農園便り

コーヒーQグレーダーの試験から一年

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CQI(Coffee Quality Institute)のQ Graderの資格を取ってから1年になる。ホノルルで行われた3日間の実習研修と、それに続く3日間に渡る20の試験を受けた。これはコーヒーのカッピング(官能評価)の技術を取得するもので、合格するとSCAA(Specialty Coffee Association of America)の評価基準・手順に従って、コーヒーを鑑定する資格を持つ。

 集中力を要するストレスフルな試験で苦しい体験だった。一度つまづくと、そのストレスに耐えられず、雪だるま式に転げ落ちていく感じがした。リタイアして10年、あれほど苦しい体験はない。嗅覚と味覚で感知してそれを言語で表現するなんて、そんな脳の使い方をしたことがない。完全にクラスの落ちこぼれ。今までの人生では銀行員、ウォールストリートバンカー、週末ゴルフという脳の使い方をしてきたのだ。カッピングには全く役に立たない。

体験者のアドバイスに従い、期間中はアルコールや極端に脂っこいもの、甘いもの、しょっぱいもの、辛い物を口にしないようにした。他の参加者の中には、期間中は刺激の少ない歯磨き粉を使用する人もいた。

実習研修3日間、試験3日間の計6日間の長丁場。体調管理が重要。いかにリラックスして、カップに向かった瞬間に集中力を発揮できるかが勝負だ。疲れがたまっては負け。

毎日、夕方以降はコーヒーの事を一切考えないようにした。ホテルのジムで1時間運動して、コーヒーのことを頭から追い出す。それでも、連日3時間ぐらいしか眠れない。カッピングの夢にうなされ、一度目が覚めるともう眠りに戻れない。

極めつけは4日目、つまり試験初日が終わった夜。初日は何とかすべて合格したが、ストレスは限界に達している。長い一日でヘトヘト。それでも試験はあと2日もある。

今日こそは熟睡したい。夕方ジムで1時間汗をかき、サウナに入りさらに汗をかき、脳を休めることに専念した。さらに、ジムの後にはマッサージ。一日をリラックスして終わらせるには完璧なシナリオ。うつ伏せになりマッサージを受けた。気持ちいい。カッピングを頭から追い出そうと”Drive it away, drive it away.”と念じると、だんだんリラックスしてきてウトウトし始めた。すると、突然マッサージ師が強烈なハワイ訛りで

  “Do you like cupping?”(カッピングは好きですか)と訊いてきた。

“What!???”せっかくカッピングのことを忘れようとしているのに、一体全体この人は何を言い出すのだ。続けざまに、

“Did you do cupping?”(カッピングしたのですか)と訊いてきた。

当惑しながらも、「ええ、何度もしましたけど、どうしてわかるのですか?」と問い返すと、「だって背中に跡があるから」。ようやく事態が飲み込めた。この地獄の特訓コースの直前に体調を整えるために鍼灸治療に行った。鍼、マッサージの他に吸い玉(カッピング)をしてもらったのだ。その丸い跡が背中に残っていたらしい。

“Does cupping work for you?”(カッピング(吸い玉)は効きますか?)

“No, it did NOT work for me today at all!”(今日の(コーヒー)カッピングは、まったく上手くいきませんでした。)

“Oh, how come?”(えっ、どういうこと?)

“Never mind. I’m just talking to myself.”(独り言です。ほっといてください。)と会話が続いた。その夜はほとんど眠れず、翌日の午前中の試験は全滅。最終日に追試となった。

2017/06/26   yamagishicoffee
山岸コーヒー農園は小規模ながら品質追求のコーヒー栽培をしています。
コナ・ルビーはクリーンな味わいのコーヒーです。
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