだろう。

 ハワイへの旅行者は海辺のホテルに泊まるが、コナの日系人は標高の高い、コーヒーベルトと呼ばれる所に住んでいる。海辺より4度ぐらい気温が低い。常夏とはいえ、気温は夏でも26度を超えない。だから、我々の家には冷房もなければ暖房もない。体にストレスがかからない。コーヒーに良い気候は人間の体にも良い。

 家庭菜園も盛ん。日本風に調理して食べるから、健康な食生活だ。沢山収穫できると、親戚・友人に配る。常におすそ分けが来るから、新鮮な野菜に事欠かない。先日、日系3世の友人から、インゲン豆を貰った。塩も調味料も使わずに油で炒めただけで、柔らかく甘い。今まで食べたことのない旨さ。早速、種を貰ってきた。先祖が100年以上も前に日本から持ってきた品種を大切に受け継いでいるそうだ。

 果物は、誰の家のどの木が美味しいか、皆が知っている。その木から果物が採れると、親戚・友人で食べる。その次ぐらいに美味しい物が、地元のスーパーに並ぶ。さらに1ランク下の我々があまり興味のない木の果物は観光客向けの青空市に行くことになる。それでも、観光客は大喜び。こういう生活をしていれば、長生きするのもうなづける。

 そういえば、3年前、プロゴルファーの石川遼が冬のトレーニングにスキーを活用という記事を読み、私は常夏のハワイから、苗場に、わざわざ“冬のトレーニング”に行った。苗場といえばユーミン。彼女の曲に合わせて滑るだけでゴルフが上達するなんて、なんと楽しいトレーニング。と思いきや、派手なターンで転んで~煙が舞い立つぅ~なんてもんじゃない。左ひざのじん帯を切断した。帰国後、靭帯の移植手術。冬のトレーニングのはずが、リハビリの日々となった。その際、日頃、お世話になっているシルビアさんから、グルコサミンのサプリメントを飲むと膝の痛みに効くと教わった。彼女も膝を痛めたときに飲んだそうだ。そこで、彼女から驚愕の発言。「膝を痛めてびっくりした。ああいうのは年寄りがなるものと思っていた。」彼女は今年80歳。コナではまだまだ若手かなぁ。

 手嶋静子さんのご冥福をお祈りいたします。

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2013/12/02   yamagishicoffee