農園便り

コナコーヒー農園便り 2012年10月号

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コーヒー栽培を始めて4年で体重が10キロ減った。ちょっと嬉しい。毎年9月から1月のコーヒーの収穫時期になると3〜4キロは減る。

1990年に渡米し2006年にリタイアするまでに、毎年1キロづつ15キロ太った。競争の激しいウォール街で生き残るために必死に働いた。夜遅くまで働き、晩飯は深夜に日本食レストランへ。深夜1時過ぎまで開いている店は限られている。ヤンキーズの試合後、食事に来る松井選手を見かけた。こんな食生活では、毎日トレーニングをして筋肉をつけている松井選手と違って、一日中オフィスに座っている私は脂肪がたまる一方。

体重が増えるたびにスーツを新調した。少し大きめのスーツを買うと、不思議とそれに合わせて体がふくれる。また大きめのスーツを買う。これの繰り返し。私は生命の神秘と感心したが、他人からは、ヤドカリ君とあだ名された。しかし、いつか痩せるぞと、うそぶく私は古いスーツを捨てられずに、クローゼットにサイズ順に並べてとっておいた。

ハワイ島コナはフアラライ山の山麓にあるので、コーヒー畑は斜面にある。地面には溶岩が転がっており足場は不安定。コーヒーの収穫は足場の悪い所で踏ん張りながら、腰につけた15キロ入りのバスケットに摘んだ実を入れる。かなり重い。しゃがんだり、中腰になったり、背伸びしながら実を摘む。これを毎日10時間繰り返す。穴掘りなど激しい労働は長時間は無理だが、ただ、実を摘んでいるだけなので長時間継続できる。軽い有酸素運動を毎日10時間していることになる。収穫時期にはカロリー量は一切気にしない。3食バッチリ食べ、クッキーやチョコレートをバリバリ食べ、夜はビールも飲み放題。それでも体重は減る 。

昨シーズンの終盤に4ヶ月で4キロ痩せたところで、年に一度の健康診断を受けた。医者に痩せて褒められるかと期待していたが、逆にCTスキャンの精密検査の指示を受けた。どこか悪いと疑われた。しかし、無駄に放射線は浴びたくない。体重減少はコーヒー収穫のためだと説明しても納得してもらえない。コナで生まれ育った医者ならば、この町には冬に痩せる人が多いことを知っているが、彼はコナ出身ではない。粘り強い交渉の結果、もう1ヶ月様子を見ることで許しを得た。ちょうど収穫も終わり、体重は増加に転じた。もちろんビールも一生懸命に飲んだ。これでやっと精密検査は勘弁してもらった。

1980年代、まだ20歳代の銀行員時代、いつも、よれよれのスーツを着ていた。見かねた同僚が、ボーナス後、私を青山のポールスチュアートへ強制連行。立派なスーツを仕立てた。初めて青山などと洒落た所で高い買い物をしたので、よく覚えている。あれもバブルか。25年後の今、クローゼットにサイズ順に並んだスーツの一番左がその定位置。積年の念願かなって、来年には、また着られるようになるはず。しかし、リタイアして6年、一度もスーツもネクタイも着たことがない。ハワイでは葬儀だろうが結婚式だろうが、アロハシャツが正装。未だ順番に並んでいるスーツはどうしたらよいのだろうか。

 

2012/10/01   yamagishicoffee
山岸コーヒー農園は小規模ながら品質追求のコーヒー栽培をしています。
コナ・ルビーはクリーンな味わいのコーヒーです。
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